2017年12月29日

世界で活躍した日本馬の産駒たち その1

リクエストにお応えしまして、2017年度に海外で活躍した日本産馬、あるいは日本調教馬の産駒を父親別にまとめてみました。対象はリステッド以上のレースで3着以内に入った馬で、ヴィブロスやネオリアリズムのような国内所属馬は除いています。とりあえずソースとしては Thoroughbredinternet.com あたりを中心に拾いましたが、もし抜けなどがあれば補足をお願いします。今回紹介する中で目立つのはブラジルでのアグネスゴールドとインドでのウインレジェンドの活躍ですね。それぞれ毎年のように活躍馬を送り出しており、現地でラインがつながる可能性も十分あるでしょう。
<アグネスゴールド>
 ・Bom Gosto (BRZ) (牡3)
   (1着) ・アルミランテ・マルケス・デ・タマンダーレ大賞(BRZ-II)
   (2着) ・リネオ・デ・パウラ・マシャド大賞(BRZ-I)
 ・Silence Is Gold (BRZ) (牝3)
   (1着) ・マルガリーダ・ポラク・ララ大賞(BRZ-I)
   (1着) ・アダイル・エイラス・デ・アラウホ大賞(BRZ-I)
   (1着) ・フランシスコ・ビエラ・デ・パウラ・マシャド大賞(BRZ-II)
   (1着) ・マリアーノ・プロコピオ大賞(BRZ-III)
   (1着) ・農林水産省賞(BRZ-L)
   (2着) ・ルイズ・フェルナンド・シルネ・リマ大賞(BRZ-III)
 ・Energia Icon (BRZ) (牡4)
   (1着) ・エンリコ・ソラネス賞(BRZ-L)
   (3着) ・ゲルバシオ・セアブラ大賞(BRZ-II)
 ・Energia Impact (BRZ) (牡4)
   (3着) ・ホセ・ブアルキ・デ・マセド大賞(BRZ-III)
 ・Felka (BRZ) (牝4)
   (2着) ・オズワルド・アラニャ大賞(BRZ-II)
 ・Hard Trick (ARG) (牡4)
   (1着) ・共和国大統領大賞(BRZ-II)
 ・Ilustre Senador (BRZ) (牡4)
   (1着) ・ベント・ゴンサルベス大賞(BRZ-II)
   (1着) ・アントニオ・コレア・バルボサ大統領賞(BRZ-III)
   (2着) ・パラナ大賞(BRZ-III)
 ・Orario Pubblico (BRZ) (牡4)
   (1着) ・ダービー・パラナエンセ大賞(BRZ-L)
 ・Pixilim (BRZ) (牝4)
   (1着) ・シルビオ・アルバレス・ペンテアド大統領賞(BRZ-L)

2008年にブラジルに輸出され、今年は Silence Is Gold がGIを2勝したのをはじめ多数の重賞ウイナーを送り出しており、間違いなくブラジルの主要な種牡馬の1頭として存在感を示している。今のところ牡馬のGIウイナーは出ていないようだが、父系を継ぐような存在の登場も時間の問題だろう。


<アドマイヤドン>
 ・ Cheonji Storm (KOR) (牡4)
   (2着) ・ソウル馬主協会長杯(KOR-III)

韓国に輸出されたアドマイヤドンの唯一といっていい活躍馬。当初は70頭を超える牝馬を集めていたが、あまりの産駒の走らなさに年々種付け数は減少し、ここ数年は一桁の種付けが続いている。日本ではアルバートやアドマイヤデウスが出ているし、今なら日本のほうがよっぽど牝馬が集まりそう。


<アドマイヤメイン>
 ・The Elmo Effect (SAF) (セ6)
  (1着) ・ドラムスターS(SAF-L)

こちらも南アフリカに輸出されたアドマイヤメイン。一応初年度産駒の Admiral's Eye なる馬がGIセクウィニSで3着に入っているものの、産駒の活躍のうわさは全く聞かず、おそらく重賞どころかリステッド勝ちすらこの The Elmo Effect が初めてではないかと思われる。


<ヴィクトワールピサ>
 ・ Warring States (JPN) (牡3)
   (1着) ・バイエルンクラシック(GER-III)

Warring States は母チリエージェ、半兄にハクサンムーンという血統の日本産馬で、ドイツでデビューしGIIIバイエルンクラシック(T10F)を制したが、肝心の独ダービーは18頭立てのしんがり負けに終わった。血統的に短距離路線に進めばもうワンチャンスあるだろうか。


