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写真で見る フォルクスワーゲン「ゴルフ」(8代目)

2021年6月15日 発売

291万6000円~377万5000円

8世代目へと生まれ変わった新型「ゴルフ」

 国民車として誕生したフォルクスワーゲン「ビートル」。そのコンセプトを受け継ぎ、実質的な後継車として1974年にデビューしたのが初代「ゴルフ」だ。フロントマスクは丸目2灯を受け継ぎつつ直線的なソリッドなデザインを採用。横置きエンジンに2WD(FF)を組み合わせたパワートレーンなど、現代にも通用するコンパクトカーの基礎を作り上げた。

 その後、1983年(2代目)、1991年、1997年、2003年、2008年、2012年とフルモデルチェンジを受けつつ着実に販売数をアップ、累計約3500万台以上を世界中に送り出してきた。8年ぶりのフルモデルチェンジにより誕生した8代目ゴルフは、実用性や機能性といったベースコンセプトを受け継ぎつつ、電動化およびデジタル化をより進めていくという昨今のトレンドを採り入れたものとなった。

 外観はハッチバックスタイルを受け継ぎつつ、特徴的なCピラーまわりのデザインアイデンティティを踏襲。ひと目で“ゴルフ”だと分かるシルエットに仕上げた。ボディサイズは4295×1790×1475mm(全長×全幅×全高)と、全長が30mm伸びた一方で全幅は10mm抑えられるなど、先代からの変更はごくわずかな数字にとどめられた。安全性の強化などから肥大化していくモデルが多い中、コンパクトカーとしての扱いやすさを維持。そのうえで空気抵抗係数(Cd値)は7代目の0.3から0.275へと低減。ゴルフらしさはそのままに、省燃費化や風切り音の低減に寄与している。

 直線的な面で構成される内装は、カラーリングやディテールなどにいかにもドイツ車といった雰囲気を感じさせるもの。ただ、そうした伝統的なイメージと大きく異なるのが、随所に盛り込まれたデジタル技術だ。運転席には10インチディスプレイを備えたメーターパネル「Digital Cockpit Pro」、そしてインフォテイメントシステムとしても10インチ(1560×700ピクセル)のタッチスクリーンを備え、eSIMによる車載通信システム(無償期間あり)を搭載する。インパネまわりに数多く配置されるスイッチ類は静電式タッチセンサーを利用しており、押すだけでなくスライドや長押しなどによる操作も可能となっている。

撮影車両はeTSI R-Line。ボディカラーはドルフィングレーメタリック

 パワートレーンは同社初の48Vマイルドハイブリッドシステム「eTSI」を採用。このシステムは2種類の排気量が用意されるガソリンエンジンをベースに、オルタネーター、スターター、そして駆動モーターとしても機能する「ベルト駆動式スターター ジェネレータ」を組み合わせ、その動力源として48Vリチウムイオンバッテリーを搭載する。これにより発進時には駆動トルクを発生してエンジンをサポートするほか、減速時にはエネルギー回生を行なうことで運動エネルギーを回収。さらに、下り勾配などでエンジン負荷がない場合にはエンジンを止めることで燃料消費を抑える「エココースティング」も実現する。モーターとしてのスペックは最高出力9.4kW(13PS)、最大トルク62Nm(6.3kgfm)となる。

 マイルドハイブリッドシステムに組み合わされるガソリンエンジンは、直列3気筒DOHC 1.0リッターインタークーラー付ターボと、直列4気筒DOHC 1.5リッターインタークーラー付ターボの2タイプを用意。スペックは前者が最高出力81kW(110PS)/5500rpm、最大トルク200Nm(20.4kgfm)/2000-3000rpm。WLTCモード燃費は18.6km/L(市街地モード14.7km/L、郊外モード19.1km/L、高速道路モード20.6km/L)。後者は最高出力110kW(150PS)/5000-6000rpm、最大トルク250Nm(25.5kgfm)/1500-3500rpm。WLTCモード燃費は17.3km/L(市街地モード12.8km/L、郊外モード18.0km/L、高速道路モード19.8km/L)。

 そのほか、メカニズム面での共通スペックはトランスミッションが7速DSGとなるほか、フロントサスペンションはスタビライザー付のマクファーソンストラット、フロントブレーキがベンチレーテッドディスク、リアブレーキがディスクになる。一方で、リアサスペンションは1.0リッターエンジン車はトレーリングアーム(トーションビーム)、対する1.5リッターエンジン車は4リンク(マルチリンク)を採用と差別化が図られている。

 先進安全装備は「Travel Assist」を搭載。最大210km/hまでサポートするこの機能は、アダプティブクルーズコントロールをはじめレーンキープアシスト、同一車線内運転支援システム、緊急時停車支援システムなどで構成。文字通りドライブ時の疲労軽減や安全性の向上が図られている。

 グレードは1.0リッターエンジン車が「eTSI Active Bashic」、3ゾーンフルオートエアコンやキーレスエントリーシステムなどを標準装備とした「eTSI Active」の2タイプ。一方の1.5リッターエンジン車は充実した標準装備を持つ「eTSI Style」、専用スポーツサスペンションなどスポーツ装備を充実させた「eTSI R-Line」の2タイプ。ボディカラーは新色となる「ライムイエローメタリック」「ドルフィングレーメタリック」「ムーンストーングレー」「キングズレッドメタリック」など計8色が用意される。価格は順に291万6000円、312万5000円、370万5000円、375万5000円。

スポーツ仕様となるモデルだけにグリルには「R」の文字が輝く
メッキ下部が光るギミックを採用
フロントウィンドウにはTravel Assist用のカメラを搭載
R-Lineは専用エクステリアでスポーティイメージを強化
使用燃料は1.0リッターエンジン車、1.5リッターエンジン車ともに無鉛プレミアムになる
リアビューカメラ内蔵トランクリッドオープナーはそのままに切文字の車名ロゴを新たに装着
テールパイプにはクロームのフィニッシャーを装備
Cd値低減にも寄与するリアスポイラー
LEDマトリクスヘッドライト「IQ.LIGHT」はセットオプション「テクノロジーパッケージ」で装備
テクノロジーパッケージを装着するとテールランプもLEDになる
1.5リッターエンジンを核にしたマイルドハイブリッドシステムを採用する
1.5リッターエンジン車のタイヤサイズは225/45R17
いかにも“ゴルフ”な印象を受けるインパネまわり。だが中身は最新のデジタルアーキテクチャが用いられている
R-Lineは専用のレザーステアリングを装着。ステアリングヒーターも備わる
スポーク部には物理ボタンを装備と思いきやここも静電式スイッチ
シフトノブはバイワイヤー化により小さなスイッチに。パーキングブレーキも電動化されている
アルミ調ペダルクラスターはR-Line専用アイテム
メーターパネルは10インチ液晶を採用したDigital Cockpit Proを搭載。ステアリングのボタン操作でさまざまな表示に切り替えることができる
インパネ中央にはインフォティンメントシステムの10インチディスプレイを配置。ナビゲーションと情報を同時表示するホーム画面が用意される
ナビ画面
安全装備のON/OFFをグラフィカルな画面で変更可能
駐車をサポートするパークアシストなどもここから設定できる
ドライブモードの切り替え画面
エアコンの操作画面。“したいこと”を選ぶだけで適切な設定にしてくれるメニューも
もちろん普通に温度などを操作することもできる
車室内の空気を入れ替えてくれる「エアケア」モードも用意
画面下部にインフォテイメントシステムやエアコンの操作が行なえるタッチスライダーを用意。1本指だとボリューム調節、2本指だと地図の縮尺変更といった使い分けにも対応する
ハザードは物理スイッチだが周囲のボタンは静電式
ライトスイッチも静電式
マップランプも静電式。長押しで光量を変えることができる
USB端子がTYPE-Cなのもイマドキ。アンビエントライトは標準装備でStyleとR-Lineは30色から選択可能
センターコンソール中央にカップホルダーを装備
後方にはアームレストを兼ねた収納スペース
R-Lineのフロントシートは専用のトップスポーツタイプ。表皮は専用ファブリックとマイクロフリースのコンビネーション
運転席ドアトリム。アームレストにはパワーウィンドウスイッチなどを装備
リアシートは全グレード共通で分割可倒式
中央に収納式のアームレストが備わる
リアドアのドアトリム
Active以上のグレードには運転席、助手席に加えて後席も独立した温度調節が可能な3ゾーンフルオートエアコンを標準装備
ラゲッジスペースの容量は380L。分割可倒式のリアシートをたたむと最大1237Lまで拡大することが可能
シートを倒さずに長尺物の積載が可能なスルー機構も用意
ラゲッジスペースには照明やフック、DC12Vソケットが用意されている
フロア下にはスペアタイヤを収納
こちらはActiveの内装