スカイマーク「組合軽視」が招いた一触即発の事態 パイロットの争議行為で通常運航にあわや支障

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スカイマークは国内第3位の中堅航空会社。ANAホールディングスや投資ファンドのインテグラルが出資し、経営再建をはたした(撮影:尾形文繁)

あわや、一部のフライトが停止や遅延しかねない一触即発の事態にスカイマークは陥っていた。

「コロナ影響から脱却し、3期ぶりに黒字化を達成しました。2022年12月に再上場し、新たな成長ステージに立っています」。国内3位の中堅航空会社・スカイマークの洞駿(ほら・はやお)社長は、5月15日に開催された決算会見でこう胸を張った。

だが好業績とは裏腹に同社はいま新たな経営問題に直面している。それは、労使交渉だ。

5月17日、厚生労働省のHPにスカイマーク乗員(パイロット)組合の「公益事業に関する争議行為の予告」が発表された。運輸事業などを行う一部企業が、大規模なストライキなど争議行為を行う場合は、その予告を中央労働委員会と厚生労働大臣に通知する必要がある。

組合結成から2カ月足らずで「争議行為」の予告

スカイマークによれば、乗員組合が結成されたのは、2023年3月28日とごく最近のことだ。そこから2カ月足らずで、争議行為の予告に至っている。いったい、スカイマークの労使交渉で何が起きているのか。東洋経済の取材で、組合側の要求と会社側の対応など労使交渉の全容が明らかになった。

スカイマーク乗員組合が同社幹部に連絡を入れたのは、4月4日のこと。2つの要求を会社側に提示した。

1つ目は、組合設立に関するもので、組合事務室、コピー機の提供や組合費を給与から天引きし、組合に納入すること(チェックオフ)などを要求している。2つ目は勤務環境改善の要求で、運航宿泊先である鹿児島のホテルの改善を求めている。

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