2017年05月25日

マル外種牡馬辞典 - トムロルフ系

「マル外種牡馬辞典」第九十八弾はトムロルフ系。リボー系の中でも欧州の中長距離路線に向いた系統で、凱旋門賞を連覇したアレッジドをはじめ多数の活躍馬を送り出しましたが、今では父系そのものが絶滅不可避といったところまで衰退してしまっています。日本ではどちらかというとジャパンCに来日したカク外が結果を残している系統であり、ジャパンC2着馬で後に種牡馬としても結果を残した*アレミロード、繁殖牝馬としても輸入された3着馬*エイプリルラン、9文字制限による「ストラテジックチョ」で有名な3着馬ストラテジックチョイスなどがこの系統です。
<トムロルフ> (1頭/2頭) ★★★★☆

Tenerani (ITY) 1944
 Ribot (GB) 1952
  Tom Rolfe (USA) 1962 32戦16勝
    ・プリークネスS(USA) ・アメリカンダービー(USA)
   *ディストロイ(USA) 1979 34戦4勝 Sire
    ・中央で4勝
   [外] *アレミロード(USA) 1983 1戦0勝 Sire
    (2着) ・ジャパンC(GI)

プリークネスSやアメリカンダービーなど多数の重賞を制し米3歳牡馬チャンピオンにも選ばれた活躍馬で、種牡馬としても3頭のワシントンDC国際勝ち馬を送り出すなど一定の結果を残している。輸入種牡馬としておなじみの*アレミロードはオイロパ賞の勝ち馬で、カク外としてジャパンCに来日し、ジュピターアイランドからアタマ差の2着に健闘した。


<ランザガントレット> (0頭/1頭) ★★★★☆

Ribot (GB) 1952
 Tom Rolfe (USA) 1962
  Run the Gantlet (USA) 1968 21戦9勝
    ・ワシントンDC国際(USA) ・マンノウォーS(USA)
   [外] *エイプリルラン(IRE) 1978 1戦0勝
    (3着) ・ジャパンC

米国の芝路線で活躍した馬で、米国唯一の国際競走であったワシントンDC国際など複数の重賞を制した。種牡馬としてアイルランドで供用され、英セントレジャーの Commanche Run など多数の活躍馬を送り出した。カク外として出走した*エイプリルランもその1頭で、同馬はワシントンDC国際などGIを4勝した活躍馬で、ジャパンCではハーフアイストの3着に入った。


<コマンチラン> (1頭/2頭) ★☆☆☆☆

Ribot (GB) 1952
 Tom Rolfe (USA) 1962
  Run the Gantlet (USA) 1968
   Commanche Run (GB) 1981 14戦7勝
     ・英セントレジャー(GB-I) ・ベンソン&ヘッジスGC(GB-I) GI計3勝
    *オーバーザラン(IRE) 1989 55戦14勝
     ・地方で14勝

英セントレジャーなどGI3勝を含む中長距離路線で重賞5勝をあげた活躍馬だが、種牡馬としては何頭かの重賞馬を出したのみでGIウイナーの父となることはできなかった。日本で唯一勝ち星をあげた*オーバーザランは勝利数こそ多かったが、金沢の条件級であった。


<ロンドンカンパニー> (1頭/1頭) ★☆☆☆☆

Ribot (GB) 1952
 Tom Rolfe (USA) 1962
  London Company (USA) 1970 44戦10勝
    ・パンアメリカンH(USA-II) ・マンハッタンH(USA-II) 重賞計8勝
   *ゴールドカンパニー(USA) 1977 18戦3勝 Sire
    ・地方で3勝

GIでは2着が最高だったが、パンアメリカンHなど米芝重賞を8勝する名ターフランナーだった。種牡馬としてはアメリカンダービーなどGI2勝の Wolfie's Rascal を出すことに成功している。日本で走ったマル外は競走馬としては平凡だったが、種牡馬入りして産駒も残した。


<ホイストザフラッグ> (1頭/1頭) ★★☆☆☆

Ribot (GB) 1952
 Tom Rolfe (USA) 1962
  Hoist the Flag (USA) 1968 6戦5勝
    ・カウディンS(USA) ・ベイショアS(USA)
   *ロイヤルトムロルフ(USA) 1978 7戦2勝
    ・中央で2勝

