トヨタ・ハリアーがプレミアムSUVというジャンルを確立! 歴代モデルを振り返る (1/2ページ)

無骨さや力強さよりも高級感を強調した異端児だった

 アメリカを代表するクルマのひとつにピックアップトラックが挙げられる。1950年代から現在まで人気が続いている。日本では考えられないが、アメリカでもっとも売れているクルマはピックアップトラックのフォードFシリーズだ。

 1980年代に入ってもピックアップは人気だった。だが荷台がムキ出しのピックアップは用途が限られる。そこで、その荷台を覆うようにシェルと呼ばれるFRP製の屋根を追加したモデルを発売したら、これがけっこうヒットした。だったら最初から屋根を付ければいいじゃないか……となり、SUVが生まれた。トラックベースでクローズドボディのクルマが、いつしかSUVと呼ばれるようになった。このころトヨタもピックアップのハイラックスをベースに、ハイラックスサーフ(北米では4ランナー)を送り出している。

 SUVはスポーツ・ユーティリティ・ビークルの略。スポーツはアウトドアレジャーなどを指す。スタイリッシュで使い勝手がよく、多くの荷物を運べるクルマとして、SUVは北米で爆発的な人気車種に成長していく。そうなると、SUVのなかでさまざまな個性が求められるようになる。SUVの多様化だ。

 トヨタは1989年に北米でレクサスブランドを立ち上げる。メルセデス・ベンツやBMW、キャデラックなどのプレミアムブランドに対抗してのことだ。一種の賭けとも言えたが、これが大成功。瞬く間にレクサスブランドを認知させることに成功した。

 SUVは大人気だったが、どちらかと言えば若者向けのスタイリッシュな実用車、というイメージだった。これはプレミアムブランドたるレクサスとは相反するものだ。だがトヨタは思い切ってレクサスにもSUVを投入することを決意する。

 1997年、日本で「ハリアー」を登場させると、そのクルマを北米で「レクサスRX」としてデビューさせたのだ。それまでの常識を打ち破る、プレミアムコンパクトSUVの登場だった。SUVらしからぬ高品位な内外装&高級車のような走りを備えたRXは、北米で37万台を売り上げる大ヒット車に成長する。

 こうなると他メーカーもだまってはいない。1999年にはBMWがX5を発表するなど、レクサスの主たるライバルであるドイツのプレミアムブランドが続々とSUVに参入。ハリアー(レクサスRX)が、プレミアムSUVというジャンルを創造したのである。

1997年 ハリアー(初代)

【数々のフォロワーを生んだプレミアムコンパクトSUVの元祖】

 北米での車名はレクサスRX。日本ではまだレクサスブランドが展開されておらず「ハリアー」と名付けられた。かつてのSUVのようなトラックベースではなく、カムリをベースとしたモノコックボディを採用。エンジンは2.2L直4(のちに2.4Lに変更)に加え、3L V6も設定。4WDだけでなくFFの2WDもラインアップした。室内もかつての四駆とは一線を画し、まさしく高級セダンのような趣を持つ。

続々と追従したプレミアムSUV

1999年 BMW X5

 1998年に北米に登場した初代レクサスRXは37万台の大ヒット。追従するメーカーも多く、ドイツのBMW、アウディといったプレミアムブランドがSUVに参入するきっかけとなった。ハリアーが火付け役となったのだ。


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