2021年02月12日
エーシンシャラク - 新種牡馬辞典'21
新種牡馬辞典、第二十四弾はエーシンシャラク。地方中央合わせて20勝をあげたタフネスですが、重賞勝ちは9歳時の早池峰スーパースプリントだけと競走馬としてはかなり地味な存在ということになるでしょうか。ただ父*タイキシャトル、母父 Storm Cat という血統は種牡馬として芝ダート問わず快速馬を送り出しているメイショウボーラーと同配合であり、さらに半兄は類まれなるスピードを見せて海外GI2勝をあげた名馬エイシンヒカリということで、地方向け種牡馬としてはかなり面白そうな存在に思います。九州の中でもさらにマイナーな宮崎での供用となっていますが、ここ最近の九州産の盛り上がりに乗っかっていきたいところですね。
エーシンシャラク
木田牧場産 2008年生 芦毛 父系:ヘイロー系
<血統構成> Northern Dancer 5×4
父*タイキシャトルはマイルChS連覇やスプリンターズSなど国内GI4勝をあげたほか、仏GIジャックルマロワ賞も制し、短距離馬ながら年度代表馬に選ばれた史上初の競走馬となった。種牡馬としてもフェブラリーSのメイショウボーラー、NHKマイルCのウインクリューガーをはじめ多数の重賞ウイナーを輩出しており、20年近くに渡って種牡馬として活躍した。種牡馬入りした産駒は5頭にのぼり、メイショウボーラー産駒のニシケンモノノフも年間50頭の牝馬を集める中堅種牡馬となっている。
母キャタリナは米国3勝。重賞実績はない。母としてほかに香港Cやイスパーン賞を制したエイシンヒカリ、スプリングS3着馬*エーシンピーシー、関屋記念3着馬エイシンティンクル、地方重賞8勝のエーシンクールディなどを出している。また孫の代にフェアリーSなど重賞2勝のスマイルカナを出している。
祖母 Carolina Saga は米国産馬で、不出走馬。母として米GIサンタアニタHなど重賞を3勝した Sir Beaufort を出している。
<競走成績>
デビューは3歳5月と遅かったが、園田で9戦7勝の成績を残し、4歳時より中央入りした。中央には2年間在籍し、ダート1200mの500万下、さらに芝1200mの1000万特別を制したが、準オープンで頭打ちになったところで再び園田に転厩した。なお、この間にオーナーが栄進堂から杉浦和也氏に変更となっている。その後笠松、岩手と転厩を繰り返す中でオープン勝ちを量産していったが、なかなか重賞ではあと一歩及ばず、9歳時の早池峰スーパースプリントで13度目の挑戦にしてようやく重賞初勝利をあげた。
<供用実績>
引退後は宮崎県にある吉野牧場にて種牡馬入り。ここにはかつてスズノミヤビオー(父バンブーアトラス)やカミツキ(父ニホンピロニール)といった種牡馬が繋養されていたが、ここ数年は宮崎県で供用された種牡馬はおらず、このエーシンシャラクが6年ぶりの宮崎県供用種牡馬ということになる。頭数は多くないが、何といっても半兄にエイシンヒカリがいる良血であり、父が*タイキシャトルに代わるのは地方向けを考えればむしろ好材料と言えるだろうか。
<産駒一覧>
イイジャンは晩年のオーナーであった杉浦和也氏の預託生産馬。おそらく同氏の持ち馬として走ることになるだろう。ミッキーコマンドの母はひまわり賞を勝った活躍馬で、その半兄アイティースワローは宮崎県産馬ながら重賞でも活躍した快速馬だった。仔出しが悪く現在18歳でまだ5頭しか産駒を出せていないが、翌年には全弟となる産駒を出しており、エーシンシャラクとの相性は良さそう。九州産でおなじみ柏木氏が230万円で落札しており、目指すはひまわり賞親子制覇だ。
<傾向> 芝:○ ダ:◎ 距離:短〜マイル 2歳:○ 3歳:◎ 古馬:○
