The BEATLES Cover Unit さいもん

私たち「さいもん」は、主にアコースティックでビートルズカバーをやっています。 数あるビートルズ 曲の中でも、美しいメロディーやコーラスがいいなと思った曲を、 素直に、シンプルに、楽しく、表現することを心がけています。   私たちにとって偉大な存在であるビートルズ に敬意を表して、 ビートルマニア視点ながらも、ビートルズ を知らない、 一人でも多くの人に、ちょっとでもビートルズっていいんだなと思ってくれると幸いです。   東京、埼玉、千葉のライブハウスや、ライブバーのイベントに出没して ビートルズを楽しく

ポール・サイモンとビートルズ②【明日に架ける橋】

Paul Simon

 

前回の「ポール・サイモンビートルズ」、意外なほど評判にならなかったのと、「ポール・サイモン 音楽と人生を語る」(DU BOOKS)の斜め読みが少々進んだので、調子に載って「その2」といきたいと思います(笑)。

 

いろんな有名バンドで――それこそビートルズからオアシスまで(古いですかね)――

バンド内のいざこざが表に出ていますが、サイモン&ガーファンクルも「仲が悪い」「お互い相手に好きなこと言っている」という点では引けをとらないかと思います(笑)。

 

そこで今回は、サイモン&ガーファンクルの存続がヤバくなってきた、時期的にはアルバム『明日に架ける橋』をレコーディングしているあたりを中心に斜め読みしてみました(笑)。

 

サイモン&ガーファンクル、勝手にアレンジされた「サウンド・オブ・サイレンス」が知らん間に大ヒットした1966年から、1970年の最後のアルバム『明日に架ける橋』まで、たったの4、5年しか活動していないのですね(下積み時代は長いですが)。

 

‘たった8年’のビートルズに比べてもかなり短いです、というか半分です(笑)。

 

それなのに、『明日に架ける橋』のレコーディング時、1969年にはすでに相当ゴタゴタしていたというのですから、それで結果的に終わってしまうのですから、いったいなにを考えているのか、と(笑)。

 

で、その1969年ですが、「ミセス・ロビンソン」でグラミーの「最優秀レコード賞」をゲットしてます。

まさに絶頂、ではありませんか。いいことづくめですよ、ホント。

ごちゃごちゃ言いあっている場合ではないはずですよね、普通なら(笑)。

 

しかもですよ、その最優秀レコード賞、なんとノミネートされていたビートルズ「ヘイ・ジュード」を破っての受賞、ですよ。まさに快挙でしょう。

おい、一体全体なにが面白くないってんだ(笑)?

 

ポール・サイモンさんだって自分でこんなこと言ってます(笑)。

「とても勝てっこないと思っていた--別に〈ヘイ・ジュード〉のほうが〈ミセス・ロビンソン〉よりいい曲だと思っていたわけじゃない。でも『ビートルズには絶対勝てない』と思っていたんだ」。(「ポール・サイモン 音楽と人生を語る」(DU BOOKS))

 

ちょっと引っかかる点はありますが、まずは順当な思いでしょうか(笑)。

 

「あの夜は〈ミセス・ロビンソン〉がグラミーを取ったことより、〈ヘイ・ジュード〉がグラミーを取れなかったことのほうが、物語の本筋だったような感じがした。でもそれがぼくなんだ。自分がそこまでのレヴェルに達したと思えたのは、その何年か先のことだった」。(同)

 

なるほど。さすが、ポール・サイモン。屈折してますねぇ。まずは喜んだらどうだ、と(笑)。でもとても素直です(笑)。

 

逆に我らがポール・マッカートニー大先生、ヘイ・ジュードについては「ジュリアンを励まそうと書いた曲」「ここの歌詞がどうかな、とジョンにきいたら『そこがいいんだ!』と言われた」とか、いわゆる「きれいないい話」が多いですよね(笑)。

 

