2018年07月21日
海外版レッドリスト - ズルムー系
「海外版ホットリスト」終了に伴い、しばらくほったらかしにしていたこちらのシリーズも片づけていきます。ということで「海外版レッドリスト」第二十三弾はズルムー系。ズルムー自身、及び息子のアカテナンゴは独ダービー馬にして独リーディングサイアーに輝いたドイツの名門中の名門で、さらにアカテナンゴ産駒のランドも独ダービーやジャパンCを制すなどその勢力を着実に拡大させてきました。ランド自身も種牡馬としてドバイGI馬パオリニやシンガポール航空国際Cのエパロなどを出し、ドイツ国内にとどまらない活躍を見せましたが、種牡馬の父としてはあまり期待されていないような印象で、これ以上の発展は厳しそうですね。
<ズルムー系> ★★★☆☆ (絶滅危惧)
Surumu (GER) 1974
|Acatenango (GER) 1982 GER/1988-2004
| | ・独ダービー(GER-I) ・アラルポカル(GER-I)(2回) GI計7勝
| |Lando (GER) 1990 GER/FR/1996-2013
| | | ・ジャパンC(GI) ・独ダービー(GER-I) GI計7勝
| | |Paolini (GER) 1997 GER/2005-
| | | ・ドバイデューティーフリー(UAE-I) GI計3勝
| | |Epalo (GER) 1999 FR/2006-
| | | ・シンガポール航空国際C(SIN-I)
| | |Touch of Land (FR) 2000 IRE/2008-
| | | ・ジェベルハッタ(UAE-II) ・ドラール賞(FR-II)(2回)
| | |Intendant (GER) 2001 GER/2006-
| | | ・ダルマイヤー大賞(GER-I)
| | |Torlus (GER) 2001 CZE/2010-
| | | ・プラハ大賞(CZE-III)
| | |Prince Flori (GER) 2003 GER/2011-
| | | ・バーデン大賞(GER-I)
| | |Scalo (GB) 2007 FR/2013- 2000ユーロ
| | | ・オイロパ賞(GER-I)
| | |Sir Lando (GB) 2007 NOR
| | | ・ストックホルム大賞(SWE-III)
| | |Prince Cheri (FR) 2009 AUS/2016- 6600豪ドル
| | | ・キングストンタウンクラシック(AUS-III)
| | |Sound Check (GER) 2013 ★現役
| | | ・オレアンダーレネン(GER-II)
| | |Joseph (CZE) 2014 ★現役
| | | ・チェコダービー(CZE-III)
| |Sabiango (GER) 1998 FR/GER/2005-
| | | ・チャールズウィッティンガム記念H(USA-I) GI計3勝
| | |Murano (GER) 2007 HUN
| | | ・農業省賞(SVK-I)
| | |Le Colonel (GER) 2012
| | | ・スイスセントレジャー(SWI)
| |Blue Canari (FR) 2001 SWI/FR/2007- 1400ユーロ
| | ・仏ダービー(FR-I)
| |Musketier (GER) 2002 CAN/USA/2013- 5000ドル
| | ・エルクホーンS(USA-II)(2回) ・コンデ賞(FR-III)
| |Nicaron (GER) 2002 GER/FR/2008- 2000ユーロ
| | | ・独ダービー(GER-I)
| | |Jungleboogie (GER) 2012 ★現役
| | | ・サンモリッツ大賞(SWI) (2着) ・スロベニアダービー(SLO-III)
| |Caudillo (GER) 2003 IRE/2014-
| | ・ベティバークレイレネン(GER-III)
| |Ambassador (GER) 2004 USA/2010-
| | ・バーデン企業大賞(GER-II)
| |Conillon (GER) 2004 FR/2009- 1200ユーロ
| | (2着) ・ドイツ賞(GER-I)
|Mondrian (GER) 1986 GER/1992-2005
| | ・独ダービー(GER-I) ・バーデン大賞(GER-I) GI計5勝
| |Montalban (GB) 1996 RUS/2004-
| | | ・スカンジナヴィアンオープンチャンピオンシップ(DEN-III)
| | |Samur (RUS) 2009
| | | ・露セントレジャー(RUS-I)
| |Well Made (GER) 1997
| | ・オイロパ賞(GER-I)
|Platini (GER) 1989 GER/1994-2009
| | ・ミラノ大賞(ITY-I) ・メルフィンク銀行賞(GER-I)
