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ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(210)ドキュメンタリー映画「Let It Be」の新たなプロジェクトがついに始動!

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1 ファン待望のあの作品がついにリメークされる!

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2019年2月、アップル・レコードは、「ロード・オヴ・ザ・リング」の三部作で絶賛された映画監督のピーター・ジャクソンと提携し、1970年に公開されたドキュメンタリー映画「Let It Be」を、新たに編集して公開するプロジェクトを始動すると発表しました。

オリジナルの映画は、マイケル・リンゼイ・ホッグ監督により1969年初めに撮影され、1970年に正式に解散する直前のビートルズが、スタジオで同名のアルバムのリハーサル及びレコーディングをしている様子をドキュメンタリータッチで描いたものです。しかし、この作品は、4人のギスギスした関係がモロに現れていて、私としては、正直観るのが辛いものでした( ノД`)

ビートルズは、1968年に「ホワイトアルバム」をレコーディングしましたが、そこで初めてメンバーの間に嫌な緊張感が生まれ、それがさらにこの作品では増幅されていました。

 

2 「Naked」はリリースされたが

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(1)ストーンズのロックンロール・サーカス 

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ホッグは、1968年に、彼は、ロックンロールとサーカスを融合するというコンセプトで、ローリングストーンズが企画した「ローリングストーンズ・ロックンロールサーカス」と題する作品を制作しました。これは、ローリングストーンズ、ザ・フーエリック・クラプトンなどの豪華なメンバーが登場するコンサートを舞台にした映画です。

しかし、ストーンズは、30年間テープを封印し、映像は、1996年までリリースされませんでした。その理由は、明らかにされていません。

(2)「Let It Be」もビデオは公開されなかった

同じように「Let It Be」も1970年に映画が劇場公開されたもののビデオは公開されず、音源も33年間公開されませんでした(80年代前半に一時販売されたホームビデオ版を除く)。ホッグもよくよくついていませんね(^_^;)

ビートルズは、2003年にアルバム「Let It Be…Naked」をリリースしたと同時に、「Let It Be」のDVDにも取り組んでいました。その際、ホッグは、ビートルズの詳細に至るまで記録した映像を極力カットしないよう要求しました。

Nakedは、フィル・スペクターにより編集される前の状態の音源を使用したものです。彼の編集に不満を抱いていたポールがヨーコ(ジョンはもう亡くなっていました)、ジョージ、リンゴの同意を得てリリースに漕ぎつけたのです。

3 「Let It Be」のDVDはリリースされなかった

(1)DVDをリリースする計画はあった

liv on Twitter: "I know george didnât want to go on the roof but...he looked damn good on it⦠"

しかし、「Let It Be」のDVDは、リリースされませんでした。これについてホッグは、2003年のインタヴューで次のように応えています。

「2004年に2枚のDVDをリリースする計画があった。そのうちの1枚は、映画「Let It Be」で、映像は修復され、サウンドは現在の標準にミックスされた。もう1枚は、ビートルズのインタヴューの一部を私がやったシーンや特別な資料を収録したものだ。」

ビートルズが原作のフィルムを編集でカットするよう主張したシーンはあったのか?

「「Let It Be」の撮影当時、4人はバラバラで、彼らの映像を映画の中に取り込むのは困難だった。彼らは、スターであると同時に監督でもあり、少しずつ違う考えを持っていたからだ。」

監督としては、やりづらいことこのうえなかったでしょうね(^_^;)DVDがリリースされなかった理由ははっきりしませんが、何らかの「大人の事情」があったのでしょう。

 

(2)大幅にカットされたジョンとヨーコのシーン

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ビートルズは、映画を気に入らなかったようだが、そのことであなたは悩んでいたのか?

「まあ、色々な見方がある。私は、飛行機でポールとばったり出会った。彼は、かなり最近のことだが、あれを観て好きだと言った。そして、私は、ジョンも好きだったと思う。もし、彼が好きじゃないと応えたら、それは、その当時のポールに対する彼の感情が原因だろう。」

「ある夜、我々は、ラフカットをジョンとヨーコ、ポールとリンダ、そしてビートルズの管理担当だったピーター・ブラウンと共に見た後で私は夕食に出かけた。翌日、ピーター電話してきて、「ヨーコと一緒にいるジョンの映像がたくさんありますが、あれはカットした方が良いと思います。」と言ってきた。そして私は「それは面白いね。」と応えた。

「彼は、「言い変えれば、今朝、3回(3人のビートルズから)電話があり、あそこはカットすべきだと言ってきたんです。」と話した。」3人のビートルズといえば、もちろん分かりますよね。

「ジョンとヨーコが一緒にいるシーンはオリジナルではもっとたくさんあったんだ。彼女とジョン…私は、彼女がビートルズを解散したなどと言っているんじゃない…彼らは、まるでグループ内の別のキャンプにいるようにみえた。だから、そこはカットしたんだ。」

(3)ジョージは映画が嫌いだった

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「ジョージは、彼の人生の中での不幸な時期を象徴するようなものだったから、あの映画は好きじゃなかった。彼は、プレッシャーを受けると過剰に反応するほど繊細だった。」

「その当時は、ちょうど彼がレノン=マッカートニーの支配下から抜け出そうとしていた時だった。一つの作曲チームからの離脱という意味でね。」

「アルバムに12曲収録された内、レノン=マッカートニーは10曲、リンゴは1曲、そして、ジョージも1曲しか採用されなかった。彼は、自分の芸術的な才能に気づいていて、いくつかの素晴らしい曲を書いていた。彼は、もっと自分自身のための表現をしたいという欲求を持っていたんだ。」

「ジョージがポールからの注文にキレて「こんな風にプレイして欲しいっていうんならそうするし、して欲しくないならやらないよ。どっちにしろ、言ったようにやりゃいいんだろう。」と反発した。あなたは、あのシーンがどれほど象徴的になるかを分かっていたのか?