決して

「なにヘイ・ジュード?ビルボード9週No.1のおれたち最大のヒットだぜ。知ってるよな?ということはあのビートルズ様最大のヒット、ということだ。わかるな?それがだ、こともあろうにミセス・ロビンソンに最優秀レコード賞を持っていかれちまった。むこうもいい曲だが、ヘイ・ジュードほどではあるまい。な?そうだろう?それになんといってもこっちはビートルズだ。まあ、グラミーはしょせんアメリカの賞だから、いろいろ事情があるんだろうが。なに?いやいや、別にほしかったわけではないが。それにしても怪しからんぜ」

などとは言いませんね(笑)。

 

横綱相撲、なのでしょうかね。

まあ、せっかくの勲章も返してしまう人たちですからね(ジョンですが)。

自分たちも相当にゴタゴタしてきた時期でもあるし、当時のグラミーには興味なかったのかもしれません。「ヘイ・ジュード」でもポールのイメージに合わないリフを弾くジョージとの間で「そういうのは弾かないでくれ」「なら弾かない」というすったもんだもあったようですし(笑)。

 

むしろファンの方が熱くなってビートルズを破ったサイモン&ガーファンクルにムカついた人もいるようです(はい、ワタクシです)(笑)。

 

さて、それなりにいい気分?のポール・サイモンさん、調子にのって名曲「ボクサー」を書き、アルバム『明日に架ける橋』に取りかかります。

 

ところがそんな相方に気を遣うわけでもなく、‘天使の歌声’ アート・ガーファンクルさん、映画「キャッチ22」の撮影に行ったきり帰ってきません。

そのおかげでアルバム制作が進まず、ムカつくポール・サイモンさん。

 

その後も知らん間にアート・ガーファンクルさんが「愛の狩人」というコメディ・ドラマへの出演に同意していたことを知ったポール・サイモンさん、怒りに駆られアート・ガーファンクルを問いただしたそうです。

 

「なんで話してくれなかったんだと言うと、彼[アート]はぼくが〈明日に架ける橋〉の作業を止めてしまうんじゃないかと思ったからだ、と答えた」。(同)

 

これはアート・ガーファンクルさん、確信犯ですね。わざとやってる(意地悪している)としか思えません(笑)。

 

さすがに、ポール・サイモンさんもこう続けます。

「それはつまり、あえて隠していたということだ。ぼくがこういう気持ちになるのはわかっていたくせに。マイク・ニコルズに大スターになれると言われて、嫌と言えなくなったのさ。」。(同)

 

ですよね。小馬鹿にした感じに味があります(笑)。

 

「彼[アート]にはあとで、なんでぼくがあんなに大騒ぎするのかわからない、と言われたよ。自分が半年、映画を撮っているあいだに次のアルバム用の曲を書いておけば、そのあとすぐスタジオで合流し、その曲をレコーディングできるじゃないか、と」。

 

アート・ガーファンクルさんも言いますね(笑)。おれは映画スターにもなるから、あんたは曲でも書いておけ、あとでレコーディングしてやるから、と(笑)。

どう言えば相手が怒るか、完全にわかって言っている感が満載です(笑)。

 

「ぼくは『馬鹿を言うな。絶対にそんなことはしないぞ』と思った。それにぼくは正直なところ、もし実際に大スターになっていたら、アーティーはもどってこなかったと思う。だってそうだろ。ポール・サイモンの曲を歌うだけの男から、自分ひとりで映画スターのアート・ガーファンクルになれるんだぜ。でもたとえそうなってもぼくは、依然として自分で曲を書き、自分でうたう男でいられる。アーティーは必要ない」。(同)

 

売られた喧嘩にきちんと反応するサイモンさん。

しかし、「ポール・サイモンの曲をうたうだけの男」「自分でうたう男でいられる。アーティーは必要ない」、ですかあ。

寅さんじゃありませんが「それを言っちゃあおしめえよ」ですよ(笑)。

 

