俺は極度の女性恐怖症だった。
理由は簡単、中学の頃にクラスの女子グループから
執拗ないじめに遭ってきたからだ。

なので俺は女性がいる職場も怖くていることが出来ず。
結局、男臭い工場で働いている。


その工場で勤務して半年経った頃、
仲良くなった上司の家へ晩飯に招待された。
見た目的にも凄いブサメンだったし、いつも汗臭かったので、
てっきり一人暮らしで飯を食う仲間が欲しいんだと思っていた。

しかし着いたところは普通の一軒家だったので、
あー、ご両親と住んでるのかなーと思った。
上司がドアを開けると、綺麗な女性に出迎えられた
(後で上司の奥さんだと知らされる)

それで俺は「用事思い出したので帰っていいですか」と言うと
「一人暮らしのお前に何の用事があるんだよwww」と一蹴され、
結局一緒に食事することに

そしてご飯が出来たと思ったら、
奥さんが「ご飯出来たよー!」と2階に向かって叫んだ。
子供がいるのかな?男の子かなと思ったら、
大いにその予想を裏切って出てきたのは、
19~20くらいの女の子だった。

死んだ。奥さんはまだおばさんて感じだったから良かったけど
歳が近い女性と同じ狭い空間にはいられない。
俺は体調が悪いと言って帰った。


メールで上司から「大丈夫か?無理言ってすまんな」と着ていたので、
「僕が悪いんです。すみません、詳しい理由は明日話します」
と返してその日は寝た。

翌日に出勤、上司はいつも通りに接してくれた。
そして勤務終わってから自分が極度の女性恐怖症だということを話した。


すると上司「俺は高所恐怖症だったんだ」と自分語りを始めた。
対象は違えど恐怖するものがあるという部分は同じだったので聞くことにした。

「でも今の嫁に観覧車乗らなかったら
結婚してやらねぇと言われて乗ったら意外と大丈夫だった」と

自分が怖いと思ってるものは
自分の予想以上にちっぽけなものなんだと言ってきた。
でもやはり怖いものは怖かった。


そして12月になったある日のこと、上司からまた家へ招かれる。
「お前、どうせクリスマス一人だろ?一緒にうちで飯食おうぜ」と
俺は考えた。また逃げ出したくなったらどうしよう、と

すると上司が「俺の娘はまあ、所謂ニート
ってやつなんだがな、高校中退からずっとあんな感じだ」

あんな感じと言われてもわからなかったので聞くと
高校をいじめられて中退して、それからは引きこもりっぱなし。
実は俺が帰った後で知らない人がいるのは怖いと上司に怒ったらしい。
対人恐怖症というやつか、と思った。

そしてなんとなく境遇が自分に似てるなと思った。
あとそれって俺行かないほうがいいんじゃと思い聞いた。

すると「娘には言っといてあるし、
似た者同士だから親近感湧くとか言ってたぞ、来るか?」と

俺は渋々とだけど行くことを了承した。
というか、娘さんもいじめで人が怖くなったという部分に
俺も親近感を沸かせたのかもしれない。


だがクリスマス当日になるとやはりテンションは下がる。
しかし勤務後に上司は見事に迎えに来た。

「さあ、今日は嫁がご馳走を作って待ってくれてるみたいだ!」

そして若干強引に車に乗せられる俺
運転席に上司が乗り込み、車は発進した。


到着すると前回と同じように出迎えてくれる上司の奥さん。
中へあげてもらうと、テーブルにはケンタッキーと鍋が用意してあった。
組み合わせは凄いなと思ったけど、
これは俺に気を使って奥さんが用意してくれたものだった。
俺は全然、鍋で良かったんだが…。

そしてソファーで誰かがテレビを見ている、例の娘さんだ。

上司は「座って待っててくれ」と言うので、
俺はその近くのソファーにものすごく良い姿勢で座った。
なるべく娘さんの方は見ないようにした。


すると娘さんが「その髪型今流行ってんの?」と突然、聞いてきた。
俺は普段、外にでないので、特に外見には気を遣ったことがなかった。
「え、え、あ、あの…これ…」超ドモる俺
それ見て娘さんは思い切り吹き出した。

上司か奥さんに助けて欲しかったが何も言ってこない二人


ちなみに俺の髪型はバナナマン日村の髪型が
そのまま伸びたみたいな感じだった。
確かに今思えばものすごくダサかったなと思う
そして笑われて少しムッときて、何か言い返せないかと思ったけど、
上司が「ほら飯食うぞー」と言われ終了

相変わらず奥さんと娘さんの顔を見れない俺


するとまた娘さんが声をかけてきた「ゲームなにやんの?」
「えっ、ゲームって…」「PSPとかDSとかやんないの?」
モンハンやるって話したら、娘さんもやってると言った。
上司と奥さんそっちのけで二人でモンハンについて話しまくった。
というかそれ以外の話題が浮かばなかった。


それで話してる途中で娘さん全然対人恐怖症じゃないじゃんと思った。
でも俺と境遇似てるからだろうなーと思ってスルーしてた。
それと自分が思ったより女性と話せていることに驚いた。
ご飯食べてその後少し、皆で話をして、上司に送ってもらって帰った。

帰ってから、自分は泣いた。
あんなにいい家庭だったのにご飯を前回断って帰ってしまったことや、
自分が女性と話したという事実に対して。


それから数ヵ月後、上司が
「娘がお前とゲームやりたいらしい、ポケモンだったか…」

モンハンです。

「だから嫌かもしれないが飯食いに来ないか?」
娘さんとは割と気軽に話せた俺は行くことにした。
到着して御飯食べてから早速共闘開始だ。

娘さんめちゃくちゃうまかった、というか俺よりうまかった。
俺は当時、Xlinkというものを使い
モンハンをオンライン協力でやっていたこともあったのだけど、
娘さんは常に一人でやっていたらしく、すさまじいテクニックを持っていた。


