2017年03月21日

新種牡馬辞典 - 海外編その1 キャメロットほか

国内の新種牡馬は紹介し終わりましたので、ここからは海外で供用されている新種牡馬に目を向けていきましょう。まずは世界的に注目を集める新種牡馬、あるいは産駒が輸入されるなど日本に縁のある新種牡馬を毎回10頭ずつ、計5回に分けて掲載していきたいと思います。

ということで新種牡馬辞典海外編、第一弾はキャメロット、デクラレーションオブウォーなど。キャメロットは英三冠がかかった英セントレジャー2着のあとは若干伸び悩みましたが、本格的な欧州クラシックとして注目されています。デクラレーションオブウォーは初年度は4万ユーロでの供用ということで実績に比べるとかなり高値で供用されましたが、血統的には芝ダートどちらもこなせそうなので、オールマイティな素質が評価されたのでしょうか。ハットトリックが海外で出したGI馬ダビルシムにも注目です。
Al Kazeem
アルカジーム
GB 鹿毛 2008年
DubawiDubai Millennium
Zomaradah
KazeemDarshaan
Kanz

2013年にタタソールズGC、プリンスオブウェールズS、エクリプスSとGI3連勝を達成した活躍馬で、2014年に英ロイヤルスタッドにて種牡馬入りしたが、繁殖能力に問題がありその年の夏に現役復帰。2015年にはタタソールズGCでGI4勝目をあげた。種牡馬として全くの不能というわけではなく、20頭あまりの2歳馬が登録されており、故障のため2016年に改めて種牡馬入りしている。芝向きの中長距離タイプで、貴重な産駒も輸入されている。


Alternation
オルタネーション
USA 黒鹿毛 2008年
Distorted Humor*フォーティナイナー
Danzig's Beauty
AlternateSeattle Slew
Strike a Balance

GI勝ちはなかったが、米GIIピーターパンS、オークローンHなどD8.5FからD9.5Fの重賞を4勝した活躍馬で、米ピンオークスタッドにて種牡馬入りし、初年度からは100頭を超える牝馬を集めている。父 Distorted Humor もGII勝ちまでの実績しかなかったが、種牡馬としてBCクラシックの Drosselmeyer 、米二冠馬 Funny Cide などを出すことに成功している。ダート向きの中距離タイプ。


Camelot
キャメロット
GB 鹿毛 2009年
MontjeuSadler's Wells
Floripedes
TarfahKingmambo
Fickle

レーシングポストT、英2000ギニー、英ダービー、愛ダービーとGI4連勝を飾ったが、ニジンスキー以来の英牡馬クラシック三冠がかかった英セントレジャーは2着。その後はGI未勝利に終わった。引退後は愛クールモアスタッドにて種付け料2万5000ユーロで供用され、初年度産駒は150頭いるようだ。さらにオーストラリアにもシャトル供用されている。芝向きのクラシックタイプで、産駒も複数輸入されている。


Cityscape
シティスケープ
GB 栗毛 2006年
SelkirkSharpen Up
Annie Edge
TantinaDistant View
Didina

ドバイデューティーフリーを当時のレコードタイムで制したほか、香港マイルやジャックルマロワ賞など4つのGIで2着があった。英オーヴァーベリースタッドにて供用されており、アルゼンチンへもシャトル供用されている。父 Selkirl はクイーンエリザベスII世Sの勝ち馬で、種牡馬として大物産駒こそいないものの多数のGIウイナーを送り出しており、レイズアネイティヴを経ないネイティヴダンサー系としてその血脈を継承している。芝向きのマイラータイプ。


Dabirsim
ダビルシム
FR 鹿毛 2009年
ハットトリック*サンデーサイレンス
*トリッキーコード
Rumored*ロイヤルアカデミーII
Bright Generation

ハットトリックの初年度産駒で、デビューから5連勝でGIモルニ賞、ジャンリュックラガルデール賞を制し、欧州2歳牡馬チャンピオン並びに仏年度代表馬にも選ばれたが、3歳以降は故障もあって勝ち星をあげることはできなかった。引退後は独カールスホフ牧場にて種牡馬入りし、昨年よりフランスに移動しているが、初年度の種付け数134頭はドイツにおける新記録だそうだ。仕上がりの早い芝向きスプリンタータイプ。


Data Link
データリンク
USA 鹿毛 2008年
War FrontDanzig
Starry Dreamer
DatabaseKnown Fact
Sunset Service

3歳時までは条件戦の勝ち星しかなかったが、古馬になってGIメーカーズ46マイルSをはじめ芝8F〜9Fの重賞を計4勝した。米クレイボーンファームにて種牡馬入りし、初年度から120頭を超える牝馬を集めている。父 War Front は Danzig 最晩年の産駒で、種牡馬として多数の芝向きマイラーを送り出している。父に似て芝向きのマイラータイプだろう。


Dawn Approach
ドーンアプローチ
IRE 栗毛 2010年
New ApproachGalileo
Park Express
Hymn of the DawnPhone Trick
Colonial Debut

