★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その154)シングル「アイ・フィール・ファイン」リリース(その4)

1 前回の質問の正解

(1)これも正解

では、(その153)の質問の正解を発表します。質問が何だったかを知りたい方は、前回のブログを参照してください。

え?クローズド・リムショット(クロス・スティックともいう)を使っている?確かに、それも正解ですね。

これは、左手をスネアの上に置きながら、スティックで周囲のリムと呼ばれる金属の縁を叩くというテクニックです。バラードなどで良く使われます。

「snare drum cross stick」の画像検索結果

簡単そうに見えてなかなか難しいんですよ💦左手を置く位置がポイントで、これが少しでもズレてしまうと良いサウンドが出ません。上手くやれば「カッ、カッ、カッ」と小気味よいサウンドが得られます。

 

もっとも、リンゴのライヴ映像を見る限り、このテクニックを使わずに普通にスネアやタムを叩いていますから、おそらくレコーディングの時もそうだったのでしょう。

彼がビートルズ時代にこのテクニックを使ったのは、「イフ・アイ・フェル」が代表的です。リンゴのテクニックはパーフェクトで、この曲にピッタリですね。

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(2)正解にするつもりだった答えは

私が正解にするつもりだったのは、ドラマーが左手のスティックのショルダーという先端に近い部分とグリップという後端に近い部分とを逆に持っていることです。つまり、普通なら手で握るグリップの部分でスネアを叩いていることです。

「ドラム スティック名称」の画像検索結果

なぜ、わざわざそんなことをするかというと、右利きの場合、当然、右手に比べて左手の方がパワーが弱いわけです。左手でバックビートのサウンドを強めに出さないといけないのですが、力が弱いとそれが十分にできないのです。そうすると、右手と左手でサウンドの強弱ができてしまいます。

そうなってしまうと、ドラムのサウンド全体のバランスが崩れてしまうんですね。もちろん、左手を鍛えて右と同じぐらいのパワーが出せるようにするのが正攻法ですが、どうしてもパワーが出ない場合、スティックを逆に持ち代えるという裏技があります。末端の方が太いので、それだけ厚みのある音をサウンドが得られ、全体のバランスを取れるんです。

実は、先ほどのクローズド・リムショットなんですが、このテクニックを使う場合にも同様にスティックの先端と後端を逆にするドラマーが多いんです。上に掲載した写真のドラマーもそうしていますね。

これは、パワーというよりも、スティックの太い方でリムを叩くことになるので、より大きなサウンドが出せるからです。

2 この曲も大ヒット

この曲は、イギリスで1964年11月27日にリリースされチャートNo.1に輝き、最初の5日間で80万枚以上を売り上げました。チャートNo.1に6週間留まり、12月11日にはミリオン・セラーとなりました。

アメリカでは、11月23日にリリースされ、1週間でミリオン・セラーになりました。12月5日に22位にチャートインし、26日までにNo.1を獲得し、3週間留まり、40位以内に11週間留まりました。

ビートルズにとっては、文字通りI FEEL FINE(気分がいい)曲になったのです。

3 ハリウッド・ボウル・コンサートのライヴ・アルバム

「beatles hollywood bowl 1965」の画像検索結果

I Feel Fineは、1965年の8月29日、30日のハリウッド・ボウル・コンサートでのライヴでテープにレコーディングされました。その当時、この音源でライヴ・アルバムをリリースする計画があったのですが、結局、実現しませんでした。

この頃は、既にテープレコーダーが小型化され、持ち運びできるようになっていたので、コンサートでレコーディングすることは可能でした。

しかし、テープを再生しても、聴こえてくるのは観客のジェット・エンジンの爆音のような絶叫だけで、ビートルズの演奏は全く聴こえません。当時の技術により演奏を分離してレコード化するのは、名プロデューサー、ジョージ・マーティンをもってしても不可能と断念せざるを得なかったのです。

「beatles hollywood bowl 1965」の画像検索結果

ビートルズは、1965年のレコーディングの方が1964年のものよりも良いと考えていましたが、キャピトルは、レコードとしてリリースするには品質が不十分だと判断しました。