そして気付けば夜中、上司と奥さんは寝てしまっていた。
車で送ってもらった俺は当然、帰る方法がない。
泊まっていけば?と娘さんに言われ、一階のソファーで寝ることに
しかし他人の家はどうにも落ち着かないので、一人でモンハンすることにした。

するとしばらくして娘さんが降りてきて「やっぱり寝れてないんだ」と言った。
俺が寝るまで一緒にモンハンやろうということらしい。


気付けば朝になっていて、起きてきた上司に笑われた。
その日は休日だったので、そのまま昼ご飯までご馳走になって帰った。

そして家へ帰ってから気付いたのだけど、
バッグにメアドが書いた紙が入ってた。
娘さんのものだった。


それからメールで話したり、
上司から誘われて家でご飯食べながら話したり
そしてそんなある日の上司の車の中で言われた

「娘がお前のこと大層気に入ってるらしいんだ」

要は娘と付き合ってくれないかってことだった。
でもそれは娘さんが自分で言うべきことだと思ったし、
父親である上司が言うことじゃないと思ったのでそう言った。
そしたら「悪い」と言ってそのまま無言で家へ


家へついてからそのことについて考えた。
娘さんは確かに魅力的な人だと思う。
でもやっぱり俺も女性恐怖症が治ったわけじゃなかったので、
交際とか考えられなかった。娘さんが仮に付き合いたいと言ってきても、
そういう関係にはなれないのだろうなと思った。

それからぱったりと、上司は俺を家へ招くのをやめた。


あんなことを言った手前、上司も気まずいのだろうか
それともそれを娘さんに話して色々とグダグダになっているのだろうかと、
でも俺は娘さんとよくメールしていたし、
メールではそんな素振りもなかったし、凄くモヤモヤしていた。


そしてお盆休み
突然、娘さんからメールが来る「>>1さん家に行きたい」と、

どうやら上司と嫁さんが旅行に行ったらしく、
それが予想以上に寂しいのだけど
頼れる人が俺しかいなかったらしい、
でもわざわざ来てもらうのは悪いから行きたい。
とかなんとか

でも数年外に出ていない娘さんが心配だったので俺が行った。


またモンハンやった。
さすがに一緒にやると言っても何十回もやってると飽きてくるもので、
何か別の暇つぶしがないかと探した。

すると娘さん「デートしよっかー」

外出ても大丈夫か聞いたら俺と一緒だから平気と
なのでなるべく、人気の少ない場所を一緒に歩いた。


で、まあ広い公園とか、日本庭園みたいなところとか歩いた。
夏だから遊んでる子供はいたものの、大人はほとんどいなかった。
晴れていたし暑くなってきたので、どこかで休もうと提案。
また人がいなさそうなお店を探す。


するといつからあるのかわからない
やってるのかもわからない喫茶店があったのでそこへ入ることにした
ドアを開けるとおばちゃんが出迎えてくれた。
とりあえずコーラとサンドイッチを頼んだ。
娘さんはオレンジジュース
高かった、なんとジュース300円、サンドイッチ750円

でもサンドイッチはうまかった。


その後でまたぷらぷらと歩き、
デートというにはあまりにも微妙なそれは終わった。

帰宅してお腹が空いてきた。
冷蔵庫にあるもので娘さんが何か作ってくれるらしく
俺はそれをわくわくしながら待つことにした。


娘さんが作ってくれたのは野菜と肉の炒め物と味噌汁

美味しかったです。

そしてそろそろ帰ろうかなという話をしたら
「泊まっていってくれないの?」と言われ
悩んだ末に、上司にメールで聞くことに
すると「勿論いいぞ!(笑顔とガッツポーズの絵文字)」で泊まることに

また夜中にモンハンしました。

それで結局、上司夫婦が旅行から帰宅するまで
寝とまりすることになりました。


そして上司夫婦が帰宅する前日
モンハン中に娘さんから聞かれました。

「私のことどう思ってるの?」って

「一緒にいて楽しいよ」って言ったら「好きってこと?」と言われ、
手元が狂い、ガノトトスの亜空間タックルを食らってしまいました。


それからモンハンに集中、倒した後で娘さんが再び聞いてくる
「私のこと嫌い?」って、だから「すきだよ」と言って、続けてそのまま
「好きだけど、恋愛とかは良くわからないんだ」って言いました。
すると「そっか」って言って娘さんは黙り込んだ。


その日はそのまま、娘さんは
「寝る」と言って自分の部屋へ戻りました。
そして俺はソファーで寝て朝を迎えた。

昼頃に上司夫婦が帰ってきて、おみやげを頂いて帰りました。
それから、娘さんとのメールも少なくなっていく。


そしていつも通りの仕事が始まった。
それと、上司からこんなことを言われた

「娘がもうお前に会いたくないらしい、何かあったのか?」と

適当なこと言ってはぐらかしておいた。


それからしばらくして、上司の異動が決まり、
上司は家族ごと引っ越して行きました。

俺はというと、気付けば女性恐怖症とやらは無くなっており。
服屋やなんかにも躊躇なく入れるようになった。
そういうことが出来るようになったのは娘さんとのことがあったからで、
そのお礼メールを先日送った。

返事は一言「アホ」とだけ返ってきたww

今は恋愛もしてみたいと思えるようになってきて、
今思えば娘さんと付き合っていればよかったなと思う。


終わりです。読んでくれて有難うございました。


文字数の問題でアメブロではなく、こちらのURLでブログを主に更新しています。


http://omokowa.seesaa.net/



よかったら来てください。