ある劇場でアルバイトを初めて2週間の頃。
その日の仕事は客席案内。
私の働いていた劇場はロビーの飲食は可能だが、ホール内は飲食厳禁。
たまに座席で飲食をしているお客さんもいるが、注意をするとほとんどの人が「すいません」と言って、食べるのをやめるかロビーへ移動してくれる。
ある日、座席で飲食をしているおばさん3人組がいた。
「申し訳ございませんが、飲食は禁止となっておりますのでご遠慮いただけますか」
と声をかけたところ、
「はあ?なんで?知らない知らない」
と言って、食べるのをやめない。
私が「お手数ですが、ご飲食はロビーでお願いします」と言うと、おばさん達は大騒ぎ。
おばさん1「やだ、面倒くさい。もう始まっちゃうじゃない!(まだ開始まで15分ほどある)」
おばさん2「だめならだめって先に言ってよ!(ロビーで散々呼びかけたし、張り紙もしてある)」
そして極めつけにおばさん3が、「アナタ今、遠慮してって言ったね?じゃあ、遠慮しません!」と言った。
バイトを初めて日も浅かったので、何て対応すればいいんだろう…と混乱してしまい、「申し訳ございませんが…」と半泣きになりながら移動をお願いするも、完全無視。
すると、そのおばさん達の後列に座っていたダンディーなおじさまが、
「すいません。あなたたち、ちょっと常識無いですよ。」
とおばさん3人組に向かって一言。
おばさんたちはびっくりした顔をして、「!!!!す、すいません…」と言ってロビーへ退散していった。
おじさまに「ありがとうございます!お客様にご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」と言うと、
「いいんだよ。あんな客がいたら大変だね。」
と笑顔で言ってくださった。
休憩中、先輩にその出来事を話すと、
「え…ダンディーなおじさまって…もしかして、こんな方だった?」
と言って、数カ月後に公演予定のチラシを出してきた。
なんと、さっきのおじさまの写真が載っているではないか!!
この方です!!とびっくりしていると、
「この方はTVにはあまり出ないけど、舞台俳優として結構有名な方だよ。素敵な方なんだね…。」
とうっとりする先輩。
先輩はもぎりの時に見かけて、ずっと気になっていたらしい。
おばさんたちがびっくりしていたのも納得。
私は当時全くお芝居に興味がなかったので、全然気づかなかった。
しがないバイトを助けてくださった俳優のお客さんの武勇伝(なんでしょうか)。
今度裏方としてですが、その俳優さんとお仕事をすることになったので記念にカキコ。
コメント
コメントする