新生・富士ゼロックスが見出す「コロナ後」の商機 真茅久則社長に聞く完全子会社化後の課題

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富士フイルムビジネスイノベーションの真茅久則社長は「(ゼロックスと離れて)新しいチャレンジができることに可能性を感じている」と語る(撮影:尾形文繁)
2018年に富士フイルムによるアメリカ・ゼロックスへの買収提案が頓挫した翌2019年、富士ゼロックスの完全子会社化が発表された。
ゼロックスから富士ゼロックスの株式25%を約2500億円で買い取り、長年結ばれてきた技術やブランドライセンス契約を2021年3月末で解消する。ゼロックスに対する印刷機器などのOEM供給契約は当面継続される。
富士ゼロックスを完全子会社化することに伴い、欧米での認知度が高いゼロックスブランドが使用できなくなる一方、今まで販売できなかった欧米にもOEM供給の展開や自社ブランド「富士フイルム」を使った製品の販売が可能になり、ゼロックスに支払っていた年約100億円のブランド使用料も消える。
コロナ禍で印刷需要が落ち込む中、変化を商機として生かせるのか。4月1日に富士ゼロックスから社名を変更すると同時に、社長に就任した富士フイルムビジネスイノベーションの真茅久則社長に、今後の戦略を聞いた。

ゼロックスとの契約解消に懸念はない

――ゼロックスとの契約解消に不安はないのですか。

当社の長い歴史の中でも、最も大きな変化が起きたと考えている。懸念はまったくなく、むしろこうした変化の時に新しいチャレンジができることに可能性を感じている。

2020年は(ゼロックスとの契約が切れる)大転換の日に向け、着々と準備を進めてきた。4月に発表した複合機の新製品をはじめ、いいスタートを切れた。

――ゼロックスとの複合機などのOEM契約も2024年に契約更新時期を迎えます。契約の更新は可能ですか?

契約が切れないように、いい製品を作っていく。

1962年に当社が創業して以来、ゼロックスとは長い関係があり、お互いのノウハウやニーズ、考え方を理解している。当社は彼らが要求するスペック(品質)に基づいて製品を作ってきた技術やノウハウがあり、ゼロックス側が(複合機などの)供給元を切り替えるにはコストがかかる。切るに切れない関係だ。

われわれは多くの種類の製品を(ゼロックスに)供給しており、一度にすべての製品の契約が切れることはない。仮に数機種の契約が切れても、欧米・アジアでの新たなOEM供給や自社ブランド拡販でしっかり補っていける。

東洋経済プラスの連載「『カリスマ』後の富士フイルム」で、この記事の続きが無料でお読みいただけます。連載では以下の記事も配信しています。

 ヘルスケアに託す富士フイルム「古森後」の成長

 富士フイルム、「成長柱」ヘルスケアの実力度

 インタビュー/富士フイルムビジネスイノベーション・真茅久則社長

大竹 麗子 東洋経済 記者

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おおたけ・れいこ

1995年東京都生まれ。大学院では大学自治を中心に思想史、教育史を専攻。趣味は、スポーツ応援と高校野球、近代文学など。

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