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推理小説読後感その2(ネタバレなし)〜笹沢佐保「求婚の密室」

2021年08月07日 | ミステリー小説

 「密室大図鑑」掲載の国内作品から、今回は笹沢佐保の「求婚の密室」を。笹沢佐保の名前はよく見て知っていたが一度も読んだことがなかったのは前回の山村美紗と同じ。実は「木枯らし紋次郎」シリーズの作者なのだそうだ。しかし有栖川氏によると「本格の傑作・佳作が目白押し」で密室ものにおいても「トリックメーカーぶりを遺憾なく発揮している」作者だと紹介されている。そして「これまで見たことも聞いたこともない独創的なトリック」「どうしてこの手があると気がつかなかったのだ」と有栖川氏を言わせるこの作品を読まずにはいられなかった。結果として、その独創的なトリックは後味が少し悪かったのだが推理小説としては申し分なかった。事件に対する複数の登場人物による異なった解明も描かれ、とにかく作者の筆力にどんどん引き込まれてしまった。

    

 有栖川氏が文中で名作と紹介している「霧に溶ける」も併せて読んでみた。こちらはミス・コンテストの最終選考に残った5人の女性が次々と死傷する。その中に密室が存在するという設定。今とは違う昭和の雰囲気が濃く反映されて、ある意味懐かしさも感じたのだが、密室の謎に加えてアリバイ崩しもありの内容をとても堪能した。

    

 両作品とも見取り図があるのは言うまでもない。特に「霧に溶ける」の密室の解明についてはこの図を見て、それはそうだよなと唸ること必至である。



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