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マイクロソフト、新型EV「アリア」を生産する栃木工場に導入された「インテリジェント作業支援システム」導入事例公開

2022年1月20日 発表

「HoloLens 2」を装着するスタッフ

 日本マイクロソフトは1月20日、日産自動車が新型バッテリEV「アリア」の生産を担当する栃木工場に導入開始したIOSS(インテリジェント作業支援システム:Intelligent Operation Support System)の導入事例を公開した。

 IOSSは、EV専用パワートレインの生産ラインにおいて、作業員がモーターの目視検査で品質チェックを行なうための技能習熟トレーニングに用いられるもので、マイクロソフトの「HoloLens 2」や「Dynamics 365 Guides」などのMR(Mixed Reality:複合現実)」で構築したシステム。

 日産は次世代のクルマづくりコンセプト「ニッサン インテリジェント ファクトリー」に基づき、1:未来の車を作る技術、2:匠の技で育つロボット、3:人とロボットの共生、4:ゼロエミッション化生産システム、というコンセプトを掲げている。

 IOSSはそのコンセプトの4本柱の中の「人とロボットの共生」に関わる試みで、日産が新型バッテリEV「アリア」の生産を担当する栃木工場に導入開始した、10の新しいデジタルソリューションの1つとなる。

 IOSSは、EV専用パワートレインの生産ラインにおいて、作業員がモーターの目視検査で品質チェックを行なうための技能習熟トレーニングに用いられる。IOSSには現場作業者が作業手順を自習できるプログラムが用意され、作業者はゴーグル型の「HoloLens 2」を装着し、IOSSに表示されるガイダンスに従いながら、現実にあるモーターの目視検査を行なっていけるようにした。

日産自動車が栃木工場に導入開始したIOSS(インテリジェント作業支援システム:Intelligent Operation Support System)
IOSSに表示されるガイダンスに従いながら、現実世界にあるモーターの目視検査を行なっていけるようにした

 日産では、IOSSの開発にあたって作業のガイダンスを行なう機能を備えた複数製品を検討し、コストと使いやすさが決め手となって、HoloLens 2 と Dynamics 365 Guidesの採用を決定、2021年9月より利用を開始した。

 時間や場所に囚われずに自学自習できることから、作業を覚える時間を短縮でき、指導者はその自習動画を確認することで問題点を指摘するだけでなく、自分の教え方を客観的に振り返ることで指導スキルの向上にも寄与。

 日産では、IOSSの活用により、トレーニングの習熟期間を従来の10日から5日間(50%短縮)へ、指導者の教育時間を、10時間から1時間(90%削減)に効率化できるものと想定しており、指導工数の削減に加えて、品質向上にも貢献するものと期待している。