2022年3月3日、うお座で新月が起こります。ウクライナが大変な状況にあり、命を脅かされるような状況が一刻も早く解消してほしいと願うばかりのなか、共感や救済、癒やしを象徴するうお座での新月。なんとか良い流れに向かってほしいと、そればかりを祈っています。
今回の新月は、なかなか印象的な配置で起こります。うお座にはうお座の支配星である海王星、旧支配星である木星が滞在、4星が集まります。
もひとつ前のやぎ座では、金星と火星、冥王星がこれまたぴったり重なっています。
ひとつだけ離れた場所にあるおうし座の天王星は、新月を応援する角度です。
非常にビビッドで、皆の目が社会や、集団としての人に注目が集まり、癒やしと救済を願う──そんな光景が浮かんできます。むざむざとやられてなるものかという強い「個」が寄り集まって集団をつくる。力で圧倒しようとする者もいる──それはもう古いのだという、過去の栄光の残滓を見せつけながら。もちろんこうしたことは、星の配置に私が勝手に意味を見出そうとしているだけで、そう「見えている」だけのことかもしれません。
そんななか、個人の営みとしてはどうでしょうか。世情しかり、目の前の日常しかり、とても無邪気な楽観を抱くように思います。優しさを信じていいはずだ。共感や癒やしを、互いに持ち合えていいのだ。そこにはなんの理由もなくて、「そのほうがいい」という理想だけがあるのかもしれません。私たちはきっと、分かり合えるはずだ。そう信じることから、初めて生まれるものもあるのでしょう。
だた、こうした「陶酔」にも似た感覚はある意味、危険でもあります。警告ではありません、そういう傾向があるよというだけの話です。無邪気で無防備な楽観は、傷つけられ搾取されるリスクと常に隣り合わせです。同情心が増すあまり、問題の本質から目を逸らすことにもなりかねません。それでも「大丈夫だよ」と言えてしまいそうなほどの豊穣なゆるさのある星回りなのですが、一方で悲観的になりやすい状況下にある人、思うにまかせない愛の激流に抗おうとしている人は、運命の鮮烈さを少し、強めに感じるのかもしれないと私は読んでいます。星回りがディープインパクトなのです(意味不明)。愛は激情と変容を突きつけ、理屈で考えようにもネガティブなほうにばかり向かってしまう。そこは、注意を払うべきところです。
何が癒やしだ。何が共感だ。いいことなんかひとつもない。
そんな気持ちになってしまったときは、「少し待ってみよう」と思うのもいいかもしれません。こんな、星がハードな位置関係にあるときに悩んだって、しんどいだけです。極端な発想しか浮かびません。自分をあまやかして、ゆるくやれることはゆるくやって、星々の角度がちょっとほどけるのを待つ。6日にはほどけるんです。それからゆっくりと、この新月のときに感じたことをはみ返してみると良いのかなと思います。愛が変えた自分のことを。愛が変えた相手のことを。とことんネガティブに考えていた、その理由を。
もちろんすべての人がウワーとなるわけではないのですが、なかなか激烈な配置ではあります。もし、今がつらいと感じている人がいるのなら、そんなふうにしてしのげるよと、お伝えしたくて書きました。
どなたも良い新月にしていかれますように。そして平和を、切に願っています。
(お知らせ)
2022年上半期本、発売中です!
『タロットであの人の気持ちがわかる本』も好評発売中です。
(近況)
打ち合わせ週間でした。新しい連載が決まったり、次の特集についてお話したり、いろいろな企業様とオンラインでたくさんお話をしました。そのうち3社様ほどでしょうか、話の流れで「ほら、私って人間性も文体も暗いじゃないですか……」というようなことを言ったら、誰もが「ああ……」とうめき声にも似た声を出しながら全肯定したのが面白かったです。私の暗さもだいぶ市民権を得てきたな(壮大な勘違い)。noteで安野モヨコ先生が「ともしび日記」というのを書いておられて愛読しているのですが、私も「暗い日記」を書いてみたいのだよな(誰が読むというのか)。そんなこんなで日々なんとかやっております。まるで宇宙のようなおでん種を見つけたのですがまたどこかで書きます。