夏の暑い日、川沿いに山を登っていると、ゴウンゴウンと重い音が聞こえてきた。
はて何の音だろうと考えていると、眼下の河原にゆっくり震動する大きな石が現れた。
揺れに合わせて、重い音が響いている。
石が音を立てて震えるなんて聞いたこともない。
不思議に思ってみていると、石は一際激しくブルッと震えた。
次の瞬間、その表面に割れ目が開き、そこから小さな石が「ベッ!」と吐き出された。
河原に下りて、その小石を持ち上げてみた。
角がない滑らかな石で、じんわりと暖かい。
大石の表面も同様で、滑らかな表面には傷一つ見当たらず、ついさっき開いた筈の
割れ目も消え失せていた。
それきり、石が震動することはなかったという。
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