<ウインレジェンド>
 ・ Angel Power (IND) (牡3)
   (3着) ・バンガロールジュヴェナイルミリオン(IND-III)
 ・ Implicit Trust (IND) (牝3)
   (2着) ・カルカッタオークス(IND-III)
   (2着) ・カルカッタ1000ギニー(IND-III)
 ・ Kambaku (IND) (牡3)
   (3着) ・マイソールダービー(IND-I)
   (3着) ・デカンダービー(IND-I)
 ・ Occitan (IND) (牝3)
   (3着) ・ジュヴェナイルスプリンターズミリオン(IND-III)
 ・ Pearl Necklace (IND) (牝3)
   (3着) ・ニルグリスダービー(IND-I)
 ・ Aika Aika Aika (IND) (牝4)
   (2着) ・ニザムズゴールドC(IND-II)
 ・ Hall of Famer (IND) (牝4)
   (1着) ・インディアンダービー(IND-I)
   (1着) ・カルカッタダービー(IND-I)
 ・ Talladega (IND) (牝4)
   (2着) ・バンガロールオークス(IND-II)

インドで新種牡馬リーディングを獲得するなど種牡馬入り当初から結果を残していたが、今年はついに牝馬 Hall of Famer がインドダービーを制覇し、ついに一流種牡馬へと上り詰めたといえる。今後産駒数さえ揃えばリーディングサイアーに輝くことも十分可能だろう。


<ヴィータローザ>
 ・ Troublemaker (ITY) (牡4)
   (3着) ・金杯(ITY-L)

イギリスを経てイタリアに輸出されたヴィータローザ。今年は産駒の Troublemaker が3000mのリステッド・金杯で3着に入っている。昨年は伊セントレジャー(GIII、T2800)で2着に入るなど長距離レースでそれなりの結果を残しているようだが、おそらくイタリアで父系が発展することはないだろう。


<エアエミネム>
 ・ Hurkhan (FR) (セ4)
   (1着) ・ガストン・ブラネール賞(FR-L)
   (1着) ・ユニヴァース賞(FR-L)
   (3着) ・ピエール・ドゥ・ラッス賞(FR-III)
   (3着) ・メラノス賞(FR-L)

2008年にフランスへ輸出された*エアエミネムの産駒 Hurkhan がフランスのハードル路線で活躍中で、リステッド2勝にGIIIでも3着に入った。まだまだ4歳と若く、将来的にGIレベルでの勝ち負けを期待したい。なお、*エアエミネム自身は現在イランにいる模様。


<エアシェイディ>
 ・ Teukbyeol Star (KOR) (牝3)
   (3着) ・コリアンオークス(KOR-II)

Teukbyeol Star は韓国で種牡馬入りしたエアシェイディの2年目の産駒で、未勝利のまま出走したコリアンオークスで最低人気ながら3着に入る大健闘を見せたが、その後は自己条件に戻るも未だに勝ち星をあげられずにいる。エアシェイディ自身の今年の種付けは13頭。


<エイシンダンカーク>
 ・ Snake Lake (SWE) (牡2)
   (1着) ・ジョッキークラブマジックミリオン(SWE)
 ・ Red Hot Chili (SWE) (セ4)
   (2着) ・ソングラインクラシック(SWE-L)

北欧ではすっかりおなじみとなった*エイシンダンカークだが、昨年はUAEオークス3着馬 Dolly Dagger などを出していたものの、今年はかなり控えめ。とはいえ、調査が甘いだけでおそらくもっとたくさんの活躍馬は出しているはず。なお、産駒の Jimmy Mack なる馬が昨年より種牡馬入りしている模様(ただ競走馬も兼ねられるようで、昨年は14戦、今年も8戦している)。


<グレイトジャーニー>
 ・ Soleil d'Octobre (FR) (牡3)
   (1着) ・マルセイユ大賞(FR-L)
   (1着) ・グランテスト地域大賞(FR-L)
 ・ I Am Charlie (FR) (牝4)
   (3着) ・サオノワ賞(FR-L)
 ・ Hurricane Mix (FR) (セ6)
   (3着) ・デッレ・ナツィオーニ賞(ITY-III)
   (3着) ・ローマ大障害(ITY-III)
 ・ Max Dynamite (FR) (セ7)
   (3着) ・メルボルンC(AUS-I)

何といっても Max Dynamite の活躍が顕著で、同馬はもともとハードル戦を走っていたような馬だったが、2年前に平地重賞のロンズデールCを制して長距離レースに活路を見出すと、その年のメルボルンCで2着に入り、今年も Rekindling の3着に入ったほか、香港ヴァーズでキセキに先着(6着)した。ただ父系が繋がるかどうかはかなり微妙。