自身は全20勝のうち18勝をダートであげているが、そのうち最も格の高かった1000万特別は芝のレースであり、血統的にも芝を得意とする産駒が出てきてもおかしくはない。ただいずれにしても距離は短いほうがよく、持ってマイルまでか。血統的には仕上がりが早そうなイメージを受けるが、兄エイシンヒカリをはじめ兄弟のほとんどが3歳デビューとなっており、意外と2歳戦は得意ではないのかもしれない。
九州の生産頭数はこれまでずっと鹿児島が一番多かったが、5年ほど前から熊本が最多となっている。しかし宮崎は21世紀に入ってからはずっと3番手で、昨年生まれの産駒はわずか7頭しか登録されていない。昨年はその熊本産馬がGIに初出走して話題となったが、宮崎もその昔はスマノダイドウやゴールドイーグルといった活躍馬を送り出していたほか、2000年代以降も先に紹介したクラシック出走馬ミッキーコマンドなどを出している。相乗効果でこれからの九州の馬産を盛り上げてほしい。
木田牧場産 2008年生 芦毛 父系:ヘイロー系
<血統構成> Northern Dancer 5×4
*タイキシャトル USA 栗毛 1994 | Devil's Bag | Halo |
Ballade | ||
*ウェルシュマフィン | Caerleon | |
Muffitys | ||
*キャタリナ Catalina USA 芦毛 1994 | Storm Cat | Storm Bid |
Terlingua | ||
Carolina Saga | Caro | |
Key to the Saga |
父*タイキシャトルはマイルChS連覇やスプリンターズSなど国内GI4勝をあげたほか、仏GIジャックルマロワ賞も制し、短距離馬ながら年度代表馬に選ばれた史上初の競走馬となった。種牡馬としてもフェブラリーSのメイショウボーラー、NHKマイルCのウインクリューガーをはじめ多数の重賞ウイナーを輩出しており、20年近くに渡って種牡馬として活躍した。種牡馬入りした産駒は5頭にのぼり、メイショウボーラー産駒のニシケンモノノフも年間50頭の牝馬を集める中堅種牡馬となっている。
母キャタリナは米国3勝。重賞実績はない。母としてほかに香港Cやイスパーン賞を制したエイシンヒカリ、スプリングS3着馬*エーシンピーシー、関屋記念3着馬エイシンティンクル、地方重賞8勝のエーシンクールディなどを出している。また孫の代にフェアリーSなど重賞2勝のスマイルカナを出している。
祖母 Carolina Saga は米国産馬で、不出走馬。母として米GIサンタアニタHなど重賞を3勝した Sir Beaufort を出している。
<競走成績>
年 (歳) | 戦 | 勝 | 主な実績 |
---|---|---|---|
2011年 (3歳) | 5 | 4 | 1着 C2(園田) D1400 1着 C3(園田) D1400 1着 C3(園田) D1400 1着 C3(園田) D1400 |
2012年 (4歳) | 7 | 3 | 1着 B2(園田) D1400 1着 C1(園田) D1400 1着 C2(園田) D1400 |
2013年 (5歳) | 5 | 1 | 1着 500万下 D1200 |
2014年 (6歳) | 9 | 1 | 1着 中京スポニチ賞(1000) T1200 |
2015年 (7歳) | 19 | 4 | 1着 OP(笠松) D1600 1着 OP(水沢) D1300 1着 OP(盛岡) T1000 1着 OP(水沢) D1600 |
2016年 (8歳) | 12 | 4 | 1着 OP(水沢) D1400 1着 OP(盛岡) D1200 1着 OP(水沢) D1400 1着 OP(水沢) D1300 |
2017年 (9歳) | 7 | 3 | 1着 早池峰スーパースプリント(盛岡) D1000 1着 OP(水沢) D1400 1着 OP(盛岡) D1000 |
計 | 64 | 20 |
