アメリカの金融研究書の頂点に位置するといわれるこの書物を読んでみた。
日本の、ユニクロの柳井正さんは、ピーター・ドラッカー先生の著書の「断絶の時代」を、英語の原書で、20代から、何べんも読み返したといわれる人らしい。そういう努力をした柳井さんは、日本を代表する資産家になっている。わたしは、27歳くらいの頃、和訳の「断絶の時代」を読んでも、難しくてよくわからなかった。和訳の「断絶の時代」がどんな本かわかるころには、私は、42歳くらいになっていて、この本を読みこなせるようになったとたんに、特許事務所を解雇され、失業者になった。これが、柳井さんとわたしのきわめて大きな違いである。
世界一の資産家の、ウォーレン・バフェットさんは、和訳書が1000ページ近くあるこのグレアム氏とドッド氏の共著の「証券分析」を、20歳くらいの頃から、繰り返し繰り返し何べんも何べんも読み直して、全内容を頭に叩き込み、そのうえ、グレアム氏に弟子入りまでしたそうである。そういう人が、世界一の大金持ちになれる。申し訳ないけれど、女流落語家の林家なな子さんが、七夕の短冊に願い事をしても、そのくらいでは、大金持ちにはなれないと思う。大金持ちになる人は、30歳になる前に、ピーター・ドラッカーとか、ベンジャミン・グレアムとか、そういう人の著作を、繰り返し繰り返し何度も何度も読み直して、全部の内容を頭に叩き込んで事業家や投資家になる人たちである。そういうことがとてもできない常人は、どうやったって、大金持ちにはなりようがないもののようである。
そういう、咀嚼消化するのにすさまじい忍耐と熱意と根気の良さを強いるこの書物では、判断基準となる事実の前提は、当時のニューヨーク州の法令なので、その辺は注意しないといけない。1934年ごろのニューヨークの話が、本書で取り上げられる具体例の出どころなのである。
はっきり言って、細かな話が多くて、専門家でないと、難しくてわからない記述がほとんどである。それでも、ロバート・キヨサキ氏が紹介する「金持ち父さん」が若き日に学習に用いた教科書のひとつは、この書物なのではないかという気もする。
グレアム氏の考えは、最も有効な投資法は普通株投資で、そのためには、丁寧な財務諸表分析が大切だということに尽きるのだろうと思う。それゆえ、直感頼みの投資は論外だし、証券を単品で分析するのではなく、マーケット分析を重視したり、単品でもチャートリーディングを重視したりする手法は、グレアム氏からは退けられる。その辺は、バフェット氏の基本的な考え方として、いまではよく知られるようになった。
はっきり言って、専門外の自分には、こんな詳しい経済の専門書は読みこなせない。それでも、自分が、興味深く思ったグレアム氏の考えを紹介すると、以下のようなものだろうか。
まず、投資には、初心者向けの原則と、玄人向けの原則があって、初心者は、二流企業の証券には手を出してはいけないという心得が肝心らしい。一方、玄人は、証券には値下がりも値上がりもあるから、値下がりを狙って買い注文を入れないといけないという心得が肝心だそうである。
投資のための情報源は、1934年当時は、株主向け報告書とか、損益計算書とか、バランスシートとか、上場申請書類とか、行政当局による統計財務刊行物とか、公的私的の産業統計刊行物とか、そのくらいしかなかったらしい。これは、もちろん、公的に公開されている情報に限れば、という話である。それでも、そのくらいの情報でも、丹念に調査すれば、企業の経営実態について、いろいろなことがたくさんわかるものらしい。
投資と投機の一般的な違いについては、1934年当時は、極端に比較すると次のようなものらしい。
投資:{債券購入、現物買い、長期保有、インカムゲインが目的、安全な証券が対象}←→
投機:{株式購入、信用買い、回転売買、キャピタルゲインが目的、リスクの大きな株式が対象}
グレアム氏の考えは、証券資産の価値とは、何よりも発行会社の安定した経営の表示であった。それゆえ、証券が優先抵当権、すなわち先取特権を保証していること自体は、証券の資産価値の表示にはならないというものであった。そういわれてみればそれが当然のような気がするけれど、差し押さえをするうえで強い権利を持っていることが安心の保証のような錯覚をする投資家は、いつも少なくないのかもしれない。
自分もウォーレン・バフェット氏のような世界一の資産家になりたいという願望を持っている若い人たちは、ぜひ、この本を何十回も読み直しをされるとよいかと思われる。わたしは、この本を素早くめくって読んでみて、自分がなぜ金持ちになどなれない者なのか、よく理解できたし、その点についてはしっかりと納得ができた。