1966年1月5日に「I Feel Fine」の最後となったレコーディングセッションは、EMIスタジオでは行われず、極秘にロンドンのCTSスタジオで1965年8月15日のシェイ・スタジアムコンサートのライヴ映像に再度レコーディングすることになりました。

マーティンは、ライヴ・パフォーマンスの音質が悪くて使えないと判断し、ビートルズは、自分たちの演奏とヴォーカルが撮影された映像と一致するよう慎重に演奏しました。いわゆるアテレコですね(笑)何度も演奏している曲とはいえ、セリフのアテレコより難しかったでしょう。

映像はなかなか良い出来で、1967年1月10日にアメリカのテレビで「The Beatles At Shea Stadium」として放映されました。

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このテープは、そのままレコード会社の保管庫に数年間保管されていましたが、1971年にはフィル・スペクターがアルバムにできるかどうかを確認しました。しかし、結局、彼は何もせず、テープはさらに数年間未発表のままでした。

ようやく1977年になって30日のライヴでレコーディングされた7曲が「The Beatles At The Hollywood Bowl」アルバムに収録されましたが、「I Feel Fine」はその中に含まれていませんでした。

 

マーティンは、ライナーノーツにこう記載しています。「あの一連のコンサートを取り巻く、ほとんどパニックといいたくなるような混乱状態は、その場にいないかぎり信じてもらえないだろう。レコーディングに使えたのは3トラックだけ——『返し』のモニターもなかったので、ビートルズには自分たちの歌が聞こえず、1万7000人の若くて健康な肺が送り出す途切れのない金切り声は、ジェット機の騒音ですらかき消してしまう凄まじさだった」

「beatles hollywood bowl 1965」の画像検索結果

今では映像やサウンドでしか知る他はありませんが、ともかくその当時の観客の絶叫といったら凄まじいもので、警備の警官も耳に拳銃の弾丸を詰めて栓をしていた程でしたからね(^_^;)

しかも、マーティンが指摘しているように、その当時はまだ返しのスピーカーがありませんでしたから、ビートルズは、自分たちの出しているサウンドすら聴こえない状態だったのです。

「The Beatles At The Hollywood Bowl」の画像検索結果

それでも後でリストアされたサウンドで確認したら、完璧な演奏だったのですから正に神業としか言いようがありません。

 

ジョンは、1980年8月か9月にレコーディング・スタジオで、彼のアルバム「Double Fantasy」のセッション中にこの曲を演奏したようです。

ギタリストのアール・スリックは、次のように語っています。「私とヒューイ・マクラーケンは、ビートルズのリックを演奏した。ジョンは、何回か一緒に演奏したり、しなかったりした。我々は、ビートルズの他の曲も何曲か演奏したが、彼はコードや歌詞を忘れてしまっていた。」

「Double Fantasy john recording」の画像検索結果

制作した本人とはいえ、何十年も経っていればコードや歌詞を忘れてしまっていたのも仕方ありませんね(^_^;)何しろ現役を続行していたストーンズと違って、ビートルズはとうに解散してしまいましたし、ジョンは、解散後は、殆どビートルズ時代の曲を演奏することはありませんでしたから。

2015年には、マーティンの息子であるジャイルズ・マーティンとサム・オクウェルがアビイロード・スタジオのオリジナルフィーチャー「I Feel Fine」をもう一度取り出し、新しいステレオ・ミックスを作成し、コンピレーションアルバム「ビートルズ1」としてリリースしました。

左がジョージ、右がジャイルズです。

「giles martin」の画像検索結果

2016年には、やはりジャイルズがリマスターしたアルバムがリリースされ、ロン・ハワード監督が制作した「エイト・デイズ・ア・ウィーク」も劇場公開されました。このカヴァー写真に写っているビートルズは本当にカッコいいですね。

「the beatles live at the hollywood bowl」の画像検索結果

これは、意外にもプロカメラマンが撮影したものではなく、ツアーマネージャーのボブ・ボニスが、ビートルズが1964年8月に初のカナダ・ツアーでシアトルからバンクーバーに飛行機を乗り継ぐ際に、スナップショットとして撮影したものです。彼らのリラックスしつつも、スーパースターとしての堂々とした風格が伝わってきます。

 

(参照文献)THE BEATLES MUSIC HISTORY, BEATLES BIBLE

(続く)

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