【ジープ レネゲード 4xe 新型試乗】本当の意味で自然を満喫できるジープだ…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【ジープ レネゲード 4xe 新型試乗】本当の意味で自然を満喫できるジープだ…中村孝仁

◆インバーターやアクスルを一体化させたリアモーターに「ついに出たか!」
◆エンジンの場合はFWD、モーターの場合はFRになる
◆本当の意味で自然を満喫できるクルマ

自動車 試乗記
ジープ レネゲード トレイルホーク 4xe
  • ジープ レネゲード トレイルホーク 4xe
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最近、ニューモデルの発表はほぼすべていわゆる電話会議という形で行われる。正直味気ないし、会場に行ってカタログやプレス資料に目を通すなどということが出来ない。

残念なのは聞き逃してしまうと、それっきり…ということ。ところがFCAジャパンはその発表会の模様をちゃんとサイト上にアップしてくれて、いつでも何度でも見返すことが出来る。これならOKだ。で、発表されたモデルが何かというとジープ『レネゲード4xe』というモデルである。これ、「レネゲード・フォー・バイ・イー」と読むのだそうで、実はこの発表を見るまでは「レネゲード・フォー・エックス・イー」だと思っていた。まあ、それはともかく、ジープ初のPHEVモデルである。

インバーターやアクスルを一体化させたリアモーターに「ついに出たか!」


実はこの4xe、北米のFCAサイトではすでに『ラングラー』にも設定されているのだが、何故か北米サイトにレネゲードのそれは無い。つまり、まだ北米ではレネゲード版は発売されていないということで、こいつに関してはどうも日本が先のようである。

どんなクルマかというと、つい先日試乗したばかりの1.3リットルターボ、ファイアーフライユニットにISGの代わりをするモーターをドッキング。さらにリアには60hpのモーターが装備されて、これが後輪を駆動するいわゆる電動四駆となるモデルである。

リアに搭載されているモーターはインバーターやアクスルを一体化させたいわゆるeアクスルで、ついに出てきたか!という思いを持った。見た限りはコンパクトな一軸式と思われる。因みにリアモーターは一緒だが、フロントのエンジンパワーは「トレイルホーク」と「リミテッド」では異なっていて、リミテッドの方が131hp、トレイルホークは179hpということで、単純にシステム出力はリミテッド191hp、トレイルホーク239hpとなる。

バッテリーは車体中央にコントロールユニットと共に配置される。電動四駆化したおかげでプロペラシャフトが存在せず、このスペースにこれらを配置した形である。

エンジンの場合はFWD、モーターの場合はFRになる


通常なら「では、どうぞ」と鍵を渡されて…と言いたいところなのだが、最近鍵は常に車両内に放り込んであって、いきなり通常の鍵穴に付くスタート/ストップボタンを押すといわゆるready状態となって、発進完了だ。他のPHEV車同様、発進は電気である。まあ、十分な電池容量が残っていたからともいえるのだが、例によって寒々しいウィーンという電気モーター特有の音を立てる。レネゲートのその音はこれまで聞いてきたモーター音より少しトーンが低く、かつ音が大きい。

というわけで発進は如何にもスムーズで且つあっけない。ドライブモードは3種あって、ハイブリッド、エレクトリック、それにE-SAVEと書かれたもの。言わずもがなかもしれないが、ハイブリッドではエンジンとモーターが相互に顔を出し、エレクトリックはモーターのみ。そしてE-SAVEはバッテリーの充電状態を維持するシステムで、VWのようなチャージモードではなく、ボルボと同じモードである。試してみるとモータで走っている状況でこれを押すとすぐにエンジンがかかる。

エンジンとモーターとのやり取りはスムーズで、このあたりが面白いのだが、エンジンの場合はFWD、モーターの場合はFRになるのだ。まあオンロードを普通に走る限りこのやり取りはほとんどわからないくらいスムーズだ。

で、こいつで高速を走るとどうなるか。アクセルを強く踏み込めば当然ながらエンジンに加えてモーターがアシストしてくれることになると思うのだが、エネルギーフローを見ながら走ったわけではない(そもそもあるのかどうかも確認しなかった)からわからないが、加速は十分に強力で、これは恐らくエンジンパワーで48hpもパワフルなトレイルホークならではなのかもしれない。いずれリミテッドにも乗ってみようと思う。

本当の意味で自然を満喫できるクルマ


冒頭の発表会でFCAジャパン社長のポンタス・ヘグストロム氏が話していたが、大自然を満喫するために自然に分け入っていくのがジープ。今まではそれで良かったのかもしれないが、CO2を輩出するガソリンエンジンではどうもサスティナビリティという点ではまずい。大自然に分けっていくジープのようなクルマこそ、CO2を輩出せず、音も出さない電動車が、本当の意味で自然を満喫できるクルマなのかもしれず、これは全く理に適っていると思えたのである。

PHEVといえば静かな住宅街でその威力を発揮すると思っていたが、どうしてどうして、大自然こそこの威力が大事なのかもしれない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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