| |Indurain (GER) 1997 GER
| | ・チェコダービー(CZE-III)
|Lanciano (GER) 1995 CAN/2007- 1000加ドル
| ・オッペンハイム・コロニア・ウニオンレネン(GER-II)
|Osorio (GER) 2000 GB/2006-2009
| ・伊ダービー(ITY-I)
Surumu は独ダービーの勝ち馬で、種牡馬として名馬 Acatenango 、ドイツ年度代表馬 Mondrian などを輩出、独リーディングに6度輝く活躍を見せた。父系を遡れば4代父 Herold 、3代父 Alchimist 、父父 Birlkhahn 、そして後述する Acatenango まで6代で4頭の独ダービー馬にして独リーディングサイアーを輩出しており、まさにドイツの名門中の名門である。
Acatenango は独ダービーなどGI7勝を含む重賞13勝をあげたドイツの歴史的名馬で、種牡馬としても3頭の独ダービー馬に加え仏ダービーの Blue Canari 、米GIチャールズウィッティンガム記念HなどGI3勝をあげた Sabiango などドイツ国外でも結果を残した。ただ後継種牡馬は Lando を除いてあまり重宝されておらず、ドイツ国外での供用も多い。変わり種は Musketier で、10歳まで現役を続け芝の中距離で重賞7勝をあげた後、カナダを経て現在は米国の名門カルメットファームにて5000ドルで供用されている。
Lando は独ダービーで Monsun を下すなどドイツ内外でGI7勝をあげた名馬で、種牡馬としてもドバイデューティーフリーなどGI3勝の Paolini など多数のGI馬を出して一定の成功を収めた。ただし後継種牡馬の多くはドイツ国外に出されており、Monsun とは大きく水をあけられてしまっている。チェコや北欧などで細々と生き残る可能性はあるかもしれないが、少なくともパートI国ではかなり厳しい状況となっていると言わざるを得ない。
Acatenango 以外では Mondrian 産駒の Montalban なる馬がデンマークの重賞を制してロシアで種牡馬入りしており、ロシアセントレジャー馬を出しているほか、Surumu 直仔の独GII馬 Lanciano がカナダで12歳時より種牡馬入りして細々と産駒を残しているが、いずれも父系として残ることはないであろう。
Surumu (GER) 1974
|Acatenango (GER) 1982 GER/1988-2004
| | ・独ダービー(GER-I) ・アラルポカル(GER-I)(2回) GI計7勝
| |Lando (GER) 1990 GER/FR/1996-2013
| | | ・ジャパンC(GI) ・独ダービー(GER-I) GI計7勝
| | |Paolini (GER) 1997 GER/2005-
| | | ・ドバイデューティーフリー(UAE-I) GI計3勝
| | |Epalo (GER) 1999 FR/2006-
| | | ・シンガポール航空国際C(SIN-I)
| | |Touch of Land (FR) 2000 IRE/2008-
| | | ・ジェベルハッタ(UAE-II) ・ドラール賞(FR-II)(2回)
| | |Intendant (GER) 2001 GER/2006-
| | | ・ダルマイヤー大賞(GER-I)
| | |Torlus (GER) 2001 CZE/2010-
| | | ・プラハ大賞(CZE-III)
| | |Prince Flori (GER) 2003 GER/2011-
| | | ・バーデン大賞(GER-I)
| | |Scalo (GB) 2007 FR/2013- 2000ユーロ
| | | ・オイロパ賞(GER-I)
| | |Sir Lando (GB) 2007 NOR
| | | ・ストックホルム大賞(SWE-III)
| | |Prince Cheri (FR) 2009 AUS/2016- 6600豪ドル
| | | ・キングストンタウンクラシック(AUS-III)
| | |Sound Check (GER) 2013 ★現役
| | | ・オレアンダーレネン(GER-II)
| | |Joseph (CZE) 2014 ★現役
| | | ・チェコダービー(CZE-III)
| |Sabiango (GER) 1998 FR/GER/2005-
| | | ・チャールズウィッティンガム記念H(USA-I) GI計3勝
| | |Murano (GER) 2007 HUN
| | | ・農業省賞(SVK-I)
| | |Le Colonel (GER) 2012
| | | ・スイスセントレジャー(SWI)
| |Blue Canari (FR) 2001 SWI/FR/2007- 1400ユーロ
| | ・仏ダービー(FR-I)
