2021年06月13日
週刊種牡馬ニュース 6/7 - 6/13
エプソムCはトーセンラー産駒のザダルが、函館スプリントSはキズナ産駒のビアンフェが制し、いずれもディープインパクト孫による重賞勝利となりました。特に何の驚きもなくなってきましたが、よく考えたら内国産3代目競走馬が当たり前のように重賞を勝つ時代というのは、一昔前なら想像もできなかったですね。またJRAでも続々と新種牡馬の産駒が勝ち上がり出し始めましたが、何といっても注目は*ドレフォン産駒で母ユキチャンの白毛馬ハイアムズビーチでしょう。白毛馬でありながら極めて高い勝ち馬率を誇るというゲームかマンガ上の存在のようなシラユキヒメ一族ですが、ソダシに続いて今年も白毛フィーバーを巻き起こすことになるでしょうか。
【6/7(月)〜6/8(火)】
特になし。
【6/9(水)】
○東京ダービー(重賞) (大井 3歳 D2000)
1. アランバローズ (牡3) by *ヘニーヒューズ(USA) 2:06.6
2. ギャルダル (牡3) by ホッコータルマエ 3/4
3. ブライトフラッグ (牡3) by ヴィクトワールピサ クビ
1番人気アランバローズが一気にハナに立ってそのまま押し切り、2014年のハッピースプリント以来7年ぶりとなる全日本2歳優駿・東京ダービー制覇を成し遂げた。グレード導入後はトーシンブリザードも含め3頭目。2頭とも後に交流重賞を勝っており、今後のさらなる活躍が期待される。またオーナーの猪熊氏はロジャーバローズの日本ダービーに続き地方でも世代の頂点に立った。2着には人気薄のギャルダルが粘り込み、僅差の2番人気に支持された羽田盃馬トランセンデンスは道中スムーズも直線向いていつものような伸び脚がなく、11着と大敗に終わった。
○2歳新馬戦(JRA認定) (門別 2歳 D1100)
1. ミラコロカルミア (牡2) by ポアゾンブラック 1:08.8
2番人気ミラコロカルミアが後続に5馬身の差をつけて押し切り、新種牡馬ポアゾンブラック産駒として初勝利をあげた。わずか12頭の初年度産駒でこの時期に新馬勝ちはなかなかのアピールポイントだが、仕上がり早、芝ダート兼用、息長しと3拍子揃って非常に使い勝手がよく、もっと牝馬が集まってもいい種牡馬だろう。
○2歳未勝利戦 (門別 2歳 D1000)
1. スージー (牝2) by ディーマジェスティ 1:02.7
5番人気スージーが豪快に差し切り、新種牡馬ディーマジェスティ産駒として初勝利をあげた。前走は8頭立てのシンガリ負けだったが、2走目で見事な変わり目を見せた。ディーマジェスティはディープインパクト産駒のクラシックホースとしてはあまり牝馬が集まっていないが、個人的にはダートで大物を出すのではないかと考えている。
【6/10(木)】
○兵庫ダービー(重賞) (園田 3歳 D1870)
1. スマイルサルファー (セ3) by *プリサイスエンド(USA) 2:03.9
4番人気スマイルサルファーがわずかにハナ差で差し切り、重賞初勝利をあげた。ここまで一度も掲示板を外さない堅実派ながら今一つ決め手に欠けるレースが続いていたが、ここ一番で力を発揮した。1番人気に支持された兵庫チャンピオンシップ5着馬サラコナンは早め先頭も直線向いて失速し4着に終わった。
○2歳未勝利戦 (門別 2歳 D1100)
1. オミワタリ (牡2) by サトノアラジン 1:09.8
5番人気のオミワタリが抜け出し、新種牡馬サトノアラジン産駒として初勝利をあげた。サトノアラジンはディープインパクトの後継種牡馬としては中堅級といったところだが、2018年、2019年とニュージーランドにシャトル供用されている(昨年はコロナの影響もあって中止)。
【6/11(金)】
特になし。
【6/12(土)】
○2歳新馬戦 (東京 2歳 T1400)
1. ハイアムズビーチ (牝2) by *ドレフォン(USA) 1:22.2
母ユキチャンの白毛馬ハイアムズビーチが抜け出し、新種牡馬*ドレフォン産駒として初勝利をあげた。この一族で芝の新馬戦を勝った馬はソダシ、メイケイエールに続く3頭目。いずれも後に重賞を制しており、同馬にも大きな期待がかかる。なおハイアムズビーチとは世界一白い砂浜としてギネス認定されているオーストラリアのビーチのこと。
○3歳未勝利戦 (東京 3歳 D1600)
5. *ニルアドミラリ(USA) (牡3) by Dialed In (USA)
