ポール・マッカートニーが盗まれたバイオリンベース半世紀の時を経て本人の元に戻る

2024年2月15日、ポール・マッカートニーの声明が発表されました。ビートルズが解散したころに盗まれたとして有名になっていた1本目のヘフナー社製バイオリンベースが本人の手元に戻ったそうです。

今回見つかったベース

https://www.paulmccartney.com/news/statement-on-hofner-bass

Following the launch of last year's Lost Bass project, Paul’s 1961 Höfner 500/1 bass guitar, which was stolen in 1972, has been returned. The guitar has been authenticated by Höfner and Paul is incredibly grateful to all those involved.

ポール・マッカートニーが現在も使用しているヘフナー社製バイオリンベースは彼にとって2本目であり、デビュー当時は別の個体を使用していました。ピックアップの位置など見た目にも多くの違いがあり、ファンの間ではデビュー前後根城にしていたリヴァプールのライブハウスの名前にちなんでCavern Bass（キャヴァン・ベース）と呼ばれていたものです。

遠目でもヘッドのロゴやピックアップの配置で1本目とわかる

ポールが2本目、ジョン・レノンが1本目を持っている

1963年に2本目のバイオリンベースにメインの座を明け渡した後に部品の交換や再塗装が施され、1968年の「Revolution」のミュージックビデオで再登場しています。

サブに転落後の様子

RevolutionのPVで日の目を見る

1969年のゲット・バックセッションで使用しているのを最後にポールが手にしているのを見かけなくなったため、長らくこの時期に盗まれたとされていましたが、実際はビートルズ解散後の1972年10月10日にロンドンで盗まれたようです。当時のポールの楽器スタッフが証言しました。その後2023年12月にポールの元に戻るまでずっとイギリスにあったようです。その後2か月の鑑定期間を経て正式に認定されました。

これが世界中の人がこれまで目にしていた最後の姿

ヘフナー関係者へのポールからの一言によって2018年に始まった捜索プロジェクトはしばらく目立った成果がありませんでしたが、2023年にメディアに取り上げられると一気に進展し、3週間ほどでベース本体にたどり着いたそうです。ペグ（チューナー）や、ピックアップの1つが金色に見える特徴などから本物と確認されたのは2023年9月のことでした。

ペグが1つだけ異なるのも盗難当時のまま

捜索プロジェクトの公式サイトが誇らしげに発見を報じています。

The Lost Bass Found! (The Lost Bass Project)

その他今回の報道でわかったこと

現物は、後年の復刻版に採用されていたフラットバック（背面の木材が平坦）ではなかった（ポールの2本目のように丸みがある）
コントロールパネルが1964年製に交換されている
ポールは1961年の工場出荷時の状態に戻すのではなく、現在の状態から修理して演奏できるようにしたいと考えている
ヘフナー社は捜索プロジェクトと前後して、盗まれたベースのコピーモデルを2本ポールに渡している。1本は1961年購入時を再現し、もう1本は盗まれた時点を再現している。後者がポールのスタジオに置かれている様子が近年のMVに映り込んでいる

後ろに映り込んでいるベースは近年製作されたもの

以下の記事が現状最も詳しいです。

Paul McCartney's First Höfner is back!

今回のニュースが最初に明かされたポスト↓直近の所有者の息子

To my friends and family I inherited this item which has been returned to Paul McCartney. Share the news. pic.twitter.com/BlKP4L2ELP
— Rassilon Productions (Ruaidhri Guest) (@RassilonP) February 13, 2024