| |Musketier (GER) 2002 CAN/USA/2013- 5000ドル
| | ・エルクホーンS(USA-II)(2回) ・コンデ賞(FR-III)
| |Nicaron (GER) 2002 GER/FR/2008- 2000ユーロ
| | | ・独ダービー(GER-I)
| | |Jungleboogie (GER) 2012 ★現役
| | | ・サンモリッツ大賞(SWI) (2着) ・スロベニアダービー(SLO-III)
| |Caudillo (GER) 2003 IRE/2014-
| | ・ベティバークレイレネン(GER-III)
| |Ambassador (GER) 2004 USA/2010-
| | ・バーデン企業大賞(GER-II)
| |Conillon (GER) 2004 FR/2009- 1200ユーロ
| | (2着) ・ドイツ賞(GER-I)
|Mondrian (GER) 1986 GER/1992-2005
| | ・独ダービー(GER-I) ・バーデン大賞(GER-I) GI計5勝
| |Montalban (GB) 1996 RUS/2004-
| | | ・スカンジナヴィアンオープンチャンピオンシップ(DEN-III)
| | |Samur (RUS) 2009
| | | ・露セントレジャー(RUS-I)
| |Well Made (GER) 1997
| | ・オイロパ賞(GER-I)
|Platini (GER) 1989 GER/1994-2009
| | ・ミラノ大賞(ITY-I) ・メルフィンク銀行賞(GER-I)
| |Indurain (GER) 1997 GER
| | ・チェコダービー(CZE-III)
|Lanciano (GER) 1995 CAN/2007- 1000加ドル
| ・オッペンハイム・コロニア・ウニオンレネン(GER-II)
|Osorio (GER) 2000 GB/2006-2009
| ・伊ダービー(ITY-I)
Surumu は独ダービーの勝ち馬で、種牡馬として名馬 Acatenango 、ドイツ年度代表馬 Mondrian などを輩出、独リーディングに6度輝く活躍を見せた。父系を遡れば4代父 Herold 、3代父 Alchimist 、父父 Birlkhahn 、そして後述する Acatenango まで6代で4頭の独ダービー馬にして独リーディングサイアーを輩出しており、まさにドイツの名門中の名門である。
Acatenango は独ダービーなどGI7勝を含む重賞13勝をあげたドイツの歴史的名馬で、種牡馬としても3頭の独ダービー馬に加え仏ダービーの Blue Canari 、米GIチャールズウィッティンガム記念HなどGI3勝をあげた Sabiango などドイツ国外でも結果を残した。ただ後継種牡馬は Lando を除いてあまり重宝されておらず、ドイツ国外での供用も多い。変わり種は Musketier で、10歳まで現役を続け芝の中距離で重賞7勝をあげた後、カナダを経て現在は米国の名門カルメットファームにて5000ドルで供用されている。
Lando は独ダービーで Monsun を下すなどドイツ内外でGI7勝をあげた名馬で、種牡馬としてもドバイデューティーフリーなどGI3勝の Paolini など多数のGI馬を出して一定の成功を収めた。ただし後継種牡馬の多くはドイツ国外に出されており、Monsun とは大きく水をあけられてしまっている。チェコや北欧などで細々と生き残る可能性はあるかもしれないが、少なくともパートI国ではかなり厳しい状況となっていると言わざるを得ない。
Acatenango 以外では Mondrian 産駒の Montalban なる馬がデンマークの重賞を制してロシアで種牡馬入りしており、ロシアセントレジャー馬を出しているほか、Surumu 直仔の独GII馬 Lanciano がカナダで12歳時より種牡馬入りして細々と産駒を残しているが、いずれも父系として残ることはないであろう。
この記事へのコメント
1. Posted by Unnamed. 2018年07月23日 03:49
2歳戦や短距離に向かないという現代競馬にマッチしてない傾向が敬遠されて衰退している典型例かな。パオリニとエパロがダメだった時点で行く末は定まった感があるね。
パオリニは7歳まで現役という時点で期待されていないのは同系の半兄プラティニがいまいちだったのもあるのだろうか。ドバイミーティングの勝ち馬で父ランドの知名度、SS系の過多が語られはじめたタイミングを考慮すれば、日本に導入されたら商業的には面白かった可能性はあるかな?
パオリニは7歳まで現役という時点で期待されていないのは同系の半兄プラティニがいまいちだったのもあるのだろうか。ドバイミーティングの勝ち馬で父ランドの知名度、SS系の過多が語られはじめたタイミングを考慮すれば、日本に導入されたら商業的には面白かった可能性はあるかな?
