オンラインで会見した菊岡社長兼CEO

 経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は30日に開催した2020年3月期通期決算会見内で、21年3月期の売上高が前期比15~20%減の4千億円程度になるとの予想を公表した。新型コロナウイルスの影響が今期第4四半期に収束することを前提に算出した。今年3月末時点で想定していた21年3月期での最終損益の黒字化に関しては「コロナの影響で難しい」(スコット キャロン会長)と改めた。新たにヘルスケア事業への参入も発表した。

 20年3月期は売上高が同21%減の5040億円、営業損失が385億円(前期は272億円の損失)、最終損失が1014億円(前期は1065億円の損失)だった。構造改革による固定費の削減などで下期の営業損失は改善したが、工場の減損損失やコロナ禍での需要減退などで、通期では6期連続での最終赤字となった。

 新型コロナの供給面への影響はフィリピンで一部残るものの、ほぼ回復したという。コロナ禍が来年1~3月には収束すると想定し、21年3月期に売上高が前期比15~20%減になるとの予想も示した。

 車載領域に関しては、足元はコロナの影響で低迷しているものの「(中長期的には)ステディ(安定的)に増えていく」(同社)と見通す。ディスプレーの組み立て工程の国内回帰を含め、サプライチェーンの再構築も進める。

 「ディスプレー一本足打法から脱却する」(菊岡稔社長兼CEO)とし、ヘルスケア分野への参入も発表した。ガラス基板上に集積回路を形成する「バックプレーン技術」を用いて生体関連センサーなどを開発する。将来的に営業利益100億円規模を目指す。