実を言うと、子供の頃、家庭科の献立を考える授業でラーメンのご飯に寿司を合わせて先生に注意されたことがある。「バランスを考えろ」と。ラーメンと寿司とはそれほどに夢の組み合わせである。

そんな私(中澤)の子供の頃の夢が叶うラーメン屋が横浜にあるらしい。なんと、セットのご飯メニューが握り寿司のラーメン屋が存在するというのである。なんだその天国は!?

・リクエスト

そのラーメン屋の存在を知ったのは読者の連絡から。ラーメン屋のご飯メニューをレポートする連載『ラーメシ通信』に以下のリクエストが届いたのである。

「ぜひお教えしたいラーメシの店舗がありリクエスト送ります。

横浜駅のほど近くにある煮干しラーメンの「釣りきん」というお店のラーメシはなんとお寿司です。ラーメンもかなり個性的なのですがセット(単品可)で提供されているのが握り寿司や海鮮丼。

赤酢握りやまぐろづくし、その日のおすすめネタや日替わり丼など、ラーメン屋なのか寿司屋なのか分からなくなるほどラーメシのクオリティが高いです」

──ラーメシが寿司というだけでも珍しいのに、ラーメン屋か寿司屋か分からなくなるほどクオリティーが高いというのは気になるところ。というわけで、横浜に飛んだ

・外見はラーメン屋

神奈川で数店舗展開されている『釣りきん』。横浜駅近くではきた西口を出て首都高速をくぐった飲食街に鶴屋町店があった。店の外壁にはスープや麺へのこだわりが書かれている。


なんなら「煮干が嫌いな方ご遠慮ください」と書かれた立て看板もあるほど。外観はラーメン屋と言って差し支えないだろう。

だが、店内の券売機を見ると、確かにラーメンセットの相方が握り寿司だ。また、ラーメンセットだけではなく、握りだけの食券も販売されており、本鮪中トロとバチマグロ赤身は1貫から購入できる様子。他にもとろたく手巻きやとろネギサーモン手巻きも1本から注文でき、少ない割に1つ1つにガチ感がある寿司メニューだ。



・注文してみた

とは言え、最初だし握り寿司もラーメンも味わいたい。そこで “店長のおすすめ” と書かれていた「真鯛中華そばと赤酢握り8貫(税込2200円)」を注文してみたところ、運ばれてきた寿司がこちら。


ガチ感スゲエ

寿司下駄(足のついた小さいまな板みたいなヤツ)に乗っている時点ですでにビビるのだが、ネタも大きく、新鮮さがにじみ出ている。鮪がキラキラしていて回らない寿司屋みたいだ。

・食べてみると

また、ガチ感があるのは見た目だけではない。食べてみると、中トロは脂が乗っていながらもしっかり赤身の味も強い。トロけているだけではなく赤身が生き生きしている。

シャリは甘さがあまりなく酸味の方が強く感じた。赤酢自体は酸味がまろやかなのが特徴らしいから、砂糖が少なめなのかもしれない。



・衝撃

ゆえに、爽やかな味をしていてネタの旨みもより鮮烈だ。ただ、驚いたのはラーメンである。ラーメンをひと口食べたところ……


寿司がよりウマくなった……!!

鯛出汁のコクが感じられる塩スープはまるで舌についたネタの脂を流すようなスッキリした味。舌が復活するようだ。ゆえに、ラーメンを食べた後に寿司を食べると、常にひと口目みたいな新鮮さがある。この2つを交互に食べ続ける限り、ファーストインプレッションの感動が永遠に続く。これぞ味の永久機関や

・これぞ鮨らぁー麺

ただラーメンと寿司があるというだけではない。ちゃんとチューニングされている。そのハーモニーは確かに「鮨らぁー麺」と掲げるにふさわしい。ラーメンと寿司はバランス悪くなかったよ先生!!

なお、ネタは毎日、横浜本場市場の競り場で厳選して仕入れており、1回の出汁取りで真鯛を約20匹使っているらしい。そのこだわりを見ると、店を増やすのはなかなか難しいかもしれないが「近所に出来たらいいなー」と思わずにはいられなかった。リクエストありがとうございました!



・今回紹介した店舗の情報

店名 鮨らぁー麺 釣りきん
住所 神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-16-3
営業時間 11:00~23:30
定休日 無休

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.


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