【青山尚暉のわんダフルカーライフ】電動車はドッグフレンドリーカーとしてふさわしいか?

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世界的にクルマの電動化が進んでいる。ボルボはすでに全ラインナップに電動モデルが用意され、ピュアEVの新型車もコンパクトカーから大型SUVまで数多く揃い、選べる時代になってきた。

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ボルボ XC40 リチャージボルボ XC40 リチャージ

電動車は加速がスムーズで静か。ピュアEVともなれば、クルマとして最上級の快適性、静粛性が約束される。排出ガスを出さず、メーター周りにも先進性があり、まるで、自宅のリビングルームがそのまま空間移動しているような感覚だ。だが、人間だけのドライブならともかく、愛犬連れのドライブで、ピュアEVはどうなのか? 今回のわんダフルカーライフは、その疑問について、我が家流に検証していきたいと思う(筆者はモータージャーナリストにしてドッグライフプロデューサー、カミサンはドッグスタイリスト)。

ドッグフレンドリーカー候補にピュアEVをいれるなら…

テスラ モデル3テスラ モデル3

愛犬とドライブする機会、愛犬と撮影のために遠出することも多い我が家がもし、ドッグフレンドリーカーとしてピュアEVを所有するとしたら、EV航続距離は実質350kmぐらい必要になる。その理由は、わが家が頻繁に愛犬とドライブする、夫婦にとって思い出深い地でもあり、愛犬のジャックラッセルのララの故郷でもある軽井沢との往復距離が約340kmだからで、余裕を見て350kmとしているのだ。

電動車はドッグフレンドリーカーとしてふさわしいか?電動車はドッグフレンドリーカーとしてふさわしいか?
電動車はドッグフレンドリーカーとしてふさわしいか?電動車はドッグフレンドリーカーとしてふさわしいか?

もちろん、高速道路のSA・PAの多くには、充電スポットがある。ただ、ほとんどが1基、最大でも3基ぐらいだから、先客がいた場合、ちょっと面倒だ。充電中も、人間だけなら施設でショッピングし、食事をすることなどで時間をつぶせる。が、犬連れだと施設の中に入れない。愛犬をクルマの中に残すなどありえないことで、気候のいい春秋なら施設のテラス席で愛犬とともに休憩、飲食もできるのだが、真夏や真冬はそうはいかない。だから、ドライブ途中での充電をなるべくしないで済むEV航続距離が必要というわけだ(現地では充電する)。

日産 リーフ e+日産 リーフ e+

ドッグフレンドリーリゾートでもある軽井沢を好み、ピュアEVをドッグフレンドリーカー候補として検討している愛犬家にとって救われるのは、軽井沢が愛犬同伴のドライブ旅行でも、充電することがたやすい場所だということ。充電スタンド付きの愛犬同伴専門のホテルとして「アートホテルドッグレッグ」などがあり、また、決定打として、軽井沢に行けばまず立ち寄ることになるプリンスショッピングプラザの駐車場(数基)、軽井沢町役場などに充電スポットがあるからだ。

アートホテルドッグレッグ軽井沢アートホテルドッグレッグ軽井沢
アートホテルドッグレッグ軽井沢のEVスタンドアートホテルドッグレッグ軽井沢のEVスタンド
プリンスショッピングプラザのEVスタンドプリンスショッピングプラザのEVスタンド

特にプリンスショッピングプラザ内は愛犬同伴可能で、多くのショップの店内に、抱っこ、ドッグカートに入れることで入店可能。DOG DEPTなどの店内愛犬同伴可能なショップ、カフェから有料ドッグランまであり、”充電のためだけに時間を使う”ようなことにはならないからうれしい。

愛犬同伴可能のDOG DEPTカフェ愛犬同伴可能のDOG DEPTカフェ
プリンスショッピングプラザ併設の有料ドッグランプリンスショッピングプラザ併設の有料ドッグラン

つまり、自宅に充電設備があり、充電しながら愛犬とショッピングや食事を楽しめるような場所を目的地とすれば、最低、片道のEV走行可能距離があるピュアEVは、間違いなくドッグフレンドリーカーになるだろう。

ボクのように、ピュアEVに乗ると、走り始めた瞬間から電欠の心配をしてしまうような臆病者は、さすがに片道のEV走行距離しか保証されないピュアEVではなかなか腰を上げないものの、くどいようだが軽井沢に行くのであれば、実質350km以上のEV航続距離があれば、かなり安心できるのである。往路、上信越道・碓井軽井沢ICからは延々と続く上り坂だが、帰路は逆に下り坂で、回生によって電気がぐんぐんたまるから、さらに安心だったりする。