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「いいや。でも、私は、彼らが感情的になりかけていたことには気づいていた。ポールを上から見下ろして撮影したショットがある。ジョージが話しているショットは、長くて少しピントが合っていない。」

「私は、何かが起こりそうだと勘付いていたので、彼らがカメラを意識してはまずいと考えた。そこで、私は、彼らから見えないガントリークレーン(カメラを自由に動かせるクレーン)の中に1台のカメラを置いて上から撮影したので、彼らは気づかなかった。もう一方のカメラは、スタジオの後方に戻した。だから、彼らはカメラを意識せず、ありのままのやり取りを撮影できた。私は、この2人のミュージシャンの間の意見の食い違いをそのまま見せたいと思っていた。」

ジョンとヨーコ以外で、ビートルズがカットしてくれと主張したシーンは他にあるのか?

「いいや。私は、できるだけカットしないように説得した。一つは、メンバー同士の議論であり、もう一つは、ポールがライヴをすることについてジョンと話しているときだ。ジョンは、退屈だったからなのか、死にかけているかのように見えた(笑)撮影を続けるのは難しかったよ。」

ジョンもジョージもリンゴも嫌気が差していたんですね。ポール一人が躍起になっていました。

 

(4)伝説となったルーフトップ・コンサート

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有名な「ルーフトップ・コンサート」はどのようにして生まれたのか?

「元々、このプロジェクトは、テレビの特別番組になり、ドキュメンタリー映像は、それをサポートするために使用されるはずだった。その企画が立ち消えになった時に、私は、少なくとも何かに狙いを定め、ある種のコンサートをやろうという考えを持っていた。」

「ルーフトップ・コンサートの素晴らしいところは、彼らが、公共の場で一緒に演奏した最後の時間だったという点だ。我々は、映画を制作した、それは、最後に最も社会的、音楽的に影響力のあるものだ。」

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映画の詳しい内容は、まだ明らかにされていませんが、おそらくオリジナル作品の持つ解散に対するネガティヴなイメージをポジティヴに変えるものになると思われます。そうでないと、ファンだけでなく、一般の人々にも受け入られにくいでしょうから。もう50年近くも経っていますし、あれでメンバーが新たなスタートを切ったのだととらえてもよいでしょう。

 

4 ついに封印が解かれる日が来た!

(1)ファンは切望していた

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映画「Let It Be」は、劇場公開以来、一般に目にすることができなくなってしまい、ファンの嘆きは大きいものでした。未公開映像や音源がたくさん存在することが確認されていることから、何とか公開してほしいというのがファンの切なる願いだったのです。

今回、ジャクソンが新たなプロジェクトを立ち上げることは、ファンにとってもビートルズを知らない人々にとっても、とても喜ばしいニュースです。

ただ、ビートルズを素材にすることは、とても勇気のいる行為です。称賛されるか非難の嵐に晒されるか、どちらにしても既にステータスの高い地位にある人が取り組むには覚悟が必要です。

このドキュメンタリーは、ビートルズが、現代の歴史の中で最も偉大な、最も影響力のある、そして永遠に輝き続けるバンドとしての地位を、さらに確固たるものにすると期待されます。

(2)55時間もの未公開映像と140時間にも及ぶ音源が使用される

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ジャクソンは、こう語っています。「55時間もの未公開映像と140時間にも及ぶ音源は、ビートルズファンが長年夢見てきた究極の世界へいざなってくれるだろう。観客は、タイムマシンに乗って1969年にタイムスリップする。この4人と共にスタジオで、一緒に素晴らしい音楽を作ることになる。」

この映画は、元々テレビ用のドキュメンタリーとして企画されたものでした。それが、いつのまにか長編映画に改編されたのですが、ピーター・ジャクソンは、テレビの60分の放送時間では、とてもこの映像と音源の素晴らしさを伝えることはできなかっただろうと判断しました。

ロン・ハワード監督が2016年に制作したビートルズドキュメンタリー映画である「エイト・デイズ・ア・ウィーク」の初演に招待されたジャクソンは「私は音楽的な専門家ではない。しかし、ビートルズは、そんな私が好きな唯一の音楽なんだ。」と語りました。「この驚くべき映像を託されたことを光栄に思っている。」

2018年に公開された伝説のバンド、クイーンを描いた「ボヘミアン・ラプソディ」は大成功を収め、彼らを知らない世代も虜(とりこ)にしました。あれとは違いこの作品は、ドキュメンタリーであるだけに創作することはできません。

その制約の中で、どれだけジャクソンが才能を発揮させるか。「ホワイトアルバム」と同じように、この映画もまたビートルズの新たな一面を発見する手掛かりとなるのでしょうか? 

(参照文献)SCREENRANT, EW.com, Good News Network

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