225 :父の話1:2007/10/18(木) 13:22:58 ID:iGygA+4g0
スレ荒れてる所に空気読まずに投下失礼。

私の父は、夕方から夜の3時ぐらいまで開店しているレストランバーを経営している。
父はいわゆる『見える人』の類で、昔からそういった体験をしている。

そんな父から聞いた、ちょっと怖いような寂しいような話。

父は4人兄弟の次男である。
一番上に姉、次に兄、そして自分が続き、最後が妹という構成だ。
当時、すでに一番上の姉は結婚をして家を出ており、実家で両親と兄と妹の5人で暮らしていた。

高校生の頃だ。秋口のある夜中、父は隣にある兄の部屋から、騒がしい声が聞こえて目を覚ました。
大学生だった兄は、よく友人を呼んで部屋で酒盛りをしている事があったので
「あぁ、また今日もやっているのか…」
と、うとうととしたまどろみの中でなんとなく思ったらしい。

その騒がしい声の中に知っている声が聞こえて来て、懐かしい人物がいる事に気づいた。
名をSと言い、高校卒業後に長距離トラックの運転手として働いている人だったそうだ。
彼らがまだ高校の時、自分も遊びに混じって、色々と悪い事をしていた事が思い出される。

今日は眠いから、まだ今度挨拶をしよう。と、父はそのまま寝てしまったそうだ。


227 :父の話2:2007/10/18(木) 13:23:48 ID:iGygA+4g0
次の日の朝。
居間に下りていくと兄が朝食を食べている所だったので、
「昨日はずいぶん騒がしくやってたみたいやな、煩くて起きてもうたわ。」
と挨拶も端折ってしゃべりかけると、兄はきょとんとした顔をして「何が?」と聞き返してきた。

兄の返答に父も同じ顔をして、
「何が、じゃなくて。夜中に酒盛りしてたんやろ?めっちゃ声聞こえてたで。」
「…昨日はしてへんけど。普通に寝てたで。」
「嘘や、Sも居たやろ?あいつの声も聞こえたもん」
言い返すと、途端に兄の顔が青ざめて、「お前、大丈夫か?」と心配顔で問われた。

「大丈夫やけど…俺何か変な事言った?」

「Sってお前…

 去年死んだやろ、事故で。」


228 :父の話3(ラスト):2007/10/18(木) 13:24:27 ID:iGygA+4g0
そこで父は、はっとしてカレンダーを見た。
丁度その日は去年、Sが長距離トラックで事故を起こした日。つまり命日だったそうだ。

後に兄と二人で、
「Sが会いに来てくれたんやなぁ、また線香上げに行こう」
というような話をしたそうだ。

さて、私…つまりこの投稿をしている私は、小学校の低学年から高学年になるまでを父の実家、つまり祖父母の家で暮らしていた事がある。

父の実家は二階建てで、古い物ではあるが鉄筋コンクリート造りのしっかりした建物だ。
私達家族は二回で寝起きをし、祖父母は一階で寝起きをしていた。

その時私が部屋にしていた場所が、その時の兄の部屋だったそうだ。

父にまつわる話は他にも結構あったりする。
そして私自身にも…。また機会とか需要とか時間とかがあれば書きに来ます。
長文失礼しますた。


***

240 :首1:2007/10/18(木) 15:36:22 ID:iGygA+4g0
>>225で「父の話」を投稿した物です。
暇だったので、もう一個。

「父の話」で、私の父がレストランバーを経営している話を少しした。
今現在経営している店舗は1店舗だけだが、少し前までは2店舗の経営を行っていた。

その2つ目のお店の話。

その店舗は元々、父の友人とその母親が二人で経営をしていたお店だった。
しかしその母親が亡くなってしまい、人手が足りずに立ち行かなくなったので、
友人が父にお店を貸すという形で経営を引き受ける事になった店だった。

引き受ける、と言ってもまるまる同じ形で経営を再開する訳ではない。
経営者が父に代わり、開店時間やメニューの内容、お店の雰囲気もがらっと変える事になったので、開店準備のために約1ヶ月、掃除や冷蔵庫の搬入などの期間があった。


241 :首2:2007/10/18(木) 15:38:57 ID:iGygA+4g0

その準備の初日。私は両親に無理矢理店舗準備に駆り出されて、嫌々ながら付いていった。
駐車場で車から降りた時はなんとも無かったのだが、裏口に回った途端、くらっとくるような頭痛に襲われた。

これまでそんな風に体調が悪くなった事がなかったので驚きと痛みでしゃがみ込むと、目の前にそれなりに大きな柿の木と、その根元に置かれているマネキンの首が飛び込んで来た。

「ぎゃっ」

と思わず悲鳴を上げると、裏口の鍵を開けていた父がこちらを振り返り、
「大丈夫かー?」
と暢気に聞いてきた。

「あれ何?めっちゃ怖いねんけど…」
怖くて指を差せず、目線でマネキンを示すと父は納得したように頷き
「よく知らんねん。ずーっとあるみたい。」
と言い、さっさと中に入っていってしまった。

私も、その場から逃げるようにして中に飛び込み、ドアを閉める。
振り返った時、マネキンと視線がばっちり合ってしまいもう一度「うわぁ…っ」と情け無い声を出してしまった。