日本の、ユニクロの柳井正さんは、ピーター・ドラッカー先生の著書の「断絶の時代」を、英語の原書で、20代から、何べんも読み返したといわれる人らしい。そういう努力をした柳井さんは、日本を代表する資産家になっている。わたしは、27歳くらいの頃、和訳の「断絶の時代」を読んでも、難しくてよくわからなかった。和訳の「断絶の時代」がどんな本かわかるころには、私は、42歳くらいになっていて、この本を読みこなせるようになったとたんに、特許事務所を解雇され、失業者になった。これが、柳井さんとわたしのきわめて大きな違いである。
世界一の資産家の、ウォーレン・バフェットさんは、和訳書が1000ページ近くあるこのグレアム氏とドッド氏の共著の「証券分析」を、20歳くらいの頃から、繰り返し繰り返し何べんも何べんも読み直して、全内容を頭に叩き込み、そのうえ、グレアム氏に弟子入りまでしたそうである。そういう人が、世界一の大金持ちになれる。申し訳ないけれど、女流落語家の林家なな子さんが、七夕の短冊に願い事をしても、そのくらいでは、大金持ちにはなれないと思う。大金持ちになる人は、30歳になる前に、ピーター・ドラッカーとか、ベンジャミン・グレアムとか、そういう人の著作を、繰り返し繰り返し何度も何度も読み直して、全部の内容を頭に叩き込んで事業家や投資家になる人たちである。そういうことがとてもできない常人は、どうやったって、大金持ちにはなりようがないもののようである。
そういう、咀嚼消化するのにすさまじい忍耐と熱意と根気の良さを強いるこの書物では、判断基準となる事実の前提は、当時のニューヨーク州の法令なので、その辺は注意しないといけない。1934年ごろのニューヨークの話が、本書で取り上げられる具体例の出どころなのである。
はっきり言って、細かな話が多くて、専門家でないと、難しくてわからない記述がほとんどである。それでも、ロバート・キヨサキ氏が紹介する「金持ち父さん」が若き日に学習に用いた教科書のひとつは、この書物なのではないかという気もする。
グレアム氏の考えは、最も有効な投資法は普通株投資で、そのためには、丁寧な財務諸表分析が大切だということに尽きるのだろうと思う。それゆえ、直感頼みの投資は論外だし、証券を単品で分析するのではなく、マーケット分析を重視したり、単品でもチャートリーディングを重視したりする手法は、グレアム氏からは退けられる。その辺は、バフェット氏の基本的な考え方として、いまではよく知られるようになった。
はっきり言って、専門外の自分には、こんな詳しい経済の専門書は読みこなせない。それでも、自分が、興味深く思ったグレアム氏の考えを紹介すると、以下のようなものだろうか。
まず、投資には、初心者向けの原則と、玄人向けの原則があって、初心者は、二流企業の証券には手を出してはいけないという心得が肝心らしい。一方、玄人は、証券には値下がりも値上がりもあるから、値下がりを狙って買い注文を入れないといけないという心得が肝心だそうである。
投資のための情報源は、1934年当時は、株主向け報告書とか、損益計算書とか、バランスシートとか、上場申請書類とか、行政当局による統計財務刊行物とか、公的私的の産業統計刊行物とか、そのくらいしかなかったらしい。これは、もちろん、公的に公開されている情報に限れば、という話である。それでも、そのくらいの情報でも、丹念に調査すれば、企業の経営実態について、いろいろなことがたくさんわかるものらしい。
投資と投機の一般的な違いについては、1934年当時は、極端に比較すると次のようなものらしい。
投資:{債券購入、現物買い、長期保有、インカムゲインが目的、安全な証券が対象}←→
投機:{株式購入、信用買い、回転売買、キャピタルゲインが目的、リスクの大きな株式が対象}
グレアム氏の考えは、証券資産の価値とは、何よりも発行会社の安定した経営の表示であった。それゆえ、証券が優先抵当権、すなわち先取特権を保証していること自体は、証券の資産価値の表示にはならないというものであった。そういわれてみればそれが当然のような気がするけれど、差し押さえをするうえで強い権利を持っていることが安心の保証のような錯覚をする投資家は、いつも少なくないのかもしれない。
自分もウォーレン・バフェット氏のような世界一の資産家になりたいという願望を持っている若い人たちは、ぜひ、この本を何十回も読み直しをされるとよいかと思われる。わたしは、この本を素早くめくって読んでみて、自分がなぜ金持ちになどなれない者なのか、よく理解できたし、その点についてはしっかりと納得ができた。