800馬力のポルシェ「911ターボSカブリオレ」誕生!! テックアートの「GTstreetR」のチューニングとは?

ポルシェのチューナーとして有名なテックアートが、「911ターボSカブリオレ」を800馬力にチューンアップしました。「911GTstreetR」と呼ばれる彼らの最強ウェポンを紹介します。

テックアートの最新カブリオレモデル「911GTstreetR」誕生

 ドイツのポルシェ・チューナー、テックアートにとってここ20年来の伝統の作といえるのが、その時代のトップモデルといえる「911ターボ」や「ターボS」、そしてその「カブリオレ」をベースとして製作した「911GTstreetR」だ。

 GTstreetRは、ただやみくもに速さを追求するばかりではなく、真の日常的な運動性能と、レーストラックにおけるパフォーマンスという両極端のキャラクターを目指して作られている。

 筆者自身も何代かにわたってGTstreetRを運転してその走りは経験しているが、まさにこのコンセプトどおり、街中では普通のGTの如き快適さを備えており、サーキットにおいては、毎年何万人もの観衆を集めてきたチューナーGPにおいて、並み居るライバルを制して幾度となくそのチャンピオンの座を獲得してきたのを目にしている。つまり彼らのコンセプトどおりに仕上がっているのである。

日常的な運動性能と、レーストラックにおけるパフォーマンスという両極端のキャラクターを目指して作られた「911GTstreetR」のカブリオレモデル
日常的な運動性能と、レーストラックにおけるパフォーマンスという両極端のキャラクターを目指して作られた「911GTstreetR」のカブリオレモデル

 992世代のGTstreetRは、2021年6月にまずクーペモデルが発表された。後にカブリオレが追加設定されることは暗黙の了解だったが、今回のGTstreetRの生産台数は、同社によればクーペ、カブリオレの両方を合せて87台に限られるとのことだ。

 受注は現在でも継続されているが、87台目がいつオーダーされるのかは分からない。参考までにカブリオレ・バージョンのキット価格は6万3000ユーロ(邦貨換算約811万円)+付加価値税。仮に日本のベース車両価格を加えると4000万円クラスのクルマということになってしまう。

 GTstreetRカブリオレのエクステリアは、エアロダイナミクスが改善された見事な造形のカーボンファイバー軽量コンポーネントを組み合わせて完成されている。

 とくに印象的なのはリアセクションのデザインだ。リアエプロンとカーボンリアウイングを備えたアスレチックエアロキットは、典型的なGTstreetRのスタイルでもあり、また未来的な斬新さを感じさせるものでもある。

 さらにフロントエプロン、カーボンファイバーエアロフード、軽量フェンダーとホイールアーチエクステンション、サイドスカートエクステンションなどが、テックアート・オリジナルのボディーパーツだ。

 ホイールとタイヤのサイズは、GTstreetRでは、フロントトレッドの数値が30mm広く設定することができたため、より拡大することができた。ホイールはテックアート製のセンターロック式「Formula VI」がチョイスされており、サイズはフロントが20インチ、リアが21インチで、タイヤは各々265/35R20、325/30R21サイズが組み合わされる。またこのホイールには専用のディスク付きと、ディスクなしを選択することもできる。

●ノーマル比150馬力アップ!

 GTstreetRのもっとも大きな見どころともいえるのは、やはりリアに搭載されるエンジンだろう。3.8リッター水平対向6気筒ツインターボという基本的なスペックに変わりはないが、テックアートは独自のECUを開発したことで、3タイプのパワースペックを設定している。

 もっとも低いスペックとなるのは、900Nmの最大トルクを実用域である2800rpm−5300rpm付近まで完全にフラットに生み出す「TA092/T1.1」バージョンで、その最高出力は710psとなる。

 もっとも低いスペックとはいってもオリジナルの「911ターボSカブリオレ」より、最高出力で60ps、最大トルクで100Nmも向上している。

 その次のステップは、最高出力785psの「TA092/T2.1」だ。こちらは実用域でのフラットトルク感の後に、950Nmの軽いトルクピークが訪れる。

 そしてトップモデルとなるのが、型式こそ「TA092/T2.1」と同じであるものの、最高出力800ps、最大トルク950Nmとなる仕様だ。オリジナル比でプラス150psの走りは、明らかに異なる世界であるはずだ。

 サスペンションは、調節が可能なコイルオーバーキット、もしくはスポーツスプリングキットを使用して、最大で25mmのローダウンが可能となっている。また将来的にはサーキット走行に備えたロールケージやフルハーネスシートベルトなど、クラブスポーツパッケージもオプションで用意される予定であるという。

 ドイツのトップ・チューナーが作り出したトップモデル、GTstreetRカブリオレは、クーペとともに期待度が非常に大きい1台であることは間違いない。

【画像】見た目も過激なテックアートの「911GTstreetR」を画像でチェック(8枚)

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