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医療費が高くついたのに戻ってこない!高額療養費制度の落とし穴ルールとは

女性が一生、お金に困らないためのレッスン vol.20/経済評論家・佐藤治彦>  新型コロナを始めとした病気や思わぬ事故などで、もしも病院への支払いが大きな額になってしまったら…皆に起こる得ることだけに不安ですよね。  そんな場合に頼りたい、国民健康保険の高額療養費制度が話題です。というのも、7月26日に財務省が発表した予算執行調査の結果のなかで「廃止に向けた道筋を工程化すべきだ」としているからです。
入院 病院 点滴

写真はイメージです(以下同じ)

 そもそも、高額療養費制度ってどんなしくみなのでしょう?新著『素人はボロ儲けを狙うのはおやめなさい 安心・安全・確実な投資の教科書』が話題の、経済評論家・佐藤治彦さんが解説します。(以下、佐藤さんの寄稿)

生活に大切な制度「高額療養費制度」

素人はボロ儲けを狙うのはおやめなさい 安心・安全・確実な投資の教科書 佐藤治彦 私は多くの方の生活に役立ちたいとお金の話をしてきて、もう30年近くになります。  今から25年ほど前に、それまではあまり知られていなかった高額療養費制度についていち早くメディアで取り上げました。当時の厚生大臣だった小泉純一郎氏にテレビ番組で単独インタビューをしに行った時にも、高額療養費制度の今後の方針について食い下がって質問しました。それくらい私たちの生活に大切な制度だと思うからです。

お金が戻ってくる「高額医療費制度」って?

 高額療養費制度とは、窓口で払う医療費が高額になってしまったとき、毎月の上限額以上は払った医療費が還付されてお金が戻ってくる制度のことです。  健康保険制度では、自己負担はかかった医療費の3割と決められています。でも、いくら3割負担だからといっても、20万円も30万円も窓口負担があるようでは、安心して医療機関で治療を受けることはできませんよね。  そこで、所得区分によって毎月の自己負担額の上限が決められています。  例えば、多くの人が対象となる世帯所得区分が210万円以上、600万円以下の場合は、「1か月8万100円と少し」となっています。少しというのは、かかった医療費が26万7000円をオーバーした部分は、3割負担でなく1%負担になるからです。 お金 例えば1か月に100万円の医療費だと3割負担だと30万円。しかし、高額療養費制度で本人負担は、8万100円+7330円=8万7430円となるのです。差額の21万2570円は制度が支払ってくれます。  それも、1年の間に4か月以上、高額療養費制度の対象となった場合は、4か月目からは、その上限はさらに下がります。「8万100円と少し」から「4万4400円」となるのです。  ですから、私は今まで放送でも書籍でも、まずは1か月の医療費負担の上限は8万円程度ですよ、それも3か月目までですよ、と説明してきました。  所得が210万円以下の場合は、毎月5万7600円(4か月目からは4万4400円)、住民税非課税世帯なら1か月の医療費の自己負担額の上限は3万5400円(4か月目からは2万4600円)です。  日本の医療費の上限は低いので、もし治療費が高額になってしまっても、負担がかなり軽減される制度がある。ですから、民間の分厚い医療保険に頼る必要性はそれほど高くないのでは?とお話ししてきたのです。 (以上は69歳までの方の場合。70歳からは制度が大きく変わります)。  ところが、先日ある人から相談を受けました。
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