<ゴールドアリュール>
 ・ Gold Blue (JPN) (牝4)
   (3着) ・慶尚南道知事杯(KOR-III)

サマーセールで韓国人オーナーに買われ韓国へ。上記のGIII(D2000)のほか、D1400mのGIIトゥクソム杯でも4着に入るなどそこそこの活躍を見せている。母はノーザンファームの生産馬で、祖母の半弟にフサイチソニックがいるなど血統的にもそれなり。いずれ交流戦あたりで日本馬との対決も見られるだろうか。


<サイレントネーム>
 ・ Jaspion Silent (BRZ) (牡7)
   (2着) ・アルミランテ・マルケス・デ・タマンダーレ大賞(BRZ-II)

フランスや米国で走った*サンデーサイレンス産駒 Silent Name は米GIIアーケイディアHなどを勝って米国で種牡馬入り。ブラジルにもシャトル供用されており、上記 Jaspion Silent は3年前にGIサンパウロ大賞を勝っている。


<サムライハート>
 ・ Lim's Samurai (JPN) (セ4)
   (2着) ・シンガポールダービー(SIN-I)

こちらはHBAトレーニングセールからシンガポールへ渡り、4歳三冠シリーズに指定されているシンガポールダービーで2着に入っている。シンガポールダービーといえばかつて日本産馬ジョリーズシンジュがこのレースを制しているが、同馬は今は繁殖牝馬となり、豪州で重賞ウイナーを出している。


<サンデーブレイク>
 ・ Brownie (FR) (牡5)
   (1着) ・Nickes Minneslopning (SWE-L)
   (1着) ・Pramms Memorial (SWE-L)
   (2着) ・Stora Pris (SWE-III)
   (3着) ・Marit Sveaas Minnelop (NOR-III)

Sunday Break は父*フォーティナイナー、半姉ファレノプシス、半弟キズナという血統馬で、米国でデビューしピーターパンSを勝った。フランスで供用されており、今年は Brownie がスカンジナビアで走ってそこそこ結果を残した。過去には Never On Sunday がイスパーン賞を勝っており、その後種牡馬入りしてすでに産駒もデビューしている。


<シンコウキング>
 ・ Our King Sway (NZ) (セ7)
   (1着) ・タラナキC(NZ-III)
 ・ Seventh Up (NZ) (セ7)
   (1着) ・イースターH(NZ-II)
 ・ Close Up (NZ) (セ8)
   (1着) ・タージノトロフィ(NZ-I)
   (2着) ・ウィンザーパークプレート(NZ-I)
   (2着) ・フォックスブリッジプレート(NZ-II)

日本でも走ったサムザップなどこれまで多数のGI馬を送り出している*シンコウキングだが、今年も Close Up がGIを制し、*ドクターデヴィアスの半弟らしい良血ぶりを発揮している。とはいえ、オセアニアの宿命で活躍馬のほとんどがセン馬か牝馬で、父系が発展する可能性は低い。




この記事へのコメント

1. Posted by コング 2017年12月30日 02:49
Jaspion Silentはブラジルで人気だという日本の特撮『巨獣特捜ジャスピオン』が名前の由来みたいですね。こういう形の日本にちなんだ馬名というのも面白いところです。
2. Posted by だらぶち 2017年12月30日 11:58
これは面白い企画ですね。
現役競走馬が種牡馬も兼務するのは日本ではダメですよね。それが認められている国があるってことは、国際的なルールは特にないんでしょうか。
アグネスゴールドがブラジルでこれだけ活躍馬を量産するということは、もし日本で種牡馬入りしていたとしても、同期のアグネスタキオンに負けない活躍ができたかもしれませんね。
3. Posted by Tonka 2017年12月30日 12:50
ペールギュントはFlamboyantが善戦してますし、亜や仏でも産駒が勝っているようです
それにしてもアドマイヤドンは帰ってきて欲しいなあ
4. Posted by ふくちゃん 2017年12月30日 16:16
この企画は面白いです!
5. Posted by Organa 2017年12月30日 21:28
>だらぶちさん
あくまで一度種牡馬入りした馬が復帰できないのは中央競馬だけの規則なので、日本でも地方競馬なら現役復帰可能です。キャニオンロマンなどがその例ですね。さすがに二足のわらじを履いた馬は記憶にありませんが。
6. Posted by 余裕 2017年12月31日 00:38
リクエストに応えていただきありがとうございます!

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