2018年08月20日
海外種牡馬事情 - 中国編その4
海外種牡馬事情中国編第四弾。例によって著名な競走馬は輸出されていないので、やはり競走馬として価値がなくなった馬を格安で手に入れて種牡馬として供用しているという状況のようですね。タイキ馬が3頭種牡馬入りしているのは偶然かと思いますが、もしかするとなじみの取引業者などがあるのかもしれません。日本では後継を残せなかった、あるいは残せないであろうサムライハートやサクラプレジデント、*ゴールデンフェザント産駒たちを含め、いずれもっと中国競馬が表舞台に出てきた時にこれらの名前が残っているような活躍を期待したいものです。
Tagano My Lover タガノマイラバー 栗毛 2001 | *ジェネラス | Caerleon |
Doff the Derby | ||
ドシル | Never So Bold | |
*ヴォートインフェイヴァー |
現役時代は91戦3勝。中央で1勝をあげた後兵庫に移籍し、8歳いっぱいまで走り切った。母ドシルは持込馬で不出走馬。父*ジェネラスは鳴り物入りで導入されたものの、函館記念3連覇のエリモハリアーを出した程度で再輸出された。海外ではまだ父系は残っているようだが、もちろん日本ではとうの昔に直系はいなくなっている。中国での登録名は「多河之情人」。
Taiki Bonaparte タイキボナパルト 鹿毛 2005 | マンハッタンカフェ | *サンデーサイレンス |
*サトルチェンジ | ||
*スギノアマゾネス | Kingmambo | |
No More Ironing |
現役時代は10戦未勝利。中央でデビューし、のちに障害入りするも最後まで勝ち星をあげることはできなかった。母*スギノアマゾネスは米国産のマル外で、中央1勝。競走実績はないが、マンハッタンカフェ×キングマンボならある程度日本のトレンドに従ったチョイスと言えるだろうか。中国での登録名は「大樹波拿巴」。
Taiki Cool Mint タイキクールミント 黒鹿毛 2010 | スペシャルウィーク | *サンデーサイレンス |
キャンペンガール | ||
タイキミント | *エンドスウィープ | |
タイキマフィン |
中央でデビュー予定だったが、結局最後までレースに使うことはできなかった。母タイキミントは中央2勝。祖母タイキマフィンは名馬*タイキシャトルの全妹だから、それなりに筋の通った血統だといえる。今のところ母トーアアクエリアスなど2頭の産駒を残している。中国での登録名はなぜか「大樹」のみ。
Taiki Jaguar タイキジャガー 鹿毛 2006 | *シンボリクリスエス | Kris S. |
Tee Kay | ||
*チーター | Seeking the Gold | |
Stepping High |
現役時代は50戦3勝。条件戦で3勝をあげた。母*チーターは米国産のマル外で、中央3勝。おじに米リーディングサイアー Backaroo 、アルゼンチンの成功種牡馬 Parade Marshal がいるなかなかの血統である。ペールギュントの近親にあたる母ルスクラリータなど7頭の産駒がデータベースに登録されている。中国での登録名は「林中虎」。
Tiansheng Yingjia 鹿毛 2010 | *ティンバーカントリー | Woodman |
Fall Aspen | ||
フウスイガール | スペシャルウィーク | |
ヘイアンマーチ |
日本で競走馬登録される前に中国に輸出されたが、競走実績等は不明。母フウスイガールは中央未勝利。名前の通りDr.コパ氏の持ち馬で、同馬のいとこに目黒記念の勝ち馬コパノジングー、フェアリーS3着がグッデーコパがいる。母系をたどれば歴史的名牝クレオパトラトマスを経由して下総御料牧場の基礎牝馬*星旗に遡る。中国での登録名は「天生贏家」。
Top Launcher トップランチャー 黒鹿毛 | サムライハート | *サンデーサイレンス |
エアグルーヴ | ||
アールデコ | *タイキシャトル | |
*エリモファンタジー |
