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写真で見る アウディ「e-tron スポーツバック」

 アウディ ジャパンは、ブランドとして日本初導入となるEV(電気自動車)の「e-tron スポーツバック」を発売した。価格は1327万円で、バーチャルエクステリアミラー仕様は1346万円。

 この発売に合わせてアウディ ジャパンは都内でe-tron スポーツバックのプレス発表会を開催。実車展示のほか、アウディ ジャパンのフィリップ・ノアック社長やe-tron スポーツバックの製作に携わったエンジニアからのビデオメッセージが紹介された。e-tron スポーツバックについてはこちらの記事で紹介しているので、本稿では展示されていた実車の写真を中心にe-tron スポーツバックを紹介していこう。

アウディ ジャパンのフィリップ ノアック氏。フォトセッションに登場した

 さて、このe-tron スポーツバックだが、欧州ではすでに発売されているクルマであり、日本への導入が少し遅れたカタチになっていた。このことについてノアック氏は「アウディとして初のEVなので、EVを市場に出すという初めての経験をまず欧州で行なって、いろいろなことを学ぶことが必要だった」と語った。さらに「販売店の準備も十分整えてから日本市場に出したかった」と説明をした。

 また、SUVではなくてスポーツバックが先に導入された理由として、世界的に高い評価を受けているスポーツバックのフォルムは、アウディ初のEVをデビューさせるうえで、ユーザーにインパクトを与えると考えたことを挙げ、スポーツバックに続く次のe-tronはSUVの導入を予定していると語った。

 なお、e-tron スポーツバックの導入により、アウディ自体がEVへ完全シフトするかという疑問に関しては否定。2025年までにEVの比率を30%まで引き上げる目標を立てているが、EVの開発・研究と同時に、現在もディーゼル、ガソリン両方のエンジンの開発・研究も進めているとのことだった。

 e-tron スポーツバックの日本での販売は2020年中に200台、2021年は600台を目標にしているとのことだが、ノアック氏はより多くの人にe-tron スポーツバックを見てもらうことが台数以上に大事なこととして捉えていた。そのためには「多くの方に販売店に来てもらい、試乗をしてほしい」と語っていた。

今回はあらかじめ撮影された映像を使用してのプレゼンテーションとなった

 続いて車両の特徴がエンジニアから紹介された。このe-tron スポーツバックは、アウディのこれまでの経験と技術を全て注ぎ込み入念に開発されたEVであり、最大の特徴は多量の熱を発生するエンジンや冷却機構はもちろん、複雑な動力伝達技術が必要ないところと解説。e-tron スポーツバックは車両の前後に誘導モーターを備えたquattroドライブで、前後アクスル間のフロア下には高電圧バッテリーを敷き詰めていると紹介。そしてこの構造からもたらされる前後の重量配分は50:50であることと、約700kgあるバッテリーシステムであっても、床下に低く積んだことで非常に低重心なバランスを実現しているとのことだった。こうした運動性のよさに加えて標準装備のエアサスペンションにより、軽快感とプレミアムSUVらしい上質な乗り心地を両立しているという。

 e-tron スポーツバックは、バッテリーの温度を25~35℃近辺に保つことのできる水冷システムを備えており、急速充電時に起こりがちなバッテリーの発熱が抑えられるので充電時の抵抗が減り、充電の時間も短縮できるという。また、急加速などのバッテリー負荷が上がる状態においても、冷却システムがあるので加熱を抑えられるとしている。

 充電用のACチャージャーは3kWのものが標準装備。オプションとして8kWのチャージャーが用意される。また、アウディ ジャパンはe-tron スポーツバックの購入者を対象に充電設備の設置初期費用サポートも行なう。

 公共の充電器はDC急速充電器を筆頭に、ACチャージャーとDCチャージャーを全国2万1700か所の拠点に設置。「e-tronチャージングカード」に対応する拠点であれば、支払いも簡単に済ませることができるようになっている。

 このe-tronチャージングカードは、通常だと月会費5000円、DCチャージングのみ1分あたり15円の従量課金制だが、e-tron スポーツバックオーナーは購入から1年間はそのどちらも無料で使用することができるというサービスも発表された。

 こうした充電器を介した充電のほかに、独自の回生ブレーキシステムによって、日常域の90%に相当する0.3Gまでの減速であれば通常のブレーキを使用せずエネルギー回収を行なえることも語られた。参考として、e-tron スポーツバックでの峠越えでは上りに使用したエネルギーのうち、約7割を下りの回生で再充電したとのこと。このような使い方ができるのであれば、外出の際は行程の設定次第で航続距離が大幅に伸ばせそうだ。

バッテリーについての解説画面。床下に配置される
水冷式で急加速や急速充電時でも発熱を抑え、バッテリーのパフォーマンスを引き出す

 駆動方式はアウディ伝統のquattroとなるが、e-tron スポーツバックは前後に搭載されたモーターによりEVならではの特性を実現している。システム出力は265kW/561Nmで、モードの切り替えによって使用可能になるブーストモードでは300kW/664Nmを発生することができる。

