先日、わりと珍しい登記手続に遭遇しました。
珍しいというのは私の個人的な感想です。
おそらく、金融機関とのお付き合いが多い司法書士であれば、
よく申請している内容だと思いますが、
登記申請書や関係書類を作成する際に、
参考事例が殆ど見つからなかったので、備忘録です。
【事例】
連帯債務者は「蒲田T郎」および「大森M子」の2名だったところ、
「蒲田T郎」が亡くなった。
↓
「蒲田T郎」の相続人は、「大森M子」と「池上G子」の2名のみ。
相続人2名は、法定相続分通りに被相続人の債務を承継した。
↓
抵当権者と、「大森M子」と「池上G子」が話し合った結果、
もともと「蒲田T郎」が負っていた連帯債務分については、
「池上G子」が一人で引き受けることになった。
↓
結果として、連帯債務者は、
「大森M子」と「池上G子」の2名となった。
※「大森M子」の連帯債務は、
<もともとの「大森M子」の連帯債務>と、
<「大森M子」が「蒲田T郎」から承継した連帯債務>の2種類があって、
「池上G子」が債務引受をするのは後者だけ。
前者については何も変更しない。
この状況をどう記載すべきか…という部分に、とても悩まされました。
※当然ながら、この事例は、実際の事例とは異なります。
【結論】
以下の内容で登記申請しました。
①登記原因:年月日連帯債務者 蒲田T郎 の相続
変更後の事項:連帯債務者 大森M子、池上G子
②登記原因:連帯債務者 蒲田T郎 の相続債務について
年月日連帯債務者 大森M子 の免責的債務引受
変更後の事項:連帯債務者 池上G子
その結果、そのまま登記は完了しまして、
登記の記載はこんな記載になりました↓
抵当権の債務者の「相続」と「債務引受」自体は珍しくはないのですが、
このパターンは意外と初めてでした。
以下は参考までに…
よく書籍等に記載されている事例は、
『「蒲田T郎」の連帯債務を引き受けるのは、
もともと連帯債務者の一人だった「大森M子」』というものです。
この場合だと、以下の2件を申請します。
①登記原因:年月日連帯債務者 蒲田T郎 の相続
変更後の事項:連帯債務者 大森M子、池上G子
②登記原因:年月日連帯債務者 池上G子 の免責的債務引受
変更後の事項:連帯債務者 大森M子
この事例だと、
債務引受される”「池上G子」の連帯債務”が何かは明確ですし、
最終的に、債務者は「大森M子」の一人なので、
申請内容も、変更後の登記事項もイメージし易いですね。
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司法書士 黒川雅揮
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