第3回「隠したって抗議は消えない」 ハンストの男性、訴え妨げた「人垣」
沖縄県と政府が共催する復帰50周年記念式典は、県庁から10キロほどの沖縄コンベンションセンター(宜野湾市)で開かれていた。
「さとうきび畑」がラジオから流れるタクシーを降りて、わたしはある男性を探した。
元山仁士郎さん(30)。宜野湾市出身の一橋大学院生だ。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設断念などを政府に求め、ハンガーストライキ中だった。
式典会場前にいると聞き、元山さんの目に「復帰50年」はどう映るのかたずねてみたいと考えた。
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沖縄が本土に復帰して、今年5月15日で50年を迎えました。復帰10年後に那覇市で生まれ育った記者が、地元にかえり、身近な人たちに話を聞きながら、本土復帰とはなんだったかを考えます。
「式典反対」を訴えるデモ隊の声が、太鼓のリズムにのって聞こえてくる。交通規制中のバイパスをぐるっと大回りした先で見つけた元山さんは、すでに報道陣に囲まれ、取材が始まっていた。
――スケジュールや計画は?
「岸田(文雄)首相が帰られるので、少しでもわたしの姿が目に入ればいいなという思いで、動線近くにいます」
――玉城(デニー)知事の式辞はどのように受けとめましたか?
「沖縄の人たちが普通に暮ら…
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