ドッグフレンドリーリゾート、軽井沢に行くならばこのクルマ

テスラ モデル3テスラ モデル3

例えば、アウディの新星ピュアEV『e-tron』の公称EV走行可能距離はWLTCモードで405km。実際に満充電で借り出したところ、メーターに示された航続距離は360kmで、このとき軽井沢にこそ行かなかったものの、なんだかホッとできたのも本当だ。駆動方式が前後2モーターのクワトロ(4WD)だから、標高1000mの冬の軽井沢も安心である。

アウディ e-tron スポーツバックアウディ e-tron スポーツバック
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日産『リーフ』のe+も実質350kmぐらいは走れるから、パッケージ面でのドッグフレンドリー度はともかく、ロングドライブも安心なピュアEVと言えるし、あのテスラはもちろん、ジャガーのピュアEV、『I-PACE』もWLTCモードで470kmとされ、エアコンなどを使い、リアルワールドで走行しても350kmは堅そうだ。

日産 リーフ e+日産 リーフ e+
テスラ モデル3テスラ モデル3
ジャガー I-PACEジャガー I-PACE

安心を求めるとプラグインハイブリッドも捨てがたい

とはいえ、軽井沢は別にして、充電のしやすい目的地が、必ずしもドッグフレンドリーリゾートばかりではないことも事実。あくまで、愛犬連れドライブ、愛犬ファーストでの話、として聞いてほしいのだが、超心配性でもあるボクとしては、HV→PHV(PHEV)→ピュアEVとある電動車でも、現時点ではモーター走行が可能かつ、”保険として”エンジンも積んでいる、ガソリン車とは別次元のスムーズで静かな走行が自慢のPHV(PHEV)に、電動車としての魅力、安心を求めてしまう。

トヨタ プリウスPHVトヨタ プリウスPHV
トヨタ RAV4 PHVトヨタ RAV4 PHV
ジャガー I-PACEジャガー I-PACE

国産車なら三菱『アウトランダーPHEV』、トヨタ『RAV4 PHV』、輸入車ならボルボ『XC40』、『XC60』のリチャージプラグインハイブリッド(PHV)などなら、ドッグフレンドリーカーとしての使い勝手も文句なし。また4WDであるがゆえのオールラウンダーとしての安心感もあり、さらに電欠の心配も、ガソリンが入っている限りなし。充電スポットのお世話にならずに、愛犬とのより快適で充実したドライブが可能になる。もっと言えば、自宅に充電設備がなくても導入しやすいのが、PHVでもあるのだ。

三菱 アウトランダーPHEV三菱 アウトランダーPHEV
トヨタ RAV4 PHVトヨタ RAV4 PHV
ボルボ V60 リチャージボルボ V60 リチャージ

加えて、愛犬とのアウトドアシーンで、AC100V/1500Wコンセント装着車なら、車内外で1500Wまでの電化製品が使え、車内が”どこでもドッグカフェ”になるなど、絶大なる威力を発揮するのは愛犬家にとって大いなる魅力であり(災害時の愛犬同伴避難車両としても)、ピュアEVと違い、AC100V/1500Wの電力をバッテリーの減りを気にせず使えるところも優位点と言える。

トヨタ RAV4 PHVトヨタ RAV4 PHV
三菱 アウトランダーPHEV三菱 アウトランダーPHEV

ピュアEVかPHV、わが家で買うなら…

話をまとめると、電動車の中でも終始モーター走行をしてくれるピュアEVは、その走行のスムーズさ、圧倒的な静かさによって、車内でどこかにつかまれない犬も安心して乗っていられる。また犬は聴覚に優れているため、ピュアEVならではの静かすぎる移動空間は犬にも最適と言っていい。

もっとも、EV航続距離に余裕があるピュアEVは、リーフe+(WLTCモード458km)、テスラ『モデル3』(スタンダードレンジプラスWLTPモード409km)で500万円前後、アウデe-tron(WLTCモード405km)、ジャガーI-PACE(WLTCモード470km)あたりになると1000万円オーバーという価格面の問題は別にあったりするのだが…。

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ここからはわが家の見解として聞いてほしいのだが、ピュアEVは、愛犬とのドライブ途中に充電する際、クルマを離れたときの自由度(ペットNGの施設しかないなど)が制限される場合が多いのがネック。が、それをEV航続距離、ドライブプラニング、目的地によって解決できるのであれば、理想的なドッグフレンドリーカーになる可能性はある。

ただ、わが家でピュアEV 1台だけの所有は、頻繁に行う愛犬同伴のロングドライブでの充電環境を考えると、まだちょっと不安。所有車1台限定なら、ボルボのリチャージプラグインハイブリッドのようなPHVが理想という結論に落ち着きそうだ。

ボルボ XC40 リチャージボルボ XC40 リチャージ
ボルボ XC40 リチャージボルボ XC40 リチャージ
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青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、ラジオ番組の出演、イベントも手がけ、愛犬との安心快適な自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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