＜ヒトラーがユダヤの血統を受け継いでいるという説の変遷＞

直立演人 @royterek

＜ヒトラーがユダヤの血統を受け継いでいるという説の変遷＞ ラヴロフのヒトラー・ユダヤ血縁説を受けて、Haaratzがさっそくその種の説の歴史をまとめてくれたので、紹介しておきたい。 haaretz.com/israel-news/et…

直立演人 @royterek

まず、ヒトラーがユダヤ人の血統を受け継いでいるという説は一切の歴史的な裏付けがないという大前提を確認した上で、その種の噂や陰謀論は第二次世界大戦以前からあったという。 こうした説は、ヒトラーの父親の祖父が誰なのかが不明であったことに起因する（いまだにわかってない）。

直立演人 @royterek

1920年代のミュンヘンのカフェではヒトラーの祖父がユダヤ人であるという噂がすでに立っており、1930年代にナチス政権が誕生してからは、新聞雑誌がセンセーションを狙って同様の説を唱えた。これらの説の根拠とされたのは、ヒトラーという姓のユダヤ人がルーマニアのブカレストにいたことだった。

直立演人 @royterek

別の説では、ヒトラーの父親アロイスが、ロスチャイルド家のウィーン支部の者とキリスト教徒の召使との間の逢瀬の結果、生まれたというものだった。

直立演人 @royterek

しかし、ヒトラー・ユダヤ血統説をめぐる議論が本格化したのは、第二次世界大戦後のことであり、その源は、ナチス支配下のポーランド総督であり、戦後、戦犯として1946年10月に死刑に処せられたハンス・フランクが書き遺した回想録であった。

直立演人 @royterek

フランクの回想録によると、30年代にヒトラーはフランクに、総統がユダヤの血を引いていることを暴露すると脅したヒトラーの甥からの手紙を見せたという。

直立演人 @royterek

フランクはまた、ヒトラーの命を受けてヒトラーの家系を調査したところ、父方の祖母Maria Anna Schicklgruberがアロイスを産んだのは、オーストリアのグラーツ出身のFrankenbergerというユダヤ人一家の家で料理人を務めていた時だったということを突き止めたと主張した。

直立演人 @royterek

フランクの説によると、Frankenberger家の誰かとヒトラーの祖母マリアとの子がアロイスであり、アロイスが14歳になるまでFrankenberger家が彼女と息子の面倒を見たという。フランクは、ヒトラーの祖母とFrankenberger家の間で交わされた手紙が、この説の証明となっているという。

直立演人 @royterek

フランクによると、ヒトラーから次のような話を聞いたという： 〔ヒトラーは、自分の祖母と父親の双方から、以下のことを聞かされた：①ヒトラーの祖父は実際にはグラーツのユダヤ人ではなかった。

直立演人 @royterek

②ヒトラーの祖母も彼女の未来の夫も貧しかったので、二人はそのユダヤ人男性（Frankenberger家の誰か）を説得して、そのユダヤ人男性が子ども（アロイス）の父親であると信じ込ませることで、そのユダヤ人男性から生計上の援助を受けようとした〕

直立演人 @royterek

フランクのこの説の難点は、ヒトラーの祖母がヒトラーが誕生する前に亡くなっていることである。 歴史家たちは、グラーツのユダヤ人は15世紀に町から追放され、1860年代（アロイスが生まれた約20年後）に帰還を許された事実から、フランクの説は虚構だと断じた。

直立演人 @royterek

しかし、2019年、Dr. Leonard Saxというユダや人心理学者が、1860年代以前から小規模のユダヤ人共同体がグラーツにあったことを示す資料を発見したと主張。

直立演人 @royterek

他方で、Frankenbergerなるユダヤ人一家がグラーツに存在したことを示す証拠はない。それに似たFrankenfurterという一家はグラーツにたしかに存在したが、この一家はユダヤ人ではない。さらに、ヒトラーの祖母がグラーツに在住していたことを示す証拠もなく、彼女とこの一家との関係を示す資料もない。

直立演人 @royterek

くわえて、ヒトラーの甥がヒトラーに対して彼の「ユダヤ出自」を暴露すると脅そうとしたことを示す証拠もない。

直立演人 @royterek

ヒトラーの父親アロイスが1837年にMaria Anna Schicklgruberが42歳の時に婚外の子として誕生したことははっきりしているが、アロイスの洗礼を示す文書には父親の名前が記載されておらず、アロイスの父、すなわちヒトラーの父方の祖父が誰だったのかは分からず仕舞いである。

直立演人 @royterek

この5年後、ヒトラーの祖母は、Johann Georg Hiedlerという人物と結婚した後、1847年に死去。彼女はアロイスの父親についての秘密を墓場まで持って行ったようである。

直立演人 @royterek

アロイスはJohannの兄弟であった Johann Nepomuk Hiedlerの養子となり、彼が39歳だった1876年、姓を変え、母親の夫の姓に近いヒトラー（Hitler）にした。アロイスはまた、Hiedlerの法的な息子として登録されるように文書を偽造した。（了）