Dialed In 産駒が日本初出走戦を迎えたが、単勝110倍の低評価ながら5着に健闘した。560キロを超す大型馬で、叩かれての変わり身に注目したい。Dialed In は Mineshaft 産駒で、米GIフロリダダービーの勝ち馬。すでに6世代の産駒がデビューしており、ここまでアーカンソーダービーの Super Stock など複数のGI馬を出している。
【6/13(日)】
◎エプソムC(GIII) (東京 3歳上 T1800)
1. ザダル (牡5) by トーセンラー 1:45.1
2. サトノフラッグ (牡4) by ディープインパクト クビ
3. ファルコニア (牡4) by ディープインパクト 1 1/4
3番人気ザダルが直線一気の差し切りを決め、重賞初勝利をあげた。父トーセンラーにとってもこれが産駒の重賞初勝利となった。トーセンラー産駒は初年度産駒から同馬を含む2頭のオープン勝ち馬を出しているが、3歳・4歳世代はかなり出足が鈍く、今のところ未勝利勝ちがやっとといったところ。受胎率もあまり高くなく、ここで重賞馬が出たのはかなり大きいだろう。2着には2番人気のサトノフラッグが入り、1番人気に支持されたアルジャンナは好位からレースを進めるも直線向いて失速し、10着に終わった。
◎函館スプリントS(GIII) (札幌 3歳上 T1200)
1. ビアンフェ (セ4) by キズナ 1:07.6
2. カレンモエ (牝5) by ロードカナロア クビ
3. ミッキーブリランテ (牡5) by ディープブリランテ ハナ
5番人気ビアンフェが迷わずハナに立ち、そのまま後続の追撃をクビ差凌いで重賞3勝目をあげた。去勢の効果もかなりあったのだろうが、何といっても洋芝はこれで4戦3勝2着1回。今後はサマースプリントシリーズはもちろん、いずれは海外のレースでもその雄姿を見てみたいところ。抜けた1番人気に支持されていたカレンモエはしぶとく追い詰めるもわずかにクビ差及ばず、母カレンチャンに続く同レース親子制覇はならなかった。これで京阪杯、オーシャンSと3戦連続で0.1秒差以内の2着となった。
○三宮S(OP) (中京 3歳上 D1800)
1. サンライズホープ (牡4) by *マジェスティックウォリアー(USA) 1:51.2
2番人気サンライズホープが2馬身半の差をつけて逃げ切り、オープン特別初勝利をあげた。ちなみに日本輸入後の*マジェスティックウォリアー産駒としてもこれがオープン初勝利となった。1番人気に支持されたメモリーコウは3着に終わり、これで生涯13度目の2着・3着となった。
○東北優駿(重賞) (水沢 3歳 D2000)
1. リュウノシンゲン (牡3) by グランプリボス 2:12.0
今年から1着賞金が倍の1000万円となった東北優駿は単勝1.1倍の圧倒的支持を受けたリュウノシンゲンが早め先頭から1馬身半の差をつけて押し切り、重賞4連勝で岩手の頂点に立った。グランプリボス産駒ということで最後はさすがに脚が上がっていたが、何とか王者としての意地を見せた。
○佐賀ユースC(重賞) (佐賀 3歳 D1400)
1. アルティマソウル (牡3) by *シニスターミニスター(USA) 1:30.8
新設重賞の佐賀ユースCは9番人気の大穴アルティマソウルが差し切り、重賞初勝利をあげた。2歳6月のデビューから3連勝を飾ったものの、それ以降は今一つなレースが続いていたが、夏はよく走るということなのだろうか。1番人気に支持されたテイエムサツマオーは早め先頭も失速し4着に終わった。
○2歳新馬戦 (中京 2歳 T1200)
1. メリトクラシー (牝2) by シルバーステート 1:10.7
1番人気メリトクラシーが逃げ切り、新種牡馬シルバーステート産駒として初勝利をあげた。父シルバーステートは通算5戦4勝2着1回と底を見せず引退した馬で、重賞未出走にもかかわらず200頭近い牝馬を集めた。同馬も含め社台系の生産馬も多く、自身が出走叶わなかった重賞レベルの産駒も出てくることだろう。
○2歳新馬戦 (東京 2歳 T1800)
5. ビレッジライナー (牡2) by ワンアンドオンリー
新種牡馬ワンアンドオンリー産駒が初出走戦を迎えたが、7番人気で5着だった。ワンアンドオンリーはダービーなど重賞3勝をあげたが、古馬になってからは勝ち星をあげることができず、種付け数は何とか20頭を確保しただけ。それも年々減少しており、昨年は早くも一桁にまで落ち込んでいる。