裏口を入るとすぐ厨房になっている。客席と平行するように真っ直ぐ伸びた厨房は、今入ってきた扉を中心にT字に広がった変わった構造をしていた。

ドアを閉めたというのに、まだ向こう側からマネキンに見られている気がする。
あれだけ怖い物なのに、霊感が強い父が気づいて無いはずが無い。


242 :首3:2007/10/18(木) 15:41:28 ID:iGygA+4g0
慌てて父の傍に行き、必死でアレはヤヴァイと言い募ると、父はコップを磨きながら
「分かってる分かってる、今度知り合いの業者に一緒に持って言ってもらうから」
とのんびり答えた。それまでは気にするな、と言いたいらしい。
というか、捨てるのかよ…とか、お祓いしなくて大丈夫か?とか色々思ったのだが、その時は言わなかった。

それから一週間ほど、何事も無く開店準備は進み、私は相変わらず出入り口に鎮座するマネキンの首にビビる日々が続いた。

ある日、お店に行くと、いつも首の部分を根が生えてるんじゃね?というぐらいがっちり下に向けていたマネキンの首が、横向けに転がっているのを発見した。
その時はすでに、オープンスタッフとして新しいアルバイトの人も手伝いに来ていたので、多分誰かが蹴飛ばしたのだろう、怖い物知らずだなぁ…と思っただけだった。

その後30分ぐらい、全員で床掃除をしていてふと私が裏口から外に出た時、
30分前まで転がっていたはずの首が、また同じ場所でいつもと同じようにいつもと同じ角度でこちらを見ているのに気づき、
さぁっと体中に鳥肌が立った。

この30分の間、裏口から出入りしたのは私一人だけだった。
人数が少なかったので間違いない。
近所の人が首を起こしたのか?とも考えたが夜中の11時にわざわざ店の裏側
(しかも裏にはそれなりに大きな用水路がある)に来るご近所さんが居るとは思えない。
何より、ただ起こすだけならあの角度にする必要は、無い。

243 :首4:2007/10/18(木) 15:43:50 ID:iGygA+4g0
ドアを開けたポーズで完全に固まっていた私は、慌てて凄い勢いでドアを閉める。
背中にはシャツがべたべたになるほどの冷や汗をかいていた。

マネキンの首が、勝手に起き上がった…?

半泣きになって動けないでいると、ドアを閉める爆音に驚いた父がこちらに近寄ってくる。
「どうしたんや、そんな勢いでドア閉めたら壊れるやろー?」
こっちは死ぬほど驚いているのに、なんとも暢気な物である。

マネキンの首の事を、恐怖にどもりながら伝えると、父は少し真面目な顔をして
「今日はもう帰ろうか。」
と言って、皆に片付けの指示を始めた。

その後、裏口ではなく表にある店側の出入り口から店を出た。

次の日の夕方、植木屋が伐採した枝葉と共に、マネキンの首を引き取ってくれる事になった。
植木屋が父の顔見知りだったらしく、一緒に焼却処分してくれるという事だった。

後日、お店が開店をしてオープン後のばたばたが過ぎた頃に、マネキンを引き取ってくれた植木屋さんがご飯を食べに来てくれた。その時に、ふと例のマネキンの事が話題に上った。

「そういえばあのマネキンの首、うちの大将(植木屋の社長)が見て驚いてたで。」
「え、何がですか?」

244 :首5(ラスト):2007/10/18(木) 15:45:20 ID:iGygA+4g0
「俺はそういうの信じてへんねんけどな、大将は霊感っちゅーのがあるらしくって、マネキンの首見て『えらいもん引き取ってきたな!』てびっくりしてたわ。アレ、相当危ないもんやったみたいやで」

「それで…?」
「うん、まぁ近いうちに焼くかぁと思って、焼却炉の上に転がしておいたんやけどな、次の日その前通ったら、マネキンの首が起き上がっててん!びっくりしたわー。
夜中に作業場の辺りは近所の奴は入れへんし、スタッフの誰かが触ったんか思て聞いて回っても誰も触ってないって言うし…
社長が早く焼いて来いって言うから、その日のうちに焼いたわ。」

焼く前に、マネキンの首に日本酒をかけたらしい。気休めのお清めだそうだ。

秋になり、マネキンが居座っていた柿の木に実が成った。
試しに食べてみるとめちゃめちゃ美味かった。

「この柿使って秋限定パフェ作ろうかな。タダやし。」
「…やめといた方がいいと思うけど…」

結局、秋限定パフェは出なかった。

調子乗って長すぎた。
スマン。


245 :本当にあった怖い名無し:2007/10/18(木) 15:53:27 ID:JmC21Ft/O
二軒目の店はどのような顛末でたたむことに?


247 :本当にあった怖い名無し:2007/10/18(木) 16:03:34 ID:iGygA+4g0
>>245
純粋に経営不振でw
二件目がつらくなる事で、一軒目まで危なくなりそうなので、
うちとは関係の無い人に受け渡しました。
悪い言い方をすれば切り捨てたみたいな状態。

今もやってるみたいなんですが…あの店すごく出るんだよなぁ。
また暇してたら、店での体験書きますね。



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