元夫の職場には、東京生まれ・東京育ちのお局(つぼね)様がいます。
定年まであと数年という年齢で、勤続年数が長く、ベテランの庶務のため、みんなに頼りにされています。
本社だけでなく、地方の拠点にいる社員さんにも詳しい、という人です。
先日、元夫は、地方の社員さんがした失敗の、後始末に四苦八苦していました。
それは、すごく大事な仕事なのに、適当にしていたそうで、その結果としての失敗でした。
元夫は「この人っていつもこんな感じ? この先、全部の書類を確認したほうがいいかも?」と思い、お局様に聞きました。
「○○さん(ここにはお局様の名前が入ります)、この人知ってます?」
お局様が、は? なんでそれを聞いてきたん? という表情をしたため、元夫は事情を説明しました。
その説明をふんふんと聞いていたお局様は、こう言いました。
「その人ね、スットコドッコイだよ」
へ? スットコドッコイ?
「あいつ、アホやで」じゃなくて、そう言うんだ~、と元夫は驚きました。
元夫はネイティブの関西人ですから、一瞬、お局様が笑わせようとしたのかな? と考えました。
でも、お局様の顔は不機嫌そうです。
「うわ、これ、普通に使ってるんだ」と気づき、思わず笑ってしまいそうになった顔をキュッと引き締めました。
そこでお局様が、私はその人がしたミスでこんなに困ったことがある、という話をしたそうです。
この会話を聞いた私も、「へぇ~! この言葉ってそういうふうに使うのか~」と驚きました。
元夫が調べたら、「有名な江戸言葉」「江戸弁のひとつ」と書いてあったそうです。
ほぉ~。
お局様は、お父さんやおじいさんが「あいつはスットコドッコイだ!」と言うのを聞いて育ったのでしょう。
そのお父さんやおじいさんも、そのまた、お父さんやおじいさんが言うのを聞いて育ったのでしょうね。
東京には、あちこちに江戸が残っていますが、言葉にも残っているんですね~。
興味深いです。
元夫が言うには、スットコドッコイはお局様の口からサラッと出ていて、「普通に使っていた」「とても自然だった」そうです。
初めて聞く江戸っ子弁は、なんだか新鮮で、楽しいなぁと思った、というお話でした。