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町の小鳥屋さん ~平成から令和にかけて~ [雑記]

気が付けば今年もあっという間に師走となりました。
暮れのせわしない年末と共に、1軒のお店が終わろうとしています。
地域に愛され60年開業された北神小鳥店。
とても気さくな店主で、惜しまれつつの閉店です。
今年数え年での米寿を迎え、周囲の勧めもあって年内で店を畳むそうです。
思い出に写真を撮らせて頂きました。
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以前は可愛いインコや文鳥でいっぱいでしたが、今はまばらに。
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レトロなパッケージのえさ。
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えさ入れなど並んでいるショーケース。
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おじさんは肌はつるつる。
シャンプーを1回も使わず石鹸でしか洗った事がないと言う御髪はふさふさ。
褒めると、俺はチビで黒いからと言いながらも照れたような笑顔を向けて下さいました。
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もしもインコが人間に化けたら、と想像できてしまう可愛らしいおじさん。
面白くて、おしゃべりで、人の気を逸らさないおじさん。
2年前、心不全で亡くなられたおばさんは例えて言うなら和の文鳥っぽかった。
控えめで優しくて、おじさんの糖尿病を気にかけていたのにご自分が先に逝ってしまわれた。
お父さん、ちょっと気分悪いわと横になったのが最後だったそうです。
それまで普通の生活をしてたのに、まるでぷつっと糸が切れたみたいだったそうです。

さぞかし悲しかったろうと想像に難くないですが、それまで大きな病気もせず、81歳で苦しみもなく逝けたのだから、幸せだったのじゃないかな。
それからは、おじさん一人で切り盛りされてましたが、奥さんの事もあったので、娘さんの度重なる勧めも断れなくなったそうです。

免許を返納されたため、舎人まで電車に乗って仕入れてきた雛たち。
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オカメ、セキセイ、コザクラ・・カラフルなインコたち。
南国の海みたいなエメラルドのセキセイもいます。
みんな元気に育ってね!

もうなくなるのかと思うと、行く度に目がウルウルしてしまいます。
えさなど買ってもこれまでお客さんには沢山世話になったのだからと、断っても断ってもタダの様な値段しか受け取ってくれません。
商売っ気がなくて、家にあるんだったらいらないんじゃない?と売ってくれない事もあります。
こんなおじさんだから泣いてしまうのに。。

お店にあるものは全て年季を感じさせるもので、60年の歴史を感じます。
鳥たちの健康のために、蒸し暑い夏も戸を開け放つだけ、寒い冬は閉めるだけ。
ご夫婦の人情味も昔のまんまだったなぁ。
小鳥を買うのがブームだった時代があり、通りを歩けば何軒も小鳥屋があったそうです。
昔は近くに14軒もあったとの事ですが、それが今はおじさんの所だけ。
高級な鳥、珍しい鳥がいる大型店は出来たけれど、庶民的な鳥がいる個人経営の店は見なくなりました。
今のブームに合わないし儲けも無い、子供は勤めに出ちゃって後を継ぐ人もいない、そんな事で町の小鳥屋さんは急速に数を減らしています。

生き物を扱うと言う事は毎日休みなく世話をしなければならないと言う事。
おじさんはまるで堪えてないかの様ですが、来年の3月31日で満88歳。
60年も続けて来られたのだから、もうゆっくりされた方が良いとも思っていました。
けれど、楽しい事も、嬉しい事も、可愛い鳥たちに囲まれながら、おばさんと共に思い出を積み重ねて来きたこの店。
だから、ここはおじさんにとって一番大切な場所。活き活き出来る場所なのかも知れません。
お店を閉めたらぽっくり逝きそうだよ。いや、本当にそうなんだってよ。
なんて言っていましたが、そんな事にならないで下さいね。お願いします!!