デビューは3歳5月と遅かったが、園田で9戦7勝の成績を残し、4歳時より中央入りした。中央には2年間在籍し、ダート1200mの500万下、さらに芝1200mの1000万特別を制したが、準オープンで頭打ちになったところで再び園田に転厩した。なお、この間にオーナーが栄進堂から杉浦和也氏に変更となっている。その後笠松、岩手と転厩を繰り返す中でオープン勝ちを量産していったが、なかなか重賞ではあと一歩及ばず、9歳時の早池峰スーパースプリントで13度目の挑戦にしてようやく重賞初勝利をあげた。
<供用実績>
年度 | 種付料 | 種付数 | 生産数 | 登録数 | 供用場所 |
---|---|---|---|---|---|
2018 | Private | 4 | 2 | 1 | 吉野牧場 |
2019 | Private | 2 | 1 | 1 | 〃 |
2020 | Private | 2 | − | − | 〃 |
2021 | Private | − | − | − | 〃 |
引退後は宮崎県にある吉野牧場にて種牡馬入り。ここにはかつてスズノミヤビオー(父バンブーアトラス)やカミツキ(父ニホンピロニール)といった種牡馬が繋養されていたが、ここ数年は宮崎県で供用された種牡馬はおらず、このエーシンシャラクが6年ぶりの宮崎県供用種牡馬ということになる。頭数は多くないが、何といっても半兄にエイシンヒカリがいる良血であり、父が*タイキシャトルに代わるのは地方向けを考えればむしろ好材料と言えるだろうか。
<産駒一覧>
母名 | 性 | 備考 |
---|---|---|
イイジャン | 牝 | 田上勝雄氏の生産馬。母はアドマイヤコジーン産駒で、地方2勝。半兄ヒムカノロッキーは中央入着。5代母メイジガルボは福島大賞典の勝ち馬で、おじにOPクリスマスローズSを含む中央5勝をあげ、ファルコンSでも4着に入ったモグモグパクパクがいる。 |
ミッキーコマンド | 牝 | 田上雄二氏の生産馬。母はダンディコマンド産駒で、中央2勝。OPひまわり賞を制したほか、フェニックス賞でも4着に入り、桜花賞にも出走した(11着)。おじにたんぽぽ賞や霧島賞を勝ち、シルクロードSでも3着に入ったアイティースワローがいる。 |
イイジャンは晩年のオーナーであった杉浦和也氏の預託生産馬。おそらく同氏の持ち馬として走ることになるだろう。ミッキーコマンドの母はひまわり賞を勝った活躍馬で、その半兄アイティースワローは宮崎県産馬ながら重賞でも活躍した快速馬だった。仔出しが悪く現在18歳でまだ5頭しか産駒を出せていないが、翌年には全弟となる産駒を出しており、エーシンシャラクとの相性は良さそう。九州産でおなじみ柏木氏が230万円で落札しており、目指すはひまわり賞親子制覇だ。
<傾向> 芝:○ ダ:◎ 距離:短〜マイル 2歳:○ 3歳:◎ 古馬:○
自身は全20勝のうち18勝をダートであげているが、そのうち最も格の高かった1000万特別は芝のレースであり、血統的にも芝を得意とする産駒が出てきてもおかしくはない。ただいずれにしても距離は短いほうがよく、持ってマイルまでか。血統的には仕上がりが早そうなイメージを受けるが、兄エイシンヒカリをはじめ兄弟のほとんどが3歳デビューとなっており、意外と2歳戦は得意ではないのかもしれない。
九州の生産頭数はこれまでずっと鹿児島が一番多かったが、5年ほど前から熊本が最多となっている。しかし宮崎は21世紀に入ってからはずっと3番手で、昨年生まれの産駒はわずか7頭しか登録されていない。昨年はその熊本産馬がGIに初出走して話題となったが、宮崎もその昔はスマノダイドウやゴールドイーグルといった活躍馬を送り出していたほか、2000年代以降も先に紹介したクラシック出走馬ミッキーコマンドなどを出している。相乗効果でこれからの九州の馬産を盛り上げてほしい。