中国の新築マンション、「国慶節」商戦の成約低調 主要15都市で3割減、地方都市の不振が目立つ

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今年の国慶節の新築マンション商戦は、省都クラス以下の地方都市で不振が目立った(写真は福建省の省都の福州市)

中国の不動産デベロッパーにとって、毎年10月の国慶節(中国の建国記念日)の7連休はマンション販売の書き入れ時の一つだ。しかし最近の不動産市況の減速を受け、今年の国慶節(連休期間は10月1日から7日まで)のマンション商戦は低調に終始、なかでも地方都市の不振が目立った。

調査会社の中指研究院が10月8日に発表したデータによれば、国慶節の連休期間に成約した新築マンションの総面積は前年同期比33%も減少した。調査の対象は北京、上海、広州、深圳の4大都市、武漢や福州など省都クラスの7都市、そして東莞や温州など(不動産取引が活発な)4つの地方都市の合計15都市だ。

都市の規模別に見ると、連休期間の4大都市の成約面積は合計42万1900平方メートルと、ほぼ前年並みだった。ところが、省都クラスの7都市は成約面積が前年同期比43%減の合計35万3200平方メートル、4つの地方都市は同44%減の合計13万6800平方メートルに落ち込んだ。

市況減速の背景に中国政府の規制強化

中国の不動産市場では、今年7月から新築マンションの成約面積の前年割れが続いている。中国国家統計局のデータによれば、7月の全国の新築マンション販売面積は1億3013万平方メートルと、1~6月の月間平均成約面積を12%下回った。続く8月は1億2545万平方メートルと、同じく1~6月の月間平均販売面積を15%下回り、減少幅が拡大した。

さらに、中指研究院がまとめた9月のデータを見ると、上述の15都市の新築マンション成約面積は前年同月比35.6%減少、直前の8月との比較では6.9%減少した。国慶節のマンション商戦が低調に終わったのは、こうした7月以降の流れが変わらなかったためだ。

本記事は「財新」の提供記事です

不動産市況の減速の背景には、中国政府の規制強化がある。住宅投機の加熱を抑えるため、個人が購入できるマンションの戸数を制限したり、不動産デベロッパーに対する金融機関の融資を引き締めたりしてきた。

中指研究院のアナリストの陳文静氏は、「一部の都市では10月以降に規制が幾分緩和され、不動産市況が持ち直す可能性がある」と見る。とはいえ、中国政府が規制を全面的に緩和する見込みはなく、「不動産市況全体への下押し圧力は短期的には弱まらない」と予想している。

(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は10月8日

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