我が家の初代あおぴよ、きぴよのもお二人には幾度となくお世話になりました。
病気の時、巣引きの時、どんな事でも親身になってアドバイス下さり、何とも温かい気持ちにさせてもらった事は忘れません。
お陰できぴよは、おじさんが言った通り子供が大学生になるまで生きてくれて、13年半(人間で言えば100歳越え)のご長寿インコでした。

お別れの辛さでインコをご無沙汰していましたが、閉店を知って飼う事を決め、やはり先代と同じ黄色と青のインコを生後3週間でお迎えしました。


青ちゃん(あおぷー)の性格
動きが俊敏で、ケムリの様に上へ上へと行きたがる。
ホバーリング、方向転換、上下左右、自由自在に飛びまくる。
あいさつ代わりに甘噛みでがぶがぶする。
鳥なのに無口。
あちこち探索したり、おもちゃで遊ぶのが好き。

黄ちゃん(きっぴー)の性格
人の顔を見れば、遊んで!とゲージに張り付く。
頭や首回りをカキカキしてもらいたがる甘えん坊。
人にもクシクシしてくれる。(顔ダニでも見えるのか?)
お腹を上にしてゲージにつかまった後、背中を見せるなど股関節がエクソシスト的。(芸名くりんちょ)
やんばるの森のインコかと思うほど飛ばない。
人間ぽい声を出し始めた。

来たばかりの頃、兄貴的な青ちゃんは、えさをねだるしぐさをする黄ちゃんに思わず餌を吐き戻してあげている事もありました。
個性的で対照的な2羽ですが、とてもなかよし。
小競り合いもしているけれど、お互い毛繕いしたり、寄り添って寝ていたり。
小鳥ってとても愛情深い生き物。
キィキィと甘えた声でモグラの様に潜って来た黄ちゃんも1か月半経って、だんだんお兄ちゃんになってきました。
これからどんな風に育って行くのか、それぞれ番わせてインコの楽園にしてあげたいな。。
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平成から令和に進んだ今年は、ことさら感慨深い年末です。
日々、新しいものが生まれるのだから、それと引き換えに古いものが消えて行くのは仕方ない事なのだけれど。。
時代を作って来た著名な方々も、随分この世から去られました。
ブログの記事にもさせて頂いた、大好きだったジョアンジルベルトさん、吾妻ひでおさん。
高齢の親御さんを持つ方の喪中はがきも今年はおとさら多かった。
淋しいけれど、おじさんの店の様な昭和的な風景も、この先、加速度的に消えてしまうのでしょうか。

懐古趣味の私にとって嬉しい、約30年前、平成初期の東京の様子などの動画を発見しました。
アップしているのは意外にも海外の方で、ライル(宏)サクソンと言う方です。
カルフォルニアから日本の文化や電化製品が好きで、1984年から在日されている様です。
都内の私鉄沿線その近郊など、今は無い建物やその内部、貴重な動画を数多く撮られ、この駅使ってたわ~、この店あったなぁ~、こんな服着てた~、と懐かしい気分になります。

1990年からアナログビデオカメラを携えて日本を散策、記録するようになったライルさん。
以降、白髪になった現在でも各地を取り続けています。
ビデオを撮り始めたのは、それまで目の前にあった建物がどんどんなくなっていくのを目の当たりにして、消えて行く前に記録をしておかなくちゃと思ったからだそうです。
(ソース 北多摩、所沢エリアのタウン通信 2018,2.15 外国人が記録した日本の街並みと日本人の記憶より)
ずっと残したい、日本の何気ない風景を大切にしてくれるライルさんは、まさに和の心をもった方なのだと思います。

ライル(宏)サクソンの動画のホーム
良かったら見て下さいね。
https://www.youtube.com/user/lylehsaxon

未来への夢や希望を一緒に頑張る同志の絆も良いけれど、共に歴史を積み重ね、過去を共有した絆には安らぎと温かさを感じます。
一緒に月日を重ね、思い出話をまるで昨日の事の様に楽しく語り合えるのは、凄く幸せな事だと思います。
これも年を取ったせいかも知れませんね。




皆様も良いお年をお過ごし下さい。
新しい年も素晴らしくなりますように。








※12月31日追記(写真追加など)
今日で北神小鳥店は閉店しました。
店名を伏せていましたが、ご存知の方が検索された時、懐かしく思って下さる方もいるだろうと思ったので出させて頂きました。
おじさんの好きな甘いものを持って、主人と最後の挨拶へ行ってきました。
小鳥も全ていなくなり一層がらんとした店内が悲しかったので、しめっぽくならない様に努めながら。。
明日からボケなきゃいいけどなんて言われてましたが、来年からは悠々自適に過ごして頂きたいと願っています。
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おじさん、おばさんのいる「場」が大好きでした。
最後のありがとう!

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