カウディンSなど6戦5勝の実績を残した馬で、負けた1戦も1位で入線しながら降着となったレースであった。種牡馬としては凱旋門賞連覇の Alleged をはじめ多数の活躍馬を輩出、米2歳リーディングにも輝いている。ロイヤルファームが輸入した*ロイヤルトムロルフは中央で2勝をあげただけだったが、母がハリウッドGC勝ち馬で兄*ロイヤルニジンスキーは種牡馬入りしており、同馬も種牡馬入りさせる予定だったのだろうか。


<アレッジド> (8頭/18頭) ★★★★☆

Ribot (GB) 1952
 Tom Rolfe (USA) 1962
  Hoist the Flag (USA) 1968
   Alleged (USA) 1974 10戦9勝
     ・凱旋門賞(FR-I)(2回)
    メゾンブランシュ 1989 36戦5勝
     (3着) ・クイーンS(GIII)
    [外] ストラテジックチョイス(USA) 1991 1戦0勝
     (3着) ・ジャパンC(GI)
    [外] アスタラバド(USA) 1994 1戦0勝
     (6着) ・ジャパンC(GI)

凱旋門賞を連覇した名馬で、負けた1戦も英セントレジャーで2着というほぼパーフェクトな戦績を残した。種牡馬としても英牝馬二冠 Midway Lady 、英セントレジャーの Shantou など多数の活躍馬を送り出している。日本にも多数の産駒が輸入されたが、持込馬のメゾンブランシュがクイーンSで3着に入ったほか、愛セントレジャー馬ストラテジックチョイスがジャパンCで3着に入る活躍を見せた。


<モンテリマール> (1頭/1頭) ★★☆☆☆

Ribot (GB) 1952
 Tom Rolfe (USA) 1962
  Hoist the Flag (USA) 1968
   Alleged (USA) 1974
    Montelimar (USA) 1981 4戦2勝
      ・ガリニュールS(IRE-II)
     *モンチッチ(IRE) 1988 23戦4勝
      ・中央で4勝

10ハロンの愛GIIガリニュールSを制した馬で、種牡馬としては2頭のグランドナショナル勝ち馬を輩出するなど障害用種牡馬として名を馳せた。日本では*モンチッチただ1頭のみが走り、中央で4勝をあげている。もし同馬が障害を走っていれば大成したであろうか。


<ローソサイエティ> (6頭/9頭) ★★☆☆☆

Ribot (GB) 1952
 Tom Rolfe (USA) 1962
  Hoist the Flag (USA) 1968
   Alleged (USA) 1974
    Law Society (USA) 1982 8戦5勝
      ・愛ダービー(IRE-I)
     *スイートマジョラム(IRE) 1989 19戦4勝
      ・中央で4勝
     [外] ヒルソサエティー(IRE) 1992 1戦0勝
      (10着) ・中山グランドジャンプ(JGI)

愛ダービーなど重賞を4勝した活躍馬で、英ダービーは Slip Anchor の2着だった。種牡馬としてアイルランドやドイツで供用され、パリ大賞の Homme de Loi など複数のGI馬を送り出している。日本では中央4勝馬が出た程度と目立った結果を残すことはできなかった。ただ母父としてはマンハッタンカフェを出しており、母系では優秀。


<オムドロワ> (1頭/1頭) ★☆☆☆☆

Ribot (GB) 1952
 Tom Rolfe (USA) 1962
  Hoist the Flag (USA) 1968
   Alleged (USA) 1974
    Law Society (USA) 1982
     Homme de Loi (IRE) 1989 8戦4勝
       ・パリ大賞(FR-I)
      *イロア(FR) 1994 58戦1勝
       ・中央で1勝

パリ大賞など重賞を2勝した活躍馬だったが、種牡馬としては仏GIIモーリスドニュイユ賞勝ち馬 Lucky Dream を出した程度と完全な失敗に終わった。日本にも1頭のマル外が輸入されたが、未勝利戦を勝ち上がるのがやっとという状況であった。


<ソーラーワン> (0頭/1頭) ★☆☆☆☆

Ribot (GB) 1952
 Tom Rolfe (USA) 1962
  Hoist the Flag (USA) 1968
   Alleged (USA) 1974
    Solar One (FR) 1992 4戦1勝
      (2着) ・リュパン賞(FR-I) ・クリテリウムドサンクルー(FR-I)
     [外] アラームコール(FR) 2000 1戦0勝
      (6着) ・中山グランドジャンプ(JGI)

