三沢選手と素敵な花屋さん | 小笠原まさやオフィシャルブログ「ヒーリングと占い・金魚堂」Powered by Ameba

三沢選手と素敵な花屋さん

「私はプロレスを全然知らないんですけどきっと素敵な人なんですね。」

 

花屋のお姉さんの言葉にグッときて鼻の奥が熱くなって、ありがとうって言いたいのに

…どうも。とぶっきらぼうに答えてしまった。泣いちゃいそうだったから。

お姉さんが僕に手渡してくれた花束は、献花だけどグリーンの台紙に巻いてあり

小さいけどなんて花か忘れてしまったけど白い花が映えてとても素敵でした。

 

 

11年前の6月13日。

僕はひとり歌舞伎町で飲んでいました。

お世辞にもいい酒の飲み方してませんでした。

当時の僕は数か月前に逮捕。青少年保護育成条例違反。

当時高校生と不適切な関係を持ったかどで逮捕。自業自得です。

芸人という肩書を失い、自分は何もない。そう思い込んでいました。

友達や芸人仲間は何も変わらず接してくれていたのに、悪いのは自分なのに迷い、不貞腐れどうしていいか分からない不安から酒をあびるように飲んでいました。

 

ある夜携帯電話のメールに友達から着信が。

 

「三沢さんが亡くなった」

 

友達はプロレスファン、僕もプロレスファン。三沢さんとは三沢光晴選手のことだ。

なんてくだらない!腹が立ち電話をすると受話器の向こうで友達の嗚咽が聞こえた。居酒屋に戻るとニュースで三沢選手の死についてキャスターが読み上げている。

気が付けば家にいた。

家にテレビがなかったのでどうも現実感が湧かない。その日はまんじりとせず朝を迎えスポーツ紙を手に取る。

 

“本当に亡くなったんだ”

 

お別れ会の日時と場所が記載されていた。

当日僕は2か月ぶりにヒゲをそり有明にむかった。

あ、献花したい。花屋ないかな…。

当時ぼくの住んでいた上石神井駅に小さな花屋があったのを思い出した。

「いらっしゃいませ」

あの花束をほしいんですけど、仏花っぽくなくて緑っぽい感じで…、

花束のオーダーなんてしたことないから四苦八苦していると店員のお姉さんが、

「プロレスラーの方への献花ですか?」

と聞いてきた。

そう、そうなんですよ!あ、ご存知だったんですね。はい、それでお願いします。

「いえ、今朝から緑をベースに花束を作ってほしいという方がたくさんきて、

何かあったんですか?って私から聞いたんですよ。」

 

あ、泣きそう我慢。

三沢選手…。すごいなぁローカル駅の花屋でたくさん献花買いに来てたんだ…。

お姉さんが花を器用にまとめながら、こう言いました。

 

「私はプロレスを全然知らないんですけどきっと素敵な人なんですね。」

 

花屋のお姉さんの言葉にグッときて鼻の奥が熱くなって、ありがとうって言いたいのに

…どうも。とぶっきらぼうに答えてしまった。泣いちゃいそうだったから。

お姉さんが僕に手渡してくれた花束は、献花だけどグリーンの台紙に巻いてあり、

小さいけどなんて花か忘れてしまったけど白い花が映えてとても素敵でした。

 

 

西武新宿線の車内、ゆりかもめの車内。

大小の緑が映える花束をもった人たちが徐々に増え、みんな有明に向かいます。

会場のディファ有明までは長蛇の列。

三沢さんの遺影が置かれた献花台には花は収まりきらず、その後ろのリングにうずたかく積み重なっていました。

外に出ると泣きながら体育すわりをしているおじさんがいました。

僕の友達です。連れだって新宿へ。

何杯目かであまりにも友達が泣くので、泣くな!泣いても三沢さんは戻ってこないんだよ!

言った瞬間に僕が子供みたいにワンワン泣いてしまいました。

うるさかったのでしょう。隣の会社員が、「お兄さんちょっと、」

ごめんなさい!静かにします。

「いや僕も三沢選手のお話して少しいいですか?」

結局3人でワンワン泣いて飲んで泣いて飲んで。

 

翌日お別れイベントでもらった封筒をあけると三沢選手のブロマイドが、

そこにこう書かれていました。

 

“時間は取り戻せない。私は後悔したくない。”

理想主義者

 

当時の僕は自分が罪を犯して前科者。

隠してバレるのもと思い先方に最初に伝えると仕事はことごとく不合格。当然です。

貯金なくなったら樹海かな。と思い、その電車賃用に封筒に5千円入れてありました。


三沢選手のブロマイド見ながら、

自分は死にたいのか?生きたいのか?自問自答しました。

…僕も後悔したくないなぁ。

また泣いてました。意地汚くてもまた夢見たい気持ちが湧き上がってきたからです。

仕事がないなら、自分で始めるしかない、と方々に頭を下げて駆けずり回って

できたのが占い処金魚堂です。

ヒーリングと占い金魚堂の前身です。

 

あの花屋のお姉さんの言葉、そして三沢さんがくれた言葉。

他者にどう見られるかではなく、自分の理想や信念をもって生きることの大切さ。

それがいまも僕を形作る大切なファクターです。

 

ブログは多くの人が目にするメディアです。私信のようなこの記事を書くのはどうか、

と思ったのですが、三沢選手と素敵な花屋さんのことを知ってほしいなと思い書きました。

三沢選手は本当に素敵な人です。そしていまも僕のヒーローです。


大好きです。