今週はほかに新種牡馬としてサトノアラジン、ビッグアーサー、ディーマジェスティの産駒がJRA初出走を迎えたが、勝ち星をあげることはできなかった。特にビッグアーサー産駒のグッドディール(牡2)は調教で抜群の動きを見せたことから単勝1倍台の圧倒的支持を受けたが、結果は伸び切れず4着。ここからの変わり身はあるだろうか。
この記事へのコメント
1. Posted by 即身仏 2021年06月13日 21:37
ミラコロカルミアのレースを見ましたが、持ったままハナに立ち直線でも速度が衰える事無く勝利と、こちらが思った以上のレースでした。これからの成長次第の側面もありますが、今後が楽しみだと思わせる能力は感じましたし出来る事なら中央のレースでの力試しを希望したいものです。
2. Posted by ゴールドシップファン 2021年06月14日 09:02
ビアンフェですがキズナは凄いですね。スプリンターのビアンフェからステイヤーのディープボンドまで産駒の多様性が高いですね。リーディングでも安定して3位をキープ、AEI/CPIはディープと同レベル。あとはGIを勝てる馬を出せれば良いのですが。そしてコントレイルと比してどうか、という問題ですね。キズナがタキオンでコントレイルがディープというのはありえなくはないと思います。私はサトイモやフィーエルマンに期待しているのですが…
3. Posted by 通りすがり 2021年06月14日 10:49
顕彰馬投票にて、惜しくも選出とはなりませんでしたが、キングカメハメハが最多票数を獲得しました。
現在ほぼ現役成績でしか判断されていない顕彰馬投票ですが、今後種牡馬成績や繁殖成績の評価がされる時代がくるのか注目しています。
現在ほぼ現役成績でしか判断されていない顕彰馬投票ですが、今後種牡馬成績や繁殖成績の評価がされる時代がくるのか注目しています。
4. Posted by Organa 2021年06月14日 21:58
>通りすがりさん
顕彰馬は繁殖成績込みの表彰だったはずです。クモハタ、トキツカゼ、トサミドリあたりは繁殖成績が優秀であったことで選ばれたので。
それにしても…この顕彰馬投票って、実際に機能しているのでしょうか。アメリカ並みにとは言いませんが、票が割れて顕彰馬が1頭も選出されない年があるなんて、意味のある制度とは思えないです。
顕彰馬は繁殖成績込みの表彰だったはずです。クモハタ、トキツカゼ、トサミドリあたりは繁殖成績が優秀であったことで選ばれたので。
それにしても…この顕彰馬投票って、実際に機能しているのでしょうか。アメリカ並みにとは言いませんが、票が割れて顕彰馬が1頭も選出されない年があるなんて、意味のある制度とは思えないです。
5. Posted by 馬なり 2021年06月16日 17:56
アエロリットとかふざけた投票してる記者は追放していいと思います。
プロ野球の新人王と同じで利権まみれで記名投票にしないからこういうことが起きる。
まあ次の投票ではアーモンドアイが選定されるのは確定的なので、
現状のルールは所謂超一流の成績を残した馬しか顕彰馬に成れないというフィルターとしては機能しているのかもしれませんね。
個人的には何年か連続で何%以上の馬は顕彰馬選定でいいような・・・
プロ野球の新人王と同じで利権まみれで記名投票にしないからこういうことが起きる。
まあ次の投票ではアーモンドアイが選定されるのは確定的なので、
現状のルールは所謂超一流の成績を残した馬しか顕彰馬に成れないというフィルターとしては機能しているのかもしれませんね。
個人的には何年か連続で何%以上の馬は顕彰馬選定でいいような・・・
6. Posted by Organa 2021年06月16日 21:38
顕彰馬の基準が厳しいのはいいとしても、過去に選出された馬との整合性が取れていないのがアンバランスな印象ですね。
個人的には現役馬だけでもコントレイル、デアリングタクト、グランアレグリア、オジュウチョウサンあたりは顕彰馬に相応しいレベルだと思っているので、もう少し過去の名馬も含めて選定見直しの作業があってもいいように思っています。
個人的には現役馬だけでもコントレイル、デアリングタクト、グランアレグリア、オジュウチョウサンあたりは顕彰馬に相応しいレベルだと思っているので、もう少し過去の名馬も含めて選定見直しの作業があってもいいように思っています。