デビュー戦以外はいずれも重賞で2着という競走実績を残した馬で、種牡馬としてフランスの名障害馬アラームコールの父となった。そのアラームコールは中山グランドジャンプにも来日したが、マルからスカルから7秒も離された6着に終わった。天皇賞馬ビートブラックの母とはもちろん別馬。


<ブルーエンスン> (0頭/1頭) ★☆☆☆☆

Ribot (GB) 1952
 Tom Rolfe (USA) 1962
  Hoist the Flag (USA) 1968
   Blue Ensign (USA) 1977 28戦9勝
     ・ウッドローンS(USA-III)
    パワーハウス 1989 4戦0勝
     ・中央未勝利

米マイルGIIIのウッドローンSを勝った馬で、種牡馬としては米GIヤングアメリカSを勝った Firery Ensign など多数の重賞ウイナーを出すことに成功した。日本で走った持込馬パワーハウスは未勝利戦で3戦連続2着がありながら勝ち星をあげることはできなかった。


<リンケージ> (1頭/1頭) ★☆☆☆☆

Ribot (GB) 1952
 Tom Rolfe (USA) 1962
  Hoist the Flag (USA) 1968
   Linkage (USA) 1979 18戦11勝
     ・ブルーグラスS(USA-I)
    アーリータイムズ 1987 18戦1勝
     ・中央で1勝

GIブルーグラスSで後のケンタッキーダービー馬 Gato Del Sol を下した馬だが、種牡馬としては米GIIサプリングSを勝った Bio が目立つ程度と振るわなかった。日本に輸入された持込馬アーリータイムズも未勝利戦を勝ち上がっただけに終わった。


<ダンシングパイレート> (0頭/1頭)★☆☆☆☆

Ribot (GB) 1952
 Tom Rolfe (USA) 1962
  Hoist the Flag (USA) 1968
   Pirate's Bounty (USA) 1975
    Dancing Pirate (USA) 1983 13戦3勝
      (3着) ・サンフェリペH(USA-I)
     ムーンライトジョウ 1994 7戦0勝
      ・中央未勝利

重賞勝ちはなく、GI3着が目立つ程度の実績で、種牡馬としても特に目立った産駒は出していない。日本への持込馬ムーンライトジョウは名牝にして名繁殖牝馬ベガのいとこという良血馬だったが、未勝利に終わった。

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この記事へのコメント

1. Posted by elfte 2017年05月26日 15:17
アレッジドが偉大すぎて期待値に応えちゃったので、後継が貧乏くじを引いている感がありますが。
異流の牝系に付けると化けそうな気がするんですが……問題はどこに残っているか…。
アメリカあたりでもう一爆発してほしいのですが、難しいかなぁ。
と言うかモンテリマール産駒のグランド・ナショナル勝利馬って何時?って思ったら、2003年と2005年かぁ……。
日本語のウィキペディアにページがあるヘッジハンターの連覇の不可能っぷりはここ数年の同レースを見ていれば納得ですが。
(不良馬場だと1桁頭数感想とか平気であるし(汗))
こっちの路線で活躍しても「取っちゃう」ので牡馬は意味が無いんですよねぇ(涙)。
その意味で言うとモンテチッチは障害路線もありな上に、英国で走ってたら案外繁殖入りして種牡馬に恵まれたかもしれません。
(今年、引退した障害女王ことアニーパワーにキャメロットが付けられたってニュースになってたので、世代的にサドラーズウェルズとか付けられてたかも)
2. Posted by Unnamed. 2017年05月26日 20:32
繁殖入り後のエイプリルランは、活躍馬を出せず日本に放出され、日本では産駒が生まれぬまま死んでしまって、不遇だったね。エイプリルランVSジョンヘンリーで話題をさらった現役時代が華やかだっただけに切ないものがある。一応日本に来る前の産駒が輸入されてるようだけど、大した活躍馬は出てないし、これもひっそりと消えていくのかな。
3. Posted by Organa 2017年05月27日 22:34
エイプリルランはダンスオブライフがつけられていたようなので、もし無事に産駒が生まれていたとしても期待薄だったかもしれません。

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