現役時代は4戦未勝利。中央でデビューするもすべて二桁着順に終わった。母アールデコは中央未勝利。同馬のおばにオークス馬エリモエクセル、いとこにステイヤーズSのエリモブライアン、半弟に南関の短距離重賞を2勝しているフラットライナーズとなかなか血統は賑やか。2013年9月に中国に向けて輸出されている。
Tosho Chance トウショウチャンス 黒鹿毛 2007 | サクラプレジデント | *サンデーサイレンス |
セダンフォーエバー | ||
ステアトウショウ | *リズム | |
エイティトウショウ |
現役時代は6戦未勝利。中央でデビューするも6戦して一度も掲示板に載ることができなかった。母ステアトウショウは不出走馬。名牝*ソシアルバターフライの一族で、近親にマザートウショウ、トウショウヒューイ、トウショウペガサスなど活躍馬多数の牝系である。日本生まれの母デウィデウィなど6頭の産駒が登録されている。
Victorious CHN 鹿毛 2005 | *ゴールデンフェザント | Caro |
Perfect Pigeon | ||
*アイオニアンオデッセイ | Roberto | |
Ionian Idol |
*ゴールデンフェザントが中国で残した産駒で、競走実績等は不明。母*アイオニアンオデッセイは Roberto 直仔で、社台で*ノーザンテーストが付けられるほどの牝馬だったが、2000年に中国に向けて輸出されており、2002年には父*スリルショーの牝馬を産んでいる。20頭以上の産駒を残すなどかなり牝馬に恵まれている模様。中国での登録名は「捷報頻傳」。
Viva Dancer ヴィーヴァダンサー 栗毛 2006 | マーベラスサンデー | *サンデーサイレンス |
モミジダンサー | ||
ビューティマロン | アンバーシャダイ | |
サンコシコ |
現役時代は21戦未勝利。大井でデビューし、のちに道営に移籍したが、21戦して勝ち星をあげることはできなかった。母ビューティマロンは地方未勝利。近親からもこれといった活躍馬は出ていない。母系をたどれば小岩井農場の基礎牝馬*アストニシメントにたどり着く土着牝系である。2010年3月に輸出され、これまでに10頭以上の産駒を残している。中国での登録名は「万歳舞者」。
Whim ウィム 青鹿毛 2007 | *シンボリクリスエス | Kris S. |
Tee Kay | ||
アウトオブザウィム | *サンデーサイレンス | |
*ライフアウトゼア |
セールで7200万円もの高値を付けた馬だったが、結局競走馬としてデビューすることはできなかった。ノーザンファーム生産馬でおじにダートの名馬カネヒキリ、半弟に北九州記念のバクシンテイオーというかなりの良血馬で、もし無事にデビューできていたら重賞級の活躍も期待できたかもしれない。中国での登録名は「飛天将軍」。
この記事へのコメント
1. Posted by Unnamed. 2018年08月21日 21:42
競馬解禁時に国内馬産の保護を行うかが彼らの命運を決めると思う。香港に倣って、馬も人も海外から積極的に導入していくのなら、あっという間に淘汰されちゃうだろうね。
2. Posted by Organa 2018年08月22日 22:47
中国に輸出された種牡馬ですが、日本側に輸出の記録が残っていない馬も結構いるんですよね。ジャージー規則よろしく正規の血統管理がなされていない馬としてこれらが将来的にサラブレッドとして認められない可能性もあるのかもしれません。
3. Posted by りきお 2018年08月23日 00:12
やはり、血統そのものがしっかりと管理されていない可能性があるわけですかね。
そもそも、かつては日本でも、血統の偽装が多かったとは聞いていますから、同じような過渡期が中国の現状かもしれないと思うと、本当にかつて日本馬だった馬から受け継いだ血筋の馬かどうか、不透明なケースも出てきそうで。。
そもそも、かつては日本でも、血統の偽装が多かったとは聞いていますから、同じような過渡期が中国の現状かもしれないと思うと、本当にかつて日本馬だった馬から受け継いだ血筋の馬かどうか、不透明なケースも出てきそうで。。