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ミシュランと富士運輸、運送トラックのタイヤトラブルを素早く解決するためのアプリを共同開発

2021年9月24日 発表

MRN GOのタイヤトラブルからレスキュー出動までのフローイメージ

既存レスキューネットワークのDX化で効率改善を目指す

 日本ミシュランタイヤと富士運輸は9月24日、大型トラック向けレスキューサービス「MRN(ミシュランレスキューネットワーク)」のデジタルアプリケーション「MRN GO(エムアールエヌ ゴー)」を富士運輸のグループ会社であるドコマップジャパンと共同開発し、11月1日からサービスの提供を開始すると発表した。

 2004年4月からサービス展開している従来のMRNは、ミシュランのトラック・バス用タイヤを使用している運送事業者に提供している有料レスキューサービスで、2021年9月現在では約2000社、約4万台の車両が登録されていて、約1300店のサービス拠点を駆使して行なっているレスキューサービス。

 サービス開始以来、登録車両の業務運行中にタイヤトラブルが発生した際、コールセンターに連絡することで確実なレスキューサービスが提供されるが、増え続ける物流需要、少子高齢化や人手不足の影響を受ける労働環境の中、さらなる効率化が必要になっているという。

 今回発表したMRN GOはこのMRNをさらに一歩進めたサービスで、スマートフォンにアプリケーションをダウンロードし、緊急時にSOSボタンを押すことで必要な情報を送信。レスキューサービスを受ける前に、タイヤの故障状態を画像でコールセンターへ事前に送信できることが最大の特徴という。また、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)搭載車両は、Bluetoothでタイヤ内温度や空気圧情報を送信することも可能となる。

MRN GO利用の流れ

 トラブルが発生した車両のドライバーはMRN GOを立ち上げ、SOSボタンでコールセンターへレスキューを要請すると、コールセンターから出動依頼を受けたMRN登録作業店が、迅速に現場へ駆け付け故障に対応。MRN GOにより必要な情報を事前に送信することで、情報の精度が向上し、コールセンターは作業店にドライバーの位置情報およびトラブルの正確な情報を伝えることが可能となり、作業店はより効率的に出動準備をすることができ、結果的に故障車両のダウンタイム(トラブルによる車両の稼働停止時間)削減に繋がるとしている。

 MRN GOは無料アプリで、さらにドコマップジャパンのアプリ「docomap GO」を併用すると、TPMSが装着されている車両であれば、TPMSのトラッキングを含めた動態管理システムが1台550円で利用可能となる。

タイヤトラブルでトラックが止まれば、物流も止まってしまい社会的損失も大きい

 富士運輸は物流業界での幅広い活用を目指してGPSによる車両位置情報管理システムを自社開発し、2017年8月にドコマップジャパンを設立。また、ミシュランは車両のダウンタイム削減のためにはMRNのDX化が必須と考え、2020年10月からドコマップジャパンと協業体制を築き、ドコマップジャパンが提供する「docomap GO」をプラットフォームとした共同開発を実現させた。

 日本ミシュランタイヤ 代表取締役社長 須藤元氏は「EC市場が拡大する中、日本の少子高齢化、物流業界の就労人口減少は深刻な状況です。ミシュランは、タイヤとタイヤに関連するサービスで生産性の拡大に貢献することを責務と考え、本サービスを提供いたします。モビリティの持続可能な発展を使命とするミシュランとIoT技術で物流の危機的状況の解決を目指す富士運輸が手を組み開発したサービスが、現在直面している課題解決に貢献することを確信しています」とコメントしている。

 また、富士運輸 代表取締役 松岡弘晃氏は「ミシュランと共同開発したMRN GOで運送事業者のダウンタイムが削減されれば、事業者のみならずお客様にも大きなメリットとなります。物流の効率化と働き方改革の実現には、物流に関わるすべての事業者・荷主が連携することが重要です。協働の取り組みが課題解決の一助となり、物流業界のさらなる発展に貢献できるよう尽力してまいります」と述べている。