こうみると、音楽追究に余念がなくアルバム制作に意欲を燃やすポール・サイモンさんと、それを邪魔するがごとく自分勝手に映画の仕事を入れてしまうようなアート・ガーファンクルさん、のように見えますが、もちろんそんな話ではありませんよね(笑)。

 

‘天使の歌声’ アート・ガーファンクルさんにも悩みと言い分があります。

ガーファンクルさん、ずっと自分はポール・サイモンさんに比べて格下だ、という思いでいたようです(「ポール・サイモンの曲を歌うだけの男」と言われてましたね、サイモンさんに)。

 

ガーファンクルさんは言います。

サイモン&ガーファンクルでの役割に加えて、アート・ガーファンクルが少しばかり映画俳優の仕事をするのは、グループの独自性にとってもすごくいいことだ」。(同)

 

そうかもしれませんが、ポール・サイモンさんもそう思っていたのでしょうか(笑)?

まあ、ポール・サイモン優先である限りは、の条件付きでの納得ですかね(笑)。

 

「なんといってもステージのポールはギターを弾いている。でもアーサーには両方の手しかない。ポールは全部の曲を書いている。だから俳優業はグループ内で、ぼくの地位を高めてくれるんだ」。(同)

 

シンガーソングライター>ただのシンガーの図、でしょうか(笑)。

いくら ‘天使の歌声’ でも、一緒にいるのが悪いことに天才ポール・サイモンですからね。

シンガーソングライター<シンガー+映画俳優の図、に持っていきたい気持ち、よ~くわかります。

 

で、引き合いに出すのがビートルズ(笑)。

マッカートニー=レノンに対向するために、ジョージ・ハリスンがいきなり演技の仕事をはじめるようなものさ・・・・そうすればぼくのほうにも少しは感心を持ってもらえるだろうし、しばらくおたがいから距離を置いたら、またれっきとしたデュオとして、その先も何枚もアルバムを作っていけるだろうと思っていた」。(同)

 

 ジョージなんだ、リンゴじゃなくて(笑)?

 

ガーファンクルさん的には、ジョン、ポール、ジョージが同じシンガーソングライターグループで、リンゴは別種、と見ていたのでしょうかね。

で、その中でジョン、ポール>ジョージと(笑)。

まあジョージも映画に出資したりしてましたから、そのあたりも踏まえていたのかもしれません。リンゴは実際に映画に出ていたのですが(笑)。

 

「ぼくらはあまりうまくいってなかったし、いろいろといさかいもあった。不快ないさかいがね」

「『このレコードが終わったら、ポール・サイモンと距離を置きたい』と思ったのを覚えている。賭けてもいいけど、彼だってきっと、同じように感じていたはずだ」

 

やはりガーファンクルさん、確信犯です(笑)。

ビートルズさんたちも同じようなこと言ってました。感慨深いですね。

 

一昔前なら、職業作曲家+すぐれた歌手ということでもよかったのでしょうが、ビートルズさんのせいで(と言い切っておきます(笑))時代がソングライター系中心となってしまった以上、歌手オンリーは立場的に弱くなってしまったのですね。印税も入らないし。

が、何せ ‘天使の歌声’ アート・ガーファンクルさん、タフです(笑)。さすがですね。

 

ちなみに映画でいえば、のちにポール・サイモンさん、「ワン・トリック・ポニー」という自分が企画・主演した映画を製作、ものの見事に大コケします(笑)。

 

これに対するアート・ガーファンクルさんのコメントは知りませんが、どういう感じだったのでしょうか?

 

そうそう、ポール(マッカートニー)も「ヤァ!ブロード・ストリート」で派手にコケてましたね(笑)。

 

この点では両ポール、恨みっこなしの痛み分けということで(笑)。

 

(つづく)

 

筆者について

さいもん(A)・ギター担当。ビートルズ大好き歴40年!1963年生まれ さそり座。近頃、忘れっぽいことがもっぱらの悩み。 

 

関連ページ