2. Posted by Organa 2018年07月23日 20:21
Monsun との大きな違いはそこですね。Monsun もスタミナタイプといえばそうですが、2歳戦やマイル戦もこなせるスピードがありました。プラティニがエイシンフラッシュの母父ということを考えると、意外と日本にマッチした可能性もあったかもしれませんね。
3. Posted by DEEPBLUE 2018年07月23日 21:14
ドイツ血脈牝馬ブームで、日本に輸入とかないですかね
4. Posted by なおきち 2018年07月24日 02:14
>>1
日本の高速芝においては短距離馬よりも中長距離馬のほうが種牡馬成功しやすいんですかね
リーディング上位来てるのは
ほとんど中距離馬やステイヤーばっかりだし
ステイゴールドなんて平均勝ち距離2000声で今リーディング2位に入ってますし
案外ランドの系統は日本に合っていたのかも
日本の高速芝においては短距離馬よりも中長距離馬のほうが種牡馬成功しやすいんですかね
リーディング上位来てるのは
ほとんど中距離馬やステイヤーばっかりだし
ステイゴールドなんて平均勝ち距離2000声で今リーディング2位に入ってますし
案外ランドの系統は日本に合っていたのかも
5. Posted by Unnamed. 2018年07月24日 20:35
中長距離タイプの種牡馬のランキングが高いのは、その路線の賞金が高いからじゃないかな。個人的には馬場どうこうはあまり関係ないと思っている。
マイル以下のG1の賞金ってJCと有馬の1/3くらいしかないし、春天や菊よりも下。ロードカナロアは国内外で勝ちまくったのに賞金はキタサンブラックの半分以下しか稼げてないしね。G2も中長距離に手厚くて、じつはスプリントG2はセントウルステークスしかなかったり。
こういった賞金体系なら、マイル以下に強くて中距離もこなせる種牡馬より、中長距離に強くてマイルもこなせる種牡馬のほうがより稼げると思う。あとは競馬の歴史やファンや関係者の意識など、種々の事情もからんでる気がするね。
マイル以下のG1の賞金ってJCと有馬の1/3くらいしかないし、春天や菊よりも下。ロードカナロアは国内外で勝ちまくったのに賞金はキタサンブラックの半分以下しか稼げてないしね。G2も中長距離に手厚くて、じつはスプリントG2はセントウルステークスしかなかったり。
こういった賞金体系なら、マイル以下に強くて中距離もこなせる種牡馬より、中長距離に強くてマイルもこなせる種牡馬のほうがより稼げると思う。あとは競馬の歴史やファンや関係者の意識など、種々の事情もからんでる気がするね。
6. Posted by Organa 2018年07月24日 23:12
>なおきちさん
日本ではクラシック向きサイアーに最も高品質の牝馬が集まるようになっているので、結局はそうした種牡馬の産駒の中央入厩率が高くなり、結果的にリーディング上位に来ることになるのだと思います。
日本でのリーディングは、ほぼ中央での勝利数に比例するといっても過言ではありません。短距離向け種牡馬でも多くの牝馬を集めている馬はいますが、こうした馬は地方入厩馬も多くなる傾向があるので、日本の賞金体系(中央の条件戦の1着賞金が高すぎる)では不利ですね。
こうした状況を打ち破る馬が出るとすればロードカナロアくらいでしょうか。
日本ではクラシック向きサイアーに最も高品質の牝馬が集まるようになっているので、結局はそうした種牡馬の産駒の中央入厩率が高くなり、結果的にリーディング上位に来ることになるのだと思います。
日本でのリーディングは、ほぼ中央での勝利数に比例するといっても過言ではありません。短距離向け種牡馬でも多くの牝馬を集めている馬はいますが、こうした馬は地方入厩馬も多くなる傾向があるので、日本の賞金体系(中央の条件戦の1着賞金が高すぎる)では不利ですね。
こうした状況を打ち破る馬が出るとすればロードカナロアくらいでしょうか。
7. Posted by なおきち 2018年08月11日 16:16
>>Unnamed様
確かに短距離路線の賞金は安いですが
それだけではないように思います。
でも勝率、勝馬率のアベレージでさえも長距離馬に負けてるんですよね。短距離馬は。
ハーツクライやステイゴールドの産駒にも平気でマイルに侵食されている。
だけど短距離馬の産駒はなかなか長距離に進出できない
距離の融通が利かかない
欧米の短距離馬の産駒は距離の融通聞くのに
>>Organa様
たしかにロードカナロアが打破できるかですね
アーモンドアイ以外にも出てきてほしい
確かに短距離路線の賞金は安いですが
それだけではないように思います。
でも勝率、勝馬率のアベレージでさえも長距離馬に負けてるんですよね。短距離馬は。
ハーツクライやステイゴールドの産駒にも平気でマイルに侵食されている。
だけど短距離馬の産駒はなかなか長距離に進出できない
距離の融通が利かかない
欧米の短距離馬の産駒は距離の融通聞くのに
>>Organa様
たしかにロードカナロアが打破できるかですね
アーモンドアイ以外にも出てきてほしい