中学生の頃、歩道を歩いていたら後ろの方から自転車のベルの音が聞こえた
(小学校の時に「歩道で歩行者をどかすためにベルを鳴らすのは法律違反」って習ったし、きっと私に向かって鳴らされたベルじゃないだろうな)
と思って特に気にせずそのまま歩いていた
当時の私は純朴な女子中学生だったので、大人はみんなルールを守る生き物だと思っていた
すると後ろから追突された。その瞬間は追突されたとは理解できなかったけど、前輪にふくらはぎを傷付けられて鋭い痛みが走った時に、自転車にぶつけられたことにやっと気付いた
自転車に乗っていたのは50代ぐらいのおじさんだった
「さっさとどけやブス」
と小声で言われた
他人に容姿を罵られたのなんて初めてだったし、そもそも急な事態すぎて理解が追い付かず、涙をボロボロ流しながら蹲ってしまった
とにかく恐怖と混乱で頭がグルグルして顔が熱くなって、膝の擦り傷も物凄く傷んで、なかなか立ち上がれなかった
体感的には一時間ぐらい蹲っていたような気がするけど、実際はそんなに時間は経っていなかったらしい
気が付いた時には近所のおばさんに優しく抱き締められていた
前の方を見るとおじさんは男子高校生に取り押さえられていた
おばさんの着ていた厚手のコートの柔らかさになんだかホッとしてしまって、そのままおばさんの胸元に倒れ込んでしまった
その後はサラリーマンが警察を呼ぼうとして下さっていたけど、私とおばさんと男子高校生が目を離した隙におじさんは自転車に飛び乗って逃げてしまった
私が「擦り傷だけなので大丈夫です。助けて下さってありがとうございます」と言うと、サラリーマンは私の頭を撫でてくれた
男子高校生がコンビニで絆創膏を買ってきて下さり、おばさんが家まで送って下さった
他の人から見たら大したことない話だろうけど私の人生の中では一番の修羅場