 一方でモーターの負荷が少ない状況では、後軸に積まれている165kWのモーターのみを効率的に使用することで、バッテリーの消費を抑えて航続距離を伸ばせるようになっている。WLTC基準の航続距離は405kmと発表されていた。

 e-tron スポーツバックのエレクトリッククワトロドライブは、各ホイールごとに独立してトルクコントロールができるので、あらゆる状況で最適なドライビングが実現できるとのこと。なお、通常走行時は後輪のモーターのみを動かしていて、必要なときに瞬時に4輪駆動へ切り替わるが、そのレスポンスは0.03秒と非常に早いものとなっている。

エレクトリッククワトロドライブ。長年培ってきた機械式quattroのノウハウを引き継ぎ、より完璧で強力なシステムになっている
e-tron スポーツバックは、A7 スポーツバックと共通点を持つエクステリアデザイン。ラッピングされているが、ボディカラーはミストブラック メタリック
こちらのボディカラーはアンティグアブルー メタリック
イメージカラーのフロレットシルバー メタリック。ほかにグレイシアホワイト メタリックとデイトナグレー パールエフェクトがある
新しいデザインのグリル。エンジン車とは違い多くの空気を取り入れる必要がないので開口部は小さくしている。ここでEVであることを表している
ドアノブは一般的な形状だが、車格なりのドアの重さを感じるので、しっかり握れるこのノブの方が扱いやすい印象だった
リアにはe-tronとquattroのエンブレムが付く
オプションとなるバーチャルエクステリアミラー。ドアトリムに付くモニターで映像を確認する。試乗の機会があったのでミラーの映像を確認できたが、明るいところはもちろん、暗いところでも鮮明に見えた
タイヤサイズは265/45R21。2560kgの車重なので、フロントのブレーキキャリパーは大型のものが装着される
リアタイヤも同サイズ。通常走行時はリア駆動を基準としている
エアサスペンション。モードにあわせて車高が変えられる。高速走行時はさらに低くなり空気抵抗を軽減する
オフロードモードの車高。任意の車高にセットすることも可能
走行モードの選択画面。オフロードとはクロカン4WDなみの駆動力になるモード。通常の雪道や悪路はオールロードで十分とのこと
エンジン、トランスミッション、ドライブシャフト、デフ、そしてマフラーがないので下面は非常にフラット
アンダーカバーには下面を流れる空気の流速を高めるためのディンプル加工が施されている
フロントフードを開けたところ
ラゲッジボックスには充電ケーブルを収納していた。3kWのケーブルが標準装備
展示されていたリア用モーターのカットモデル
床下に収まるリチウムイオンバッテリー。水冷式で電池負荷が高まった際の発熱を抑え、安定した性能が出せるようになっている。満充電での航続距離はWLTCモードで405km
充電口は運転席側にある
50kWの急速充電システムに対応
マトリクスLEDヘッドライトの点灯パターン。消灯時
ポジション
ロービーム
ハイビーム
ウインカー&ハザード。光は内から外へ流れて点灯するダイナミックターンインジケーター
ライトユニットのセンター寄りの位置には、フォグランプのように広角を照らすサイドライトも装備
インテリア。シートはスポーツシート(フロント)でアルカンターラ/レザー S lineロゴ入り
インパネまわりのデザイン。バーチャルコックピットを標準装備。オプションのバーチャルエクステリアミラーを選択すると、両サイドのドアトリムにモニターが付く
ステアリング
メーター表示パターン
ドアトリムのスイッチ類
トリム下側にはパワーシートのメモリースイッチがある
ヘッドライトスイッチはダッシュボード右。ボタン式になっている
運転席右側にある小物入れ
グローブボックスは広さがある
MMIタッチレスポンスディスプレイは上下に配置される
MMIタッチレスポンスディスプレイ上段の表示パターン(一部)
よく使う項目はショートカットが作成できる。作ったショートカットは下段のエアコンディスプレイの上側にアイコン表示される
回生・充電系のモード。回生の効き具合はオートとマニュアルがある
回生レベルはパドルシフトの操作で変更でき、オートの場合は停止するとレベルを自動で下げるが、マニュアルは操作がないと変わらない
e-tron スポーツバックの回生システムはエンジン車のシフトダウンでのエンジンブレーキのように使えて、減速時のGのかかり方もエンジン車のようになっているのが好印象だった。回生の具合はチャージメーターで確認できる
充電を開始する時間も設定できるので、深夜電力を割り引き契約にしている家庭では電気代を節約できる
セレクタースイッチ。操作はシルバーのレバー部分で行なう。パーキングに入れるにはレバーサイドにあるスイッチを押す。スタートスイッチ、パーキングスイッチも並べて配置されている
センターコンソールまわり
リアシートまわり。足下も座面も広さがあって窮屈さはなかった
リアシートのアームレスト
リアシートの可倒パターン
リアゲートは電動で開閉。リモコンでも操作できる
バッテリーがフロア下にあるのでラゲッジは広い
ボード下の収納。パンク修理キットが付くが、スペアタイヤも積むことができる