デビューから英2000ギニー、デューハーストSなどGI3勝を含む7連勝を達成したが、英ダービーでは大差のシンガリ負け。その後はセントジェームズパレスSの1勝にとどまった。愛キルダンガンスタッドにて種牡馬入りしており、オーストラリアへもシャトル供用されている。父 New Approach は英ダービーなどGI5勝の名馬で、Dawn Approach は初年度産駒。いよいよ Galileo の孫が種牡馬として本格始動である。芝向きマイラータイプで、産駒も複数輸入されている。


Declaration of War
デクラレーションオブウォー
USA 鹿毛 2009年
War FrontDanzig
Starry Dreamer
Tempo WestRahy
Tempo

3歳時まではGIII勝ちが目立つ程度の競走馬だったが、古馬になってクイーンアンS、英国際SとGIを2勝したほか、BCクラシックでも勝ち馬 Mucho Macho Man からハナ、アタマ差の3着に入った。引退後は愛クールモアスタッドにて種牡馬入りし、豪クールモアにもシャトル供用されたが、2年目からは米アシュフォードスタッドに移動し、200頭近い牝馬を集める人気種牡馬となっている。芝向きのマイラーだがダートも悪くなさそうで、産駒も輸入されている。


Dundeel
ダンディール
NZ 鹿毛 2009年
High ChaparralSadler's Wells
Kasora
StareelZabeel
Staring

It's a Dundeel の名でオーストラリアで走り、ランドウィックギニー、ローズヒルギニー、豪ダービーの3歳三冠を達成したほか、クイーンエリザベスSなどGIを計6勝した活躍馬で、豪アローフィールドスタッドにて種牡馬入りした。父 High Chaparral は英愛ダービーにBCターフ連覇などGI6勝をあげた活躍馬で、種牡馬としてGI10勝の名馬 So You Think などを送り出している。芝向きのクラシックタイプ。


Epaulette
エポレット
AUS 鹿毛 2009年
*コマンズ*デインヒル
Cotehele House
AccessoriesSingspiel
Anna Matrushka

豪州で走り、3歳時にゴールデンローズS(T1400)、ドゥームベン10000(T1350)と2つのGIを制したほか、T.J.スミスSで Black Caviar の2着に入った。引退後は愛キルダンガンスタッドにて種牡馬入りしており、オーストラリアにはシャトルスタリオンの形で供用されている。父*コマンズは豪GIII勝ちが目立つ程度の競走馬だったが、オセアニアで多数のGI馬を出しており、日本でも供用されたことがある。芝向きのスプリンタータイプ。

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この記事へのコメント

1. Posted by だらぶち 2017年03月22日 12:23
Dundeel は It's a Dundeel の名で走っていたとのことですが、いつ改名したんでしょうか。
昔の日本ではデビュー後に改名した馬がたくさんいたみたいですが、最近の日本ではそんな話は聞きませんね。
2. Posted by elfte 2017年03月22日 12:27
ハットトリック自身も有力馬を南米で出してますが、ダビルシムがどんな産駒を出すかが楽しみです。
後はキャメロットですね。競走成績は十分ですが、不良馬場が苦手だった現役時代を考えると、日本のほうが当たる可能性が(汗)。
父のモンジューは不良馬場が苦手というイメージがなかったので、現役時代は正直以外でした。
後はいつの間にか零細になっていたエタン系のシティエスケープには奮起してほしいです。
(出来れば活躍馬希望ですが、せめて父系は繋いでほしい)
3. Posted by 大統領 2017年03月22日 13:40
>だらぶちさん
プロフィールでは、overseas nameが「Dundeel」 となっていましたので、「It's a Dundeel 」が本名で、海外では「Dundeel」表記ということなんでしょうかね?間違っていたらごめんなさい。

4. Posted by Organa 2017年03月23日 00:31
Dundeel 自身はニュージーランド産馬で、トレーナーもニュージーランドの方ですから、デビュー戦はニュージーランドで "Dundeel" として走ったようです。

ただ、2戦目以降はすべてオーストラリアで出走していて(オーナーがオーストラリア拠点)、そこで "It's a Dundeel" と改名されたようですね。オセアニアでは移籍に伴って改名されることは良くあり(アイヴァンホウ→アワアイヴァンホウ)、これもそうした一環ではないでしょうか。
5. Posted by Unnamed. 2017年03月23日 20:17
ダビルシムの世代はビューティーパーラーもいて、「日本から世界へ血が拡散していく」というのを強く意識したのが2012年だった。日本発の血統がヨーロッパの競馬先進国フランスで牡牝クラシックの本命なんて、少し前には想像すら出来なかったからね。ダビルシムにはさらに次の世代へラインを継承していってもらえたらと思う。
6. Posted by yaki 2017年03月23日 20:23
ニュージーランドの地方紙Hawke's Bay Todayの記事に拠るとDundeelはオーストラリアで走っていたDone Dealという馬と紛らわしい、ということで改名されたようです。

おそらくIvanhoweも移籍した時にIvanhoeという馬がオーストラリアにいたので改名することになったのではないかと思います。
7. Posted by にのみや 2017年03月23日 22:02
JCに出走したウェイバリースターが、翌年アワウェイバリースターになっていたり。

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