行方不明から1年、キャンプ場で母がチラシ「笑顔が…」

玉木祥子
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 山梨県道志村のキャンプ場で、当時7歳の小学1年生だった千葉県成田市の小倉美咲さんが行方不明になってから21日で1年がたった。山梨県警は節目のこの日、改めて川やダムを捜索したが、手がかりは見つからなかった。家族は無事に帰ってくることを信じ、情報を求め続けている。

 午前10時半ごろ、県警機動隊員と大月署員の計34人態勢で着手した。キャンプ場内の沢が流れ込む道志川を、相模原市の道志ダムに至る約10キロにわたり調べた。機動隊員は川に入り、ダムには潜って調べた。

 母とも子さん(37)とボランティアらは美咲さんの特徴が書かれたチラシを、大月署員と一緒にキャンプ場や近くの道の駅で配った。

 昨年の9月21日は3連休の初日。美咲さんはとも子さんや姉(11)、友人の家族ら計27人のグループで、2泊3日の日程で椿荘(つばきそう)オートキャンプ場を訪れた。1年たったこの日は4連休の3日目。コロナ禍の状況でも、キャンプ場は家族連れらでにぎわっていた。

 「娘を捜しています」「写真は髪が短いですが、今は伸びて私くらいになっていると思います」。声をかけるとも子さんの手には、美咲さんがお気に入りだった犬のぬいぐるみがあった。

 一方、美咲さんが先に遊びに行った友達を追いかけ、行方がわからなくなったのは午後3時40分ごろ。キャンプ場周辺の3カ所ではこの時刻に合わせ、署員が検問を実施し、「昨年も来ていませんか」「この辺りにはよく来ますか」などとドライバーらに尋ねた。

 新型コロナウイルスの感染が広がったため、家族らがチラシ配りをしたのは今年2月以来7カ月ぶり。キャンプ場を訪れるのは、行方不明直後の16日間にわたる捜索後、約7カ月半ぶりの捜索となった5月26、27日以来だった。

 季節は巡り、とも子さんは木々の青さや気温が、美咲さんがいなくなった当時と同じだと感じたという。

 「娘と交わした言葉や笑顔が鮮明に思い出されて苦しいし、あの時に帰れたらという思いがこみ上げてきた」。そう胸中を語り、「必ず美咲が無事に戻ってくる、という強い気持ちを持って捜し続ける。気にかけていただけるとありがたいです」と呼びかけた。

 大月署の小林秀紀・生活安全課長は「今後もさまざまな可能性をふまえて捜査、捜索していく」と話した。今月20日までに、県警には3586件の情報が寄せられた。情報は大月署(0554・22・0110)へ。(玉木祥子)

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