荷受けから荷降ろしまで完結!清水建設、自律配送車をオフィスビル向けに開発

パナソニックの自動走行技術を搭載



出典:清水建設プレスリリース

建設大手の清水建設(本社:東京都中央区/代表取締役社長:井上和幸)は2021年9月19日までに、オフィスビルなど向けに「自律配送車」を開発したと発表した。館内設備などと連携しながら、「荷受け」から「荷降ろし」までを無人化することが可能だという。

■エレベータや自動ドアの「難所」もクリア

この自律配送車は、配送用スペースの下に車輪のついたデザインとなっている。人が配送用スペースの中に荷物を積み込んで配送先をバーコードで読み込ませると、館内設備との連携でオフィスビル内のエレベータや自動ドアなどの「難所」もクリアし、配送先に到着する。


配送先がバラバラの荷物が複数積み込まれた場合は、配送を最も効率的に終えるルートを算出し、そのルートを通りながら荷物の配送を1つずつ終えていくという。

ちなみに車体側面には大型ディスプレイが搭載されており、荷物を配送している際には「配送作業中」などと表示させることができるようだ。

出典:清水建設プレスリリース
■パナソニックの自動走行技術を搭載

コロナ禍もあり、配送業務の省人化に寄与するサービスロボットの開発・展開に取り組む企業が増えている。そんな中、清水建設は「配送サービス実装時のUX(ユーザーエクスペリエンス)まで考慮した機能開発はあまり進んでいないのが現状」と指摘する。

具体的には、発送プロセスの効率化や走行時のステータスの通知機能などについては、あまり考慮されていないことが多いという。そこで同社はこうした課題を解消しようと、今回開発した自動配送車にルーティング技術を搭載し、大型ディスプレイも取り付けたわけだ。


ちなみに走行技術においてはパナソニックと協業し、同社の車両管理システムと自動走行技術を採用したという。

■「建物との連携」をコンセプトに

ちなみに清水建設は、自動配送ロボットや自動運転車と建物を統合させる「Mobility-Core」というシステムを発表したばかりだ。同社の技術研究所ですでに導入されているシステムで、このシステムでも「建物との連携」がコンセプトとなっている。

このシステムを発表したのは2021年8月で、発表時にはそのシステム内で今回発表した自律配送車は登場していないが、同じコンセプトで開発されていることから、今後導入されていくことは十分に考えられそうだ。

建物内は公道とは異なり、自動運転技術を搭載したロボットが活躍しやすいフィールドだ。道路交通法などが適用されないためだ。そのため、清水建設は法整備や規制緩和などを待つ必要なく、どんどん技術開発を進めていける。

次はどのようなソリューションが発表されるのか、引き続き注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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