元カレの実家は和食中心の料理屋らしく、料理人である両親の料理で育ったためか、
料理、特に和食となると厳しく味のチェックし始める。

「この料理は〇〇が入ってるね。でも僕なら~」「野菜の味が生きてないね。僕なら~」
付き合いはじめの頃は外食でそれをするものの、店員さんの前ではないし(それでもちょっと嫌だった)
私は「へえーそっか」で流してた。

ある日、彼のアパートで料理を作った。私は親がいなくて長年自分で料理を作っていたので自信があった。
美味しいって言ってくれるといいなぁ・・と思いつつ、
彼に料理を出すとまずは料理の盛り付け方を、あちこちから見て入念にチェック。
次に、出された料理それぞれをひと口ずつ食べて味のチェック。
「これは煮込みすぎ。家庭ならいいかもしれないけど~」「もうちょっと野菜大きく切らないと食感が~」「肉はまず一番はじめにあれを~」
と、何かの番組のレポーターばりにコメント。彼の気が済んだら普通に食事するんだけど、
だいたいこれで20分近くかかる。

はじめのうちは「もしかして私のやり方おかしいのかも・・」と初心者さん用のレシピ本を何冊か買って
今度はそれを自分のノートにまとめつつ料理をしたり
料理教室にも通いはじめた。

それから3~4回ほど作りに行ったけれど、彼の口からは一度も「美味しい」とは聞けず。

ある日、彼の好物である豚の角煮を作った。ちょうどその日、料理教室で美味しい角煮の作り方を教わったので
先生から教わった通りに作った。
それが彼の好物だったためか、いつもよりも言葉がキツかった。

「アクセントに粒胡椒くらいいれないと。これじゃ子供の晩御飯。俺の方が上手いよ?まぁギリギリ合格40点、かなぁ(笑)」
と引き攣った笑顔で言われた瞬間、スーッと冷めていった。
好きな人と向き合って楽しくご飯が食べるのが夢だったのに、私なにやってるんだろうって。

涙がポロポロ出て、ご飯ひっくり返したい気持ちだったけれど
先生から教わった自信のある料理だったし、何より自分のお金で買った食材で作ったからもったいない。

なので、彼の分のご飯を奪って泣き笑いしながら美味しい美味しいと残さず食べてやった。